「売れない営業の11の特徴」は売れる営業への道標
いまでは副業でスタートアップの営業顧問などもしている私ですが、実は営業が全然得意ではありませんでした。特にお酒が飲めるわけではなく、圧倒的なトークスキルがあるわけでもない。
受注がとれず、売上が上がらず、焦る日々。ただ、普段の営業活動で色々と試行錯誤をしていたら気づいたんです。
それは「避けておくべき事項」というものは、結構パターンが限られていること。そして、そこを外さないだけでもかなり成果がついてくること。
この避けておくべき事項をパターン化して整理したので、ご紹介していきます。
ただ、正直に告白すると、全て私が若かりし頃に失敗してきたことでもあります。自分自身や若手の営業などの顔を浮かべつつ、ご覧頂けたら幸いです
1. メール返信に2,3日
顧客から来た連絡。返信は「最低でも翌営業日。できればその日中。ベストは瞬間返信。」と覚えておきましょう。
理由は、思い出すコストの負担増加と、顧客からの返信率低下です。
忙しい顧客を想像してみてください。
ある日、メールを営業に送る。そのあとは、大量に別の連絡やミーティングの対応。最初に送ったメールの記憶はどんどん薄れていきます。
そして何日も経ったあとに、営業からメールの返信。でも、そのメールにさらに返信するためには「最初に自分が何を思って、どう送ったか」をわざわざ思い出す(=コスト)がかかります。
また、連絡を早く返すのはある種「大事にしている」ということ。裏を返すと、営業の返事が遅いと、顧客からも返信の優先度が下がっていくんです。
せっかくつかんだ顧客との連絡の機会。連絡のスピードくらいで失うのはもったいないですよね。
2. 日程調整に2,3日
当たり前ですが、日程調整にも「最低でも翌営業日。できればその日中。ベストは瞬間返信。」の原則が当てはまります。
仮の候補日程が抑えられていると、その日程には他の予定が入れられません。すると、カレンダー上に仮日程が存在するだけで、他の日程調整の度に社名見てイライラされるわけです。
それが何日も続くと、どんどん心証が悪くなります。日程決めは常に最速を心がけましょう。
3. 議事録作成にも2,3日
議事録の書き方はいろいろとありますが、おおむね「決定事項や実行担当者、締め切り」などは記載されますよね。これは、実質的にアクションプランです。
この議事録が遅くなると、その分初動のアクションが遅れます。すると、商談時の顧客の記憶は薄れ、検討の優先順位も自動的に落ちます。
さらにはすぐに議事録を書かないと自分の記憶も薄れるので、重要な発言など一言一句で思い出せなくなります。その結果、今後のアクション精度も落ちていきます。もはや「最悪の負のループ」と言えます。
たかが議事録と思われやすいですが、決してただの記録ではありません。具体的なアクションプランを含めた「戦略そのもの」です。
あまりにも重要なので、別のnoteでもまとめました。
4. 準備は夏休みの宿題状態
売れない営業ほど、何故か直前まで準備をしません。商談(締め切り)直前に始めて、命がけで準備を進める。間に合ったとしてもギリギリなので、思考や細かい部分が抜け落ちたようなものばかり。
何かを思い出しませんか?
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そう、小学生の夏休みの宿題です。
商談の事前準備はたくさんあるはずです。
例えば
・同行者に資料や方針を共有する
・同行者からフィードバックをうける
・過去の営業担当者がいれば、その人に情報を聞く
・同業種/同課題における他社事例を、自社の担当に聞く
・顧客のグループ会社で利用している場合、その現状を聞く
などなど。
ただ、これは前日の夜にはできませんよね。
つまり、準備不足必至。
商談の質が激しく落ちます。
対策は、上記に挙げたこと事前準備の時間をカレンダーに登録することです。当たり前のようですが、案外できていないので一度やってみてください。
ちなみに、事前準備のタスクは細切れにしておきましょう。優先度がつけやすく、計画も立てやすいためです。
「事前準備」などと大きなカタマリでタスクを処理しようとすると、私の経験上、けっこう失敗します。
5. 「1人カラオケ」商談
持ってきた資料の説明をひたすらしゃべりつづける。相手の顔などお構いなしで、ひたすらしゃべりつづける。
もはや「誰も聞いていないカラオケで気持ちよく歌っているおじさん状態」です。
実は顧客の情報は全く取れてないから、まともな提案ができない。なので、何も売れない。
まさに以前の自分がそうでした。
でも、どうしていいかわからない。そこで先輩の商談に同行させてもらい「上手な営業資料の使い方」を研究しました。
すると
①まずはヒアリングから入ること。
②ヒアリングした内容に合わせて、資料のページを飛ばしたり、具体例を補足したりすること。
③顧客から「まずは御社の説明してよ」といわれた時のために「資料の中で、ヒアリングできるポイント」を作ること。
に気づきました。
とにもかくにもヒアリングをしなくては顧客の課題はつかめません。
では、とにかくヒアリングを沢山すればいいのか?もちろんそうではありません。
6. 尋問>ヒアリング
こんな営業いませんか?
