『それぞれの目玉焼き』
目玉焼き。
卵を割って、ただフライパンの上で焼くだけの単純な料理だけど、これほど人の好みがそのまま反映される料理もないんじゃないか、と思ってる。
例えば黄身のかたさ。
半熟が好き。固めが好き。
両面しっかり焼くのが好き。ほぼ生が好き。
例えば味付け。
塩胡椒が好き。醤油が好き。
マヨネーズが好き。ケチャップが好き。
違う人間が3人より集まれば、それはもう好みはバラバラで、我が家ではちょっとめんどくさいけど、各々ひとりずつ焼いたりする。
私は半熟が好きで、塩胡椒派。
母は固めが好きで、味の素と醤油をかける。
旦那はその時の気分によってまちまちで、正直、コイツがいちばんめんどくさい。
時々、みんな一緒に焼けばすぐ終わって楽なのに、と思うけど、でも誰かが我慢しなくちゃいけなのは可哀想だし不公平だから。
たから、めんどくさいけれど別々に焼く。
テーブルの上には、好きなものをかけられるようにいろんな調味料をセットして。
あとはご自由に、というセルフスタイル。
結婚した最初のころは、こんなテキトーでいいのか、と思ったりもしたけれど、結局、これがいちばん揉めない方法だと気がついた。
……そういえば昔。
目玉焼きに合う調味料を探してみたことがある。
小学生の頃だったかな。
醤油で食べるのにも飽きてきて、かといって他の調味料もひととおり試したあとで。
なんか面白い味ないかな、って探したことがある。
意外と合ったのはハチミツで、クソほど不味かったのが確か味噌。
ハチミツも、ご飯のおかずとしては致命的に合わなかったけど、それより固形物はまずかった、うん。
でも別に。
旦那が味噌を目玉焼きにつけて食べていても、私はそれに対してどうとも思わない。
人の好みなんて千差万別。
誰にも否定する権利なんてない。
味の好みも、時間の過ごし方も。
本の好みも、音楽のジャンルも。
みんな違って、それでいい。
そう思えるようになったのは、私が少し大人になったからなのかな。
大したオチもないけれど今日はこれでおしまい。
たまにはいいよね。
こんな意味のない話も。