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EU Inc.、汎欧州法制度実現への青写真を公表

先日に続く、EU Inc.の続報記事です。欧州の欠点である、欧州市場が実は分断されているという課題を解決しようとしています。

その中で、主要な点としては以下が挙げられています。
・画一化された企業構造:EU全域での企業形態、調和の取れたコーポレートガバナンス、資本および資本金維持規則
・デジタルファーストアプローチ:完全デジタル化された登記簿やダッシュボード、画一化された投資書類
・EU-FAST投資:SAFEやBSA AIRなどの転換型投資契約を参考にした、新しく標準的なオープンソース投資手法
EU-ESOP:EU全域で統一された従業員持株オプションスキーム

これを日本に置き換えた場合、例えば米国や欧州に近づける前提でこのようなアプローチが取れるでしょうか。そもそもそのニーズはあるのでしょうか。市場が充分に大きいから、そのニーズは小さいのかもしれません。

欧州や米国は日本の2年先を行くという話を聞きます。現在、欧州、例えばドイツは不況になっています。肝心の自動車産業が苦境に立たされていて、これまでのやり方ではマズいという雰囲気もあるのだと想像します。

日本のスタートアップ業界は日本と世界を別の次元と置いている節があります。それは、上記に挙げたストックオプション(ESOP)のスキームや法整備、スタートアップへの投資が開かれているのか、そもそも英語でできるのか、など、課題はあるものの、それぞれの立場や置かれた環境に於いては、優先順位が異なるため、どうしても近視眼的な、狭い範囲での最適化が優先されることになるかと思います。

そうすると、2年後以降には欧州と同じような危機感を持つようになるのかと思うと、今から始めておいても良いのではとも思ったりします。


このニュースはEU(欧州連合)の最上層部でも重要視されてきた請願に基づくものであり、2025年に提案を導入するという約束がすでになされている。

2024年12月4日、欧州全域のスタートアップ向けに統一された28番目の法制度創設を目指すイニシアチブであるEU Inc.が、欧州委員会の2025年作業計画への即時取り入れを要求した。28番目の法制度は、EU規則に基づく法的枠組みに関する提言であり、加盟国自体の国内規則を置き換えるものではなく、選択可能な代替案である。

EU Inc.の共同発起人であり、Prototype Capital(プロトタイプ・キャピタル)の投資家で、Product Hunt(プロダクトハント)の元CTOでもあるAndreas Klinger(アンドレアス・クリンガー)と、Factory(ファクトリー)の創業者兼CEOで、Allied For Startups(アライド・フォー・スタートアップス)の諮問委員会メンバー兼エンジェル投資家のSimon Schaefer(サイモン・シェーファー)へのインタビューは、別の記事で取り上げている。

EU Inc.は欧州の著名なテックリーダー、VC(ベンチャーキャピタリスト)、および政治的リーダーからの13,000を超える署名を集め、即時の変革を求める明確なコンセンサスを示している。

12月4日にはEU-Incエンティティのための青写真が公表された。この提案は、欧州創業者のニーズを促進するためのNot Optional(ノット・プショナル)キャンペーンや、最近発表されたFrance Digitale(フランス・デジタル)の非公式文書、そしてスタートアップコミュニティおよび欧州全域の政策立案者との議論など、過去に成功した活動を基盤としている。

クリンガーによれば、欧州のスタートアップエコシステムは国ごとに分断されており、グローバル競争の中で孤立しているという。「今行動を起こさなければ、欧州はさらに遅れを取るリスクがあります。我々は、EU加盟国の政策立案者、そしてブリュッセルの関係者に対し、緊急性を持って行動を起こし、法案の作業を即時に開始するよう強く訴えます」。

この請願はEUの最上層部でも注目されており、2025年に提案を導入するという約束がなされている。

欧州委員会のUrsula Von Der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)委員長は、委員会の政治指針において、革新的企業のための28番目の法制度を含めており、先月には以下のように述べている。「カリフォルニアのスタートアップは全米で事業を拡大し、資金調達が可能です。しかし、欧州の企業は、全域での業務が難しいくらい、多くの国家的障壁や規制に直面しています」。

また、スタートアップ、研究、革新担当委員のEkaterina Zaharieva(エカテリーナ・ザハリエワ)は、2025年に第28の制度の枠組みを提案する意向で、「革新的企業が成長し、EU全域で簡素化され調和の取れた規則の恩恵を受けられるよう支援します」と明言している。
民主主義、司法、法の支配担当委員のMichael McGrath(マイケル・マグラス)も、EU全域での企業法的地位に関する具体的な提案を準備することを約束している。

欧州をスタートアップのパワーハウスに

青写真では、次期欧州委員会がどのようにして欧州の潜在能力を活かし、スタートアップのパワーハウスとしての地位を確立すればよいかも示されている。
・画一化された企業構造:EU全域での企業形態、調和の取れたコーポレートガバナンス、資本および資本金維持規則
・デジタルファーストアプローチ:完全デジタル化された登記簿やダッシュボード、画一化された投資書類
・EU-FAST投資:SAFEやBSA AIRなどの転換型投資契約を参考にした、新しく標準的なオープンソース投資手法
EU-ESOP:EU全域で統一された従業員持株オプションスキーム
これらの汎欧州的な画一化は、欧州のスタートアップが成長し、優秀な人材や資本を引き付け、世界的に成功するために不可欠である。

オフィシャルパートナー

オフィシャルパートナーには、以下の団体が含まれる:
European Startup Network(ヨーロピアン・スタートアップ・ネットワーク)、Allied for Startups(アライド・フォー・スタートアップス)、France Digitale(フランス・デジタル)、Dutch Startup Association(ダッチ・スタートアップ・アソシエーション)、Danish Entrepreneurs(デニッシュ・アントレプレナーズ)、Deutscher Startup-Verband(ドイチャー・スタートアップ・フェアバンド)、Startup Hungary(スタートアップ・ハンガリー)、Austrian Startups(オーストリアン・スタートアップス)、Adigital(アディジタル)、Rise Europe(ライズ・ヨーロッパ)、IE.F(アイイー・エフ)、Prompting Europe(プロンプティング・ヨーロッパ)、EsTech(エステック)、EBAN(イーバン)、Startup Disrupt(スタートアップ・ディスラプト)など。

政策立案者への正式な提出を2025年1月に控え、EU Inc.は実現に向けた最後のひと押しを視野に入れている。このため、より広範囲のスタートアップコミュニティに対し、提案への積極的な関与やフィードバックを呼びかけている。

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