私「どういうところが課題ですか?」
客「こういうところです」
私「そうなんですね。次の質問ですが~」
一人カラオケ状態の商談に危機感を覚え、顧客を知るために聞くことに集中しすぎた結果の私のことでした。資料の説明を聞きたい顧客のイライラを感じてきて、自分の頭はどんどん真っ白に。
気づいたら脈絡もない質問と、資料を上からなぞるだけで商談終わり。
そんな冷や汗の止まらない商談が続きました。当然受注はできませんし、次回の商談にすらつながりません。
そこで、また営業の先輩に同行して「ヒアリングと説明の頻度」を研究したところ、気づいたのは「聞きながらアウトプット」です。
例えば
私「どういうところが課題ですか?」
客「こういうところです」
私「そうなんですね。それならうちの顧客だと、こんな感じで課題を解決していますよ。この事例については、あとで資料をお見せしつつご紹介しますね。では他の観点ですが~」
という感じです。
このような形であれば、尋問のようにはなりません。しかも、先にヒアリングは進め続けられるので、いろいろと状況を把握したうえで営業を進めることができます。
7. 踏み込み不足の初回訪問
実は私自身が特に苦戦したのが、この「初回訪問での踏み込み」です。
克服した経験から言えるのは「予算を直接的に聞くのは失礼」「一旦考えてみますねと言われているのに、食い下がるのは失礼」など、聞きづらいことに勝手な制約を自分でつけている場合がほとんど。
例えば、初回訪問で資料説明をしたあと
客 「よくわかりました」
営業「今後どうします?」
客 「社内で活用のイメージを湧かせるために、一旦持ち帰ります。」
営業「わかりました。ご連絡お待ちしてますね。」
これがまさに踏み込み不足のNG例。高確率で自然消滅します。
なのでたとえば
客 「よくわかりました」
営業「今後どうします?」
客 「社内で活用のイメージを湧かせるために、一旦持ち帰ります。」
営業「どの場面についてイメージが湧かないんですか?」
客 「この場面です」
営業「使ったことないもののイメージ湧かせるの大変じゃないですか?今度、それにあう事例持ってきますよ!いくつか事例を持ってくるので、それを御社に合わせるとどうなるか一緒にディスカッションしませんか?」
このようにすれば、次につながりますし、より具体的な検討に進みます。
具体的な予算や、一旦持ち帰ると言われた理由など、聞きづらいことを一歩踏み込んで聞いてみる。
すると、あら不思議、意外と答えてくれる。
こんな繰り返しで、どこまで踏み込んでいいかがわかってくるので、踏み込みが強化されていきます。
8. なぜか無視するマイナス情報
マイナス情報は「あとでどうにか対処しよう」という頭が働くものです。なので、多くの営業がその場で突っ込むのやめてしまいます。
ただ、マイナス情報の背景をしらないと、適切な対応ができません。その結果、取返しのつかない事態を引き起こすことも。
そこで、「言いづらいかもしれませんが、良い提案したいのでXXについて率直に教えていただけませんか?」と伝えてみてください。先ほどの例と同様、意外と普通に教えてもらえるものです。
むしろ、マイナス情報ほど裏にチャンスが眠っていることがあります。例えば、過去にこのようなことがありました。
客 「ちょっと前に検討してたんだけど、今はしていないんです。」
私 「そうなんですね。次の検討はどんなスケジュール感ですか?」
私だけだったらこのまま進んでしまうところでしたが、ここで、同席していた当時の先輩が「今は検討していない理由」を聞きました。
先輩「ちなみに、ちょっと前に検討をやめた原因って何ですか?」
客 「上司がもっと大きな問題から考えろというんです。」
先輩「もっと大きな問題とは、例えばXXということですか?」
客 「いえ、弊社ではいまYYが大きな問題となってきておりまして。YYの優先順位が高くなったんですよね」
