組織改革のイロハは全て林さんが教えてくれた
私が既存顧客のセールスチームの組織改革に乗り出した2年目、チーム運営に悩んで頭を抱えていたとき、相当冴えない顔をしていたのか、
「面白い人がいるから、会ってみなよ」
営業の大先輩Mさんから紹介されたのが林さん、その人でした。それを言われた時に心の中で
「えっ、あの人???」
という心の言葉が通じたかのように、Mさんが
「まぁまぁ、黙って会ってごらんよ。ここだけの話、私も彼からロジカルで戦略的な話が聞けると思ってなかったんだよ。私も悩んだ時に相談しに行って、想像もしないアイデアをくれるのが林さんでさ。で、一つ君に聞いて欲しい組織改革の話があるんだよ、びっくりするから。」
とニヤニヤした顔で言ってきたのでした。
こんな会話がきっかけで、以来私が林さんに何度も壁打ち相手として、時にはエナジャイズしてくれる素晴らしいメンター的存在になっていただくとは想像だにしませんでした。私のチームにも何度かお招きして、直接お話をいただいたり、とチーム運営上も多大なご協力をいただきました。
この組織改革の話は、特に将来のリーダーを目指す人には聞いて欲しくて、クローズしておくのはとにかく勿体ないと、聞く度に思っていたので、今回はnoteで書いてみました。
出来る限り多くの人に届けたい、という想いから、本noteは無料で提供し続けたいと思います。そこで読んだ皆さまに3つのお願いがあります。
1)面白いと思ったら、SNS何でも構わまいのでシェアしてください。
2)どういう形でも良いので感想をください。ご協力いただいた林さんに是非お伝えしたいので。
3)林さんの話を聞きたいと思ったら、反応をください。林さんも若い人たちに話したい想いは強く、どういう形かで実現したいと考えています。
よろしくお願いします。それでは始めたいと思います。
0. 組織改革の概略
野村:
林さんの自己紹介から始めましょう、お願いします。
林さん:
今は66歳で非常勤の取締役の仕事は一つ残しているけどもう引退だな。最近は日本中よく旅行しているよ。勉強になっておもしれーんだ。
お、自己紹介だったな。元々は理工学部でエンジニアになるための勉強してた理系の人間なんだけど、なぜか営業になってな、某電機メーカーの。当時は数万人、数百の事業部あって、理系の就職先のトップクラスでもあったんだ。
野村:
失礼ですけど、理系って聞いて意外でした。最初お会いした時はベラメンメー口調で、根っからの営業マンな印象だったので、笑。組織改革の話を聞くと極めて理系脳だなぁと印象が一気に変わりました。
林さん:
今言うと怒られちゃうくらいブラックに仕事してたし、激烈な営業だったからな。理系の印象は誰もなかったと思うな。その電機メーカーでは大企業向けの営業部隊の長としてやっててな。当時は売上数百億、営業とSEが合わせて数百人が所属するのが1事業単位だな。
野村:
1事業の単位が、もはやちょっとした上場した企業の規模ですよね。
林さん:
良い経験させてもらったよ。そのあと、大企業特有の色々があってな、子会社へ出向させられて、笑。中堅中小企業を狙う位置付けの子会社では役員してて、今日の話はそこでやった改革の話だな。
野村:
よろしくお願いします。
林さん:
結論を先に言っちゃうと、マーケットをちゃんと定量的に分析して、戦略たて、組織動かそうよ、って話だな。自分の経験で言うと、改革の時に皆で戦略をたてた時は、
1. マーケットポテンシャル(市場全体の大きさ)を数字で理解する
2. 自分たちの強さを数字で理解する
3. 数字の力を使って組織を動かす
って話を徹底的にやったんだ。
野村:
これは林さんがもともとオリジナルでやってた訳ですか?
林さん:
メンバーの英知を集めた訳だけど、何かを参考にした訳ではなく、オリジナルだな。色々歴史があってな、どこかでまた話すけど、
課長時代:
客先へのアプローチ深度の定量化
主任時代:
大手企業の顧客の組織で、「インテリジェント鞄持ち」として顧客の超優秀な幹部と経営計画を作りながらノウハウを習得
部長時代:
営業部門の合併&統合の為に、マーケット定量化と相乗効果による中期的戦略の定量化での組織マネジメント
こんな歴史の中で自分で創っていったんだ。主任時代のお客さまの幹部の方に教えてもらったことが色濃いかな。戦略なく闇雲にやるのはつまらなくてな。好きでやってたな。
大体みんなここまでやらなくて、前年の10%アップとか20%アップとか適当に目標数字作ってる訳よ、笑。何の根拠あんの?って。精緻にやりすぎる必要はないけど、市場全体の大きさもわからずに、自分たちの立ち位置も明確にせずに、どうやって戦略たてろって話だろ?
