この思いはただ自分のためだけにあることー凪良ゆう「わたしの美しい庭」
ここは私だけの庭、とてつもなく美しい、或いは、そう信じている。あなたにはあなたの庭があって、あなたが美しいと言うのなら、それはあなただけの美しい庭。
私はそれを否定しないから、どうか私の庭をあなたの言葉で形容しないで。
この小説の登場人物は、それぞれの庭を持っている。庭はそれぞれの人生であり、庭の草木はそれぞれの人生が育んだもの。その庭は、その人だけの庭であり、他人が語り草にすることは許されない。
たったそれだけのシンプルな願いを理解してもらうことは難しい。いや、そもそ