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社会から自殺はなくならない

もし希死念慮を抱く人が皆、自殺したらどうだろう。

死にたかった人にとっては自らの望みをかなえることができてよかった。
社会全体にとっては自ら死を望む不幸な人が減ってよかった。
めでたしめでたし、となるだろうか。
さすがにそれは短絡的すぎるだろう。


以前の記事でも述べたが、人間は一定の規模の集団で生活する以上、自殺者は必ず発生する。集団を維持するために制度や規則といった構造的な仕組みが設けられ、それに順応できない人は自殺する。

自殺者の発生は大きな集団において自然発生するものであり社会の良し悪しで語られる話ではない。ましてや個人の意思でどうにかなるものでもない。

人間が集団で生活するということはその中の誰かしらが自殺するということだ。ここは幸福の町オメラスなのだ。誰かが鍵のかかった地下室に閉じ込められることで町の幸福が担保される。それと同様に、誰かが自殺を引き受けることで社会は維持が可能となる。そういう構造になっている。


だから、仮に死にたい人が皆自殺を遂げたとしても自然発生的に新たな死にたい人が生まれるだけだ。社会の在り方が抜本的に変わらなければその構造に抗うことはできない。


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