それに、市場全体がこれで、ここ狙おう、って言わなきゃ、どこ向いて歩んでるか、わからないから誰もついてこないでしょ。だからちゃんとX年後にこういう会社にしてこう、って道しるべをわかりやすく示したかったんだよな。
1. マーケットや自社状況を数字で理解せよ
野村:
そのために、まずはマーケット全体を調べた、と。
林さん:
そうだな。BtoBビジネスは対象が企業。そうすると日本にどのくらい企業があって、規模別にどのくらい会社があるのか、まずはそもそも日本の市場全体の大きさを調査して、数字で理解するところから始まっているんだ。
この資料のデータは総務省の統計局から引っ張ってきてるけど、企業なら帝国データバンクが良いかもな。切り口は売上XX億以上という規模できっても、資料のように従業員できっても近似値だから、どちらでも良いと思うな。
一旦は、自社がターゲットにしている以外の市場も含めて、可視化しておくと思考の幅が狭まらずにいいと思うな。
野村:
確かに私自身は大手企業向けの製品だったので、大手企業の数の感覚はありますが、例えば中小企業の数は?と言われても全然数の検討がつかないですね。そうすると他の市場に視点がいかない、全体の企業数を感覚として持っているだけでも見方が広がりますね。
林さん:
マーケット全体を把握した次にやったことは、自社がどんな組織で、それぞれどこのマーケットを狙っていたのか、その結果がどうだったのか、現状を整理したんだ。
自分がいた子会社の状況を簡単に共有しよう。
当時親会社の組織と連動して、全く同じ組織体系が子会社の当社でも踏襲されていて、その結果親会社を頼りきって案件をもらう構図ができてしまっていたんだ。それは市場開拓率(自社が取引したことがある会社数 / マーケットの企業総数 の割合)にも表れている。
中堅・中小企業向けにビジネスをすることを目的として設立をされた子会社ではあるが、大手企業への市場開拓率が高く、中堅・中小企業向けの市場開拓率は低いということが明らかになってきたんだ。
野村:
現状にとらわれることなく、一旦自社の現状も分析しながら、市場全体にどのくらいポテンシャルがあるのか、をクリアーにするためにやった訳ですね。
林さん:
そう、重要なのは、定性じゃなく、できる限り定量で、ちゃんと数字でマーケットを示すことだよね。そもそもそれがわからなきゃ、どこに突っ込んで投資していったらいいのか、なんてわからないからね。
野村:
それはまさにですよね。わかってたつもりでも、実際に計算して、定量で出してみると、バイアスによるズレで、ハッとする事実もありそうですよね。
林さん:
そうそう、そんなことたくさん起きるな。だいたいアホなトップが自分の感覚でああだ、こうだ、言うんだけどさ、たまに正しいこともあるけど、大抵間違ってる訳。だからまず疑って自分で調べる。その癖をつけることはビジネスパーソンとしては重要なことだと思うな。
2. 自分たちの強さを数字で理解せよ
野村:
そして、次に自分たちの強さを整理することですね?
林さん:
そう、これまでの自社の取引を分析すること。どこにどう売れてて、なんで売れてるのか、自社の強みはなんなの?みたいなところを知る作業だな。
結論をいうと、要は営業やってないよね、ってことがわかったってことなんだ。子会社では中堅中小向けとか言っているのに、売上の構図は従業員数1000人以上の大企業からが中心で、しかも親会社の紹介だから、全然営業してない訳。
資料上部の親会社とセグメント1の売上数字や市場開拓率や優良顧客(取引実績が30百万以上ある顧客)に対する市場開拓率と、その他のセグメントの数字を比較して見て欲しいんだよな。
親会社への依存度が明らかに高いことがわかるよね。それに比べてSMB(中堅・中小企業)のマーケットは一目瞭然で、口座数獲得、つまり取引ができていないんだよ。
こういうの見せられると、グーの音も出ないでしょ。「やってます」「頑張ってます」とか言うんだけど、精神論いらないし、やっているとか、やってないとか、感情で議論してもしょうがないからさ。
野村:
そうですね、確かに数字で見せるってのは重要ですね。反論できないもんな、これじゃ。
林さん:
そうなんだよ。やりたいのは、会社を良くすることだから、出来てないことは出来てないってはっきり言うべきで。そのためには数字なんだよな。くだらねぇんだよな、感情の議論とか。
野村:
ちなみに子会社の強みはどこにあると分析されていたんですか?
