ニッパ刃先の折損
現在、3Dプリンターで、ある部品を造形しています。
今回は、縦長(細長い)部品でしたので、造形中に溶融したフィラメントのノズルに摩擦力で引っ張られても倒れないように、サポートを設けました。
フィラメントを突出するノズルと、造形中の部品の間には摩擦力が生じています。
その摩擦力で、溶融したフィラメントが部品形状として残り、部品が造形されます。
細長い部品の場合、高さ方向の上に行くほど、造形プレート(基準平面)に生じる曲げモーメントは大きくなります。
その結果、造形プレートについている部分が剥がれてしまい、部品の転倒など思わぬ事態が生じます。
今回、未然防止策として、モーメントに対応するための補強サポートを設けました。
中世の建築にもありますが、壁面の座屈崩壊を防止するために補強サポート構造が設けられています。
下図は、ノートルダム寺院。
中世ヨーロッパでは、建築物の大型化が進みましたが、その一方で、強度設計などの対策も進みました。
今回、その事例を応用しております。
どこに壁面補強をしているかわかりますか?
また、ノートルダム寺院は、外部にあるので分かりやすいです。
日本国内ですと、明治村(愛知県犬山市)にある教会の柱に、同じような構造で補強材が入っております。
そんなサポート材を除去するために、ニッパを使っておりました。
除去作業の途中から、刃先がつぶれてしまうので、その都度、刃先を砥いで作業をしていました。
その結果、折損です。
目に向かってこなかったことが幸いでした。
作業中、何が起こるかわかりません。
防護メガネは必ずしましょう。
折損した破断面を見ると、せん断力による脆性破壊の特徴が出ておりました。
断面から見える鋼材は、調質された生材のように見えました。
所々、白く光る炭素の塊が見えました。
疲労破壊にあるビーチマーク(繰返し疲労の痕跡)はありません。
焼入れがなされていないのだと思います。
購入した3Dプリンターの付属品でしたので、午後にでも金切りバサミを調達したいと思います。
また、破断面を観察した結果については、アップしようと思います。