先輩「ではYYという問題を解決した事例や資料をいくつか次回持ってきますね。そこでまたディスカッションできれば。」
このようにして、いち早く新たな課題に注力した提案ができたことで、コンペでも優位に立ち、無事受注につながりました。
9. 受身で早すぎる価格提示
価格提示のタイミングはとても重要ですが、同時にかなり複雑です。別途noteにまとめたのでそちらをご覧ください。
10. 顧客との遠すぎる距離感
多くの若い営業は「顧客との距離が遠い」んです。
まさに私もそうだったんですが、商談はそつなくこなし、ちゃんと進みます。決して関係も悪くありません。
ただ、仲良くなれてないので、いまの取引以上の大きな話は作れないんです。
関係性を強めるには、やはり商談以外の場。例えば、食事や飲み会の場は有効といえます。
とはいえ、私はお酒がのめません。
そこで悩んだ私は、顧客と飲みの場を作り、お酒を飲めない大先輩を連れ、所作を研究しました。
とても、盛り上がっている。
先輩の話をよくよく聞いていると、べつに無理に笑いをとっているわけではないようです。
そこでしか話せないような生々しい業界の現状や、顧客にメリットになる裏話。顧客との親和性が高い人を紹介するなどをしていました。
無理にお酒を飲む必要もないし、笑いをとる必要もない。とても大きな学びでした。
11. 顧客フォローは気分次第
顧客の検討の温度感は先方社内での議論によって大きく変化します。いつ、どう変化したかについて、最速で気づけるようにするためにも、顧客への継続的な接触は欠かせません。
そこで、先方内での検討・議論のステップを書き、想像で構わないので自分でスケジュールをうめてみましょう。
その際、できればスケジュールにずれがないか顧客に直接聞いておくのがおすすめです。
聞けば意外と答えてくれます。
その後、フォローの連絡をするときは「前回お話ししたときから想定して、そろそろ議論が終わったんじゃないかなと思って連絡しました。」と言って連絡します。
ここで議論が終わってたらどうするの?と思う方もいませんか?ただ正直なところ、議論は終わってても終わってなくてもどちらでも大丈夫です。
議論が始まってなければ、「いつなのか・足りない材料はないか」とフォローできますし、大幅に遅れているなら理由聞くこともできます。
直前のフォローで、顧客の検討会議に大きく影響を与える場合があるので、想定の議論予定日よりも数日はやめに連絡するのがおすすめです。
ちなみに、もし議論が終わっていれば、すぐに対応できるのでこれはこれで良いフォローになります。
まとめ🌮
あらためてですが、「営業で避けておくべき事項」というものは、結構パターンが限られています。そして、そこを外さないだけでもかなり成果がついてくるものです。
さらにいえば、ここで気を付けるべきことというのは決して営業だけにとどまるものではありません。いわば仕事の基礎力と言えそうです。
何度もお伝えしてしまいましたが、私自身、決して営業が最初からうまいタイプではありませんでした。かなり何度も失敗をしてきています。
ただ、センスで乗り越えることができない分、
・「何が原因で失敗しているのか」を何度も考え、仮説を立てる
・仮説をもとにテーマを決めては、先輩同行などで成功パターンを研究する
・言語化、整理をしては実践する
という動きは、我ながら良かったなと思っています。
苦労もありましたが、工夫して言語化したものは自分にしっかりと残りました。そのすべてを、後輩や営業顧問先に「再現性のある営業」という形で渡すことができる。
もちろんまだまだ完ぺきではありません。これからも前線で営業をしつつ、工夫をしながら乗り越えて行きたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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