林さん:
親会社からの連動から、大企業に対しては市場開拓ができたとも言えるけど、親会社と同じことをやる子会社は意味がないし、将来もない訳だよね。だからこれは子会社の強みではない、と捉えたんだ。
中堅企業への市場開拓は数字的にもできていない訳ではなかったし、これまでの実績からも戦える武器はあったから、あとはここにセールス資源を集中投下すれば、大きく伸びるのは予測できた。
中小企業のマーケットに関してはあとで話すけど、T事業部長が先んじて進めていたメソッドがあることを知って、彼の話を聞いたときによく分析されていて、資源を投下すれば、中小企業でシェアは大きく拡大できることが予測できた。
加えて、競合他社の分析からも、当時中堅・中小企業に特化してやっていた会社は少なかったから、こうした武器を最大限活用するためにも資源を集中投下すれば、自社が本来狙うべき中堅・中小企業の市場を獲得でき、子会社としての地位を確立することができると考えたんだ。
3. 市場のどこを狙うのかを数字で示して、組織を動かせ
野村:
自社の強さが分析できたあとは、どこに向かって、どう動いていくか、ということですね?
林さん:
そうだな。まずはどこに向かうのか、売上の目標に意味を持たせなきゃいけない。やる気あるやつもやっぱりいる訳よ。そういう奴らにちゃんと未来を見せてやらなきゃいけない。そのための数字というのもあるんだよな。
野村:
というと?
林さん:
例えば、こういうことだな。目指すべき位置をはっきりさせ、それを達成するためのわかりやすい戦略を伝え、実現できそうだ、と思わせることだな。
だから構造改革でやったことは、皆に危機感を持たせ、その上でとにかく2000億というラインを目指さないと業界で生き残れないというわかりやすいメッセージを出したんだ。
当時はSIの業界も多すぎて合併が起き始めていたんだ。下の資料の「当時の外部環境」を見てもらうとわかるように、仮に2000億に届いても、トップ10にも入れない、つまり2000億、3000億のラインに到達することは急務。
だから、まずこの危機的な状況を共有して、打開する布石になるような目標にするのが、全員にとってわかりやすかったんだ。そういう意味で3年後の2000億円をまず目指すんだ、というラインを設定したんだ。
もちろん、選択肢としては事業を特化型にして、規模縮小し、利益率向上を狙う選択肢もあったと思う。ただ、まだ規模拡大する路線で勝負できる材料もあったし、他のメンバーも特化型事業の道を選ぶことに積極的なメンバーもいなかったから、規模拡大の選択肢を選ぶのはごく自然の流れだったな。
野村:
総論は賛成な状態で、各論に入っていくところ。ここからが一番実行の難しい部分ですね。
林さん:
その実行という観点で、今から話すことが、改革の最も重要なポイントだな。
冒頭にも触れた親会社頼りを生んでしまう組織構造を戦略に合わせて根本的に大きく変えることを決断したんだ。組織の形は自然とメンバーの行動に影響を与えてしまうものだから、自分たちが導きたい方向に合わせて最適な組織を創るべきなんだよな。
だから、今回の戦略に合わせて、それぞれの部門でそれぞれのマーケットを親会社に頼らず、どう自分たちの努力で開拓できるか、という意識を引き出すために、下記のようにマーケット毎のカンパニー制に大きく転換させたんだ。
単純にカンパニー制がオススメですよ、という話ではなく、あくまで組織の課題を受けて、どういう組織であれば課題が解決でき、思い描いた戦略通りに組織が動くかを考えて、最適な組織体制を創ることが重要だな。これによってメンバーの動きやすさ・動きにくさは大きく左右されるからな。
その上で、2000億円の売上を3年で達成するために、どこに注力し、どんな戦略をとるかの絵を示すことだな。当時の分析と考察を繰り返して、それぞれのマーケットに対して、下記のような戦略を打ったんだな。 具体的に説明すると、
<Aカンパニー>
親会社との連携。面倒な案件ばっかり押し付けてくれる奴もいるから、利益にならないものも多い。だから、とにかく親会社の良い営業に癒着しろ、面倒ばっかり押し付けてくる奴とは付き合うな、と言ったんだよな。それを少人数でやらせることに。
<Bカンパニー>
それまで分散していたセールスのリソースをシフトさせて、とにかく会社として伸ばすべき中堅企業のマーケットに営業戦力を集中投下する。
<Cカンパニー>
会社に反対されながら、もともとT事業部長という中堅がここをやってて、顧客自ら会社に足を運んでもらって、商談会をやって、3回でクロージングする方法を編み出してたんだ。それ以上やっても受注率は悪くなる。そういう分析が既にがっちり確立されててな。
