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防衛技術特化型VCのProtego、わずか2週間で7000万ドルを調達
ディフェンステック、防衛技術と書くと、いろいろな方々が反応するため、マスメディアには出にくい性質があると思います。
イスラエルだけでなく、欧州や米国でもこの動きが、ウクライナ戦争後ありますが、大体的には日本では報道されません。それは、個人から上場企業まで有る種のタブーなのかもしれません。
読者のみなさまには防衛技術、ディフェンステックという触れ込みに惑わされず、一つ一つの企業をご覧いただき、本当に防衛技術だけなのか、それとも、それはスローガン、資金調達でValuationを維持するためなのか、など鋭い選球眼で会社を選んでいただければと思います。
イスラエルの防衛技術分野は急速に成長している。新たなVCファンドProtego Ventures(プロテゴ・ベンチャーズ)は、軍事技術への投資に特化しており、わずか2週間で7000万ドルの投資コミットメントを獲得した。同ファンドは、当初の目標だった1億5000万ドルを大きく上回り、2億ドルでの最終締結が見込まれているが、大半は米国の機関投資家から集まった。
このファンドには、若いながらも確固たる実績を持つ2人の起業家がいる。38歳のLital Leshem(リタル・レシェム)と39歳のLee Moser(リー・モーザー)だ。Protegoはイスラエル初の防衛技術に特化したVCファンドであり、既にドローン企業のXtend(エクステンド)に500万ドルの投資を行ったほか、この分野のスタートアップ数十社を評価中である。急増する防衛系スタートアップには、戦争前に設立された企業と、戦争後に生まれた企業の両方が含まれる。
比較的若いにもかかわらず、レシェムとモーザーはイスラエルのハイテク業界で際立つ存在だ。モーザーは、VCファンドAnD Ventures(AnDベンチャーズ)の創業パートナーであり、以前はワシントンD.C.にあるイスラエル大使館でMichael Oren(マイケル・オレン)大使の首席補佐官を務めた。彼女は今後もAnD Venturesでの役職を維持しながら、Protegoの運営も積極的に行う予定である。
一方、レシェムは2014年にスタートアップのCarbyne(カービン)を共同設立し、緊急対応システムのアップグレードに取り組んだ。最初の投資家はEhud Barak(エフード・バラク)元首相で、その後1億4000万ドルを調達。最近のラウンドでは米国通信大手AT&Tが中心となった。同社は次の資金調達ラウンドで10億ドルを超える評価額に達する見込みである。レシェムは現在、Carbyneで役職を得ていないが、同社の株式は保有している。近年、彼女は米国のセキュリティ企業であるBlackwater(ブラックウォーター)の創設者Erik Prince(エリック・プリンス)と協力し、アブラハム合意(2020年8月のUAEとイスラエルの和平協定合意)前からUAEで彼に代わって活動していた。
Protegoの着想は、レシェムがガザ地区での予備役勤務を終えた直後に、モーザーと共に参加したアドボカシー活動中に生まれた。農業共同体であるキブツ・ニリムからの代表団と協力する中で、2人が米国の業界幹部と会い、イスラエルの防衛技術への関心を認識したことがきっかけだった。
この動きはイスラエルにおける防衛技術ブームの新たな節目を示している。今月初めのCalcalist(カルカリスト)紙の報道によると、IDF(イスラエル国防軍)元参謀総長のAviv Kochavi(アビヴ・コハヴィ)が投資会社のAWZ(エーダブリューゼット)に参加し、防衛分野での投資を主導しているという。また、数か月前には、防衛、航空宇宙、宇宙分野に焦点を当てた新しいファンドが発表された。このファンドはIAF(イスラエル空軍)元司令官Amikam Norkin(アミカム・ノルキン)が率い、Harel Insurance(ハレル保険会社)がアンカー投資家として参加している。同ファンドも追加の資金を調達中であり、イスラエルおよび国際的な企業を支援しながら、イスラエルの防衛エコシステムを強化する意向である。
国際的な関心も高まっている。米国を拠点とするLux Capital(ラックス・キャピタル)は、イスラエルのセキュリティスタートアップへの初の投資を行い、既にSequoia(セコイア)やAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のような主要プレーヤーが長年活動しているこの地域に参入した。昨年夏には、著名な米国VCファンドの代表団がイスラエルを訪れ、新しい防衛イノベーションを模索した。イスラエルのVCファンド10Dは、防衛技術への投資を拡大するため、Alon Kantor(アロン・カントール)をパートナーとして迎えた。
このような投資の急増は、防衛戦略における世界的な変化に裏打ちされている。ウクライナ・ロシア戦争の継続や中東情勢の劇的な変化など、近年の紛争によって先進技術への需要が高まっている。現代の戦争は、大規模で伝統的なプラットフォームよりも、ドローンのような小型で無人のシステムへと移行している。政府は防衛予算を増加させ、調達プロセスを合理化し、スタートアップとの協力を進めており、これまで大手が支配していた分野にVCが参入しやすくなった。NATOやペンタゴンによるスタートアップとの柔軟な協力を促進する取り組みも、VCファームによる防衛技術への投資の大きな後押しとなっている。
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