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結鶴さんのライブパフォーマンス鑑賞。

福岡アジア美術館にて行われている「躍動感謝祭」に何となしに行く。
一昨日から始まり、初日に見ているがまた見たくなる。私は作品を出していないが、この「感謝祭」に至るまでの「躍動する現代作家展」には何度か出品させていただいているので何度も足を運びたい展示となっている。どこまでも主観的な動機だと思う。
開催中に色々とイベントがあるのは何となく知っていたが、何が行われるのかは知らなかった。
偶々到着したタイミングでライブパフォーマンスが行われるとの事なので拝見した。
書家の結鶴さんの書のパフォーマンスだった。壁に設置された大きな和紙に脚立で登って墨を紙にぶつける。
会場は静寂に包まれ、筆と紙の擦れる音のみとなる。
結鶴さんは脚立に乗りながら体全体で筆を動かす。字を構成する線は力強く、その逞しさは筋肉の動きそのものであり、結鶴さんの感情が筆を伝って和紙に移る。
そのまま脚立を下りながら筆は上部から一気に下へと降りて美しい墨の流れを紙に残す。
その壁にかけられた作品は5分くらいだろうか。体感では筆を追いかけているうちに終わったように感じる。
そのあと床にも同じ大きさと思われる和紙が広げられ、息もつかぬ間に二作目に移る。
和紙と筆の擦れる音が良い。緊張感を感じる音だ。これこそがライブの醍醐味だと思う。
二作を書き終えた結鶴さんは肩で息をしていた。無意識に息を止めていたらしい。それだけ神経を研ぎ澄ませていたのだろう。
作品ができる瞬間に立ち会えるライブパフォーマンスや公開制作はよくよく考えればものすごく贅沢な体験なのである。
単なる紙が、作品になる。
ライブは元より作品である。出来上がった書もまた作品である。
鑑賞者は二つの作品を同時に見るのだ。
何度も書く。
これほどの贅沢を見過ごすことが出来ようか。

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