30人くらいのチームでやってたけど、ここまで方法論がしっかりしていれば、会社に足を運んでもらう絶対数を増やせば、確実に成果上がることは見えていた。
だから、一気に人数増やして250人くらいにした訳。このマーケットは単価は対して上がらないだろうから、とにかく単価下げても個数を売れる工夫をしろ、もっと効率化しろと言ったんだ。
野村:
この戦略は明らかに中堅・中小企業に狙いが定められていて、シンプルでわかりやすいですね。
林さん:
そう、狙いはわかりやすさだからな。要はチームメンバー全員が理解して、これでイケる!と思える内容にしなきゃいけない。そのために3年後の目標数字の達成はこうやって数字を作っていくんだ、って方針を練った。
簡単には達成できないかもしれないけど、各マーケットに応じた戦略を実行すれば、3年後の2000億、5年後の3000億は頑張ればいけるでしょ、と多くのメンバーが思ってくれるようなことが重要。
去年の10%、20%アップの目標だから、頑張れ、とか言われても、「は?」って感じだろ?まず気持ちが入らない。
綺麗に描かれているものを見ると、なんだそんなことか、と思うかもしれんけど、この裏では膨大な分析と議論をしてて、骨が折れるんだよ。わかりにくいものは捨ててってるから、最後にアウトプットされるものはシンプルになる。だからそんなこと?って外から見ると思いやすいんだよな。
野村:
裏での苦労は知ってて欲しいですけど、まぁ伝わらないし、伝える意味もないから、マネジメントの我慢料みたいなもんですね。これだけ研ぎ澄まされた誰でもわかりやすい戦略で、皆が動き始めたときを快感に変えるしか、ないというか。
林さん:
そんなもんだよな。
こんなの普通なら絵に描いた餅なんだけど、社長のFさんもおれと同じように親会社からきて、徹底的に変革する覚悟が2人であってな。だから、この計画をベースに本当に大胆に組織を変えちゃったんだよな。全社員約3千人の異動発令を同時に出したやつとか、世の中そういないよな。
4. 結局大事なのは実行するメンバー
野村:
こういう計画は自分1人で考えてるんですか?
林さん:
いや、もちろんオレだけではないよ。1人で動かせる範囲なんて微々たるものだから仲間を作ったんだ。有志の中堅でな。こいつらは覚悟さえあれば、やってくれるだろうという面白い、そして下に人望が厚く、よく働くメンバーを厳選したんだ。
おれと一緒に組織改革をやってくれるメンバーに最も重要な点は覚悟だな。
大胆なことをやるから、失敗するかもしらん。失敗したら昇進はできなくなるかもしれない。 それでも逃げずにやりきるか、自信がなければ今からこのプロジェクトから離脱してもらってもOKと言ったんだよな。ま、いわゆる血判状をやったんだよな。
で、残ったメンバーで、この計画の作成から実行まで全部やっていたんだよな。
野村:
ノイズも正直多いでしょうからね。それ相応の想いがないとできない仕事ですね。
林さん:
失敗したら辞表出して辞めるくらいの覚悟はみんなあったと思うぞ。今でもCカンパニーの中心だったT事業部長はその血判状持ってるって言ってたな。
野村:
Tさんも相当な覚悟があって、その時は凄いモチベーションだったんでしょうね。
せっかくTさんのような方がいても、1人でも失敗に覚悟できないような中途半端な分子がいると、チームとしてのまとまりもすぐなくなるので、林さんが実施した血判状の仕掛けはどういう形にせよ、実施する必要はありそうですね。
林さん:
そうだな。俺も結局1人1人に伝えて言ったからな。覚悟のない奴には参加してもらうとお互い不幸になるから、無理矢理参加させるようなことはさせなかった。
ま、本音を言えば、失敗をビビるってのは本当はもったいないんだよな。実際は失敗しても、それぞれのメンバーには新しいことにチャレンジしてるからそのプロセスで学ぶことは多い。何もやらないやつよりは断然生き残るんだけどな。
そう、で話は戻るけど、構造改革の骨格を理解してもらった上で、このメンバーに自ら詳細の計画を作らせて、自分たちの気持ちがのる実行計画にしてもらったんだ。
会社としても大きな構造を変える動きにしなきゃいけないから、組織もちゃんと作らんなきゃいけない。ここ中途半端にすると、組織は全く動かないからな。
だから、血判状を押させたメンバーたちには構造改革の中心に立ってもらうために、横断タスク的に組織も作って、それを正式な組織として認識してもらうために、役員会で発表しちゃった(下記の資料)って話。これでメンバーも含めて、引くに引けない状況を作ったんだよな。
これでメンバー一同やるっきゃないってまずは結束したよな、否が応でも。もちろん抵抗勢力はあったよ、斜に構えるやつとかさ。でもそれは社長もおれも絶対退かないって決めてて、あとはメンバーに自由にやれって言ってたから、汚いところは全部やったよ。ま、それが上の仕事でもあるしな。
野村:
リーダーの覚悟も必要で、上の方たちがその覚悟だとチームのメンバーも動きやすいですよね。それはうまくいっているチームとそうでないチームを見てよくわかることですね。
林さん:
そうだな。でも最終的には本当メンバーがよく頑張ったんだよ。おれは何もしてないな、そういう意味では。それもあってこのメンバーは皆成長したしな。ほんと面白かったんだよな、これやってる時。大変だったけどな、ここでは話せないような色んな話があってな。
で、結果も1年で狙い通り出てきたんだよな。野村ちゃんはわかると思うけど、システムだからプロジェクトが完了しないと売上が上がっていかないから、売上でいくとほぼ変わらなかったけど、受注ベースでは成長したんだよな。
具体的には受注ベースで前年比で10%近く伸びて、特に狙っていたBカンパニーは114%、Cカンパニーは112%と堅調だったんだよな。
野村:
なるほど、翌年、もっというと3ヶ年はどうだったんですか?
林さん:
ここからがドラマでな。企業ってのは色んなことが起きるんだ。最初の改革元年はさっき言った通り、改革の狙い通りの結果が得られていたわけだ。
で、2年目も改革も順調で黒字だったんだ。
それが、突然のFさんの社長更迭があって、それに伴って自分もこの改革が続けられなくなった以上、覚悟を決めていた訳だし、転職の道を選んだ訳だな。
野村:
結果出てたのに不思議ですよね、ほんとに。。。
林さん:
これが大企業ってもんだよな。いろんなことが起きる。まぁでも色々やらせてもらった会社には感謝してるよ。それに自分なりに工夫してやってきたことが縁で、他の会社でも話させてもらって出逢いがあったし、野村ちゃんたちにも逢えた訳だしな。
野村:
本当にありがたいですね。
林さんのこの話は、聞きたい人大勢いると思うんで、いつか本にしてください!
5. 私が実践してみて得たこと
と、こんなやり取りを林さんと私がさせてもらったのは2013年くらいだったと思います。私が林さんのこの話を聞いて、自分も実践してみて、3ヶ月に1回くらい結果を報告・フィードバックをいただきながら、チーム運営をしていました。その過程でマネジメントとして得た重要なことは下記です。
・定量的にマーケット全体を捉え、自社のフォーカスする市場を定めること
・上記をわかりやすくシンプルに伝え、組織に浸透させること
・組織改革には覚悟できるメンバーを集めること
それだけではありません、私のチームに林さんにきていただき、リーダー層の意識を変えるためにもここに書いた同じストーリーを聞かせ、ディスカッションしていただいたりしました。ここでも新たな発見があって
自社の人間ではなく、外部の経験のある方に話をしてもらうことは、チームの強い刺激になること
です。私のチームのリーダー達が林さんの話を聞いてから、チームの戦略に対する納得感や理解度が向上して、よりチームとしてのパフォーマンスが上がる経験をしました。チームとして、異質な才能に触れることも非常に重要なことなんだな、と実感できました。
でも何より記憶に残っているのは、林さんの優しさ。私やチームメンバーに会うたびに「おもしれーな」「いいじゃん、いいじゃん」「お前らいい顔してるな」とモチベートしていただいたことです。
林さんはぼくらがその時、我慢の時期だということを知っていたのでしょう。そんな林さんにそっと背中を押していただいたんだと思います。
6. 最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
林さんがこの話を若い世代に話すときの嬉しそうで活き活きとした表情を見て、林さんの話を直接聞きたい人と直接話す場を作りたいと思ったことに加えて、純粋にこの話を色んな方に聞いてもらいたいという個人の感情もあって、このnoteはお世話になった林さんへの恩返しと思って始めたことです。
繰り返しになってしまいますが、最後に再度お願いをさせてください。
1)面白いと思ったら、SNS何でも構わまいのでシェアしてください。
2)どういう形でも良いので感想をください。ご協力いただいた林さんに是非お伝えしたいので。
3)林さんの話を聞きたいと思ったら、反応をください。林さんも若い人たちに話したい想いは強く、どういう形かで実現したいと考えています。
最後に私の連絡先であるTwitterアカウントを載せておきますので、気になる方はご連絡ください。