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体験談 〜摂食障害の果てに〜


④気胸とコロナ感染になっていた


 この病院でもナトリウムと吐き気止めの点滴をされました。朝もしたのに、又していいのだろうか、と思いました。その間に入院が決まり、点滴後、レントゲンを撮るまで待つことになりました。廊下に出てみると、もう夜が明け、朝ご飯の時間でした。
 お腹が空いてきたので、父と弟に、コンビニでおむすびとサンドイッチ、お茶を買ってきてもらいました。いつもの私だったら、絶対におむすびなんて食べないのですが、今は食べないと死ぬ気がして、食べました。美味しいなあ、と思いました。こうなる前から食べておけばよかった、とつくづく思いました。おむすびを二口ほどかじったところへ
「レントゲンを撮るから来てください。」
 と、看護師さんかレントゲン技師さんだかわかりませんが、呼びにきました。
 検査の結果、肺に穴が空いていることが分かりました。肺から漏れた空気によって肺が押し潰されていたのです。これを『気胸』というのだそうです。すぐ処置が始まりました。心の準備なんてしている暇もありませんでした。麻酔を打たれ、肺の横にチューブを繋がれました。呼吸が楽になって、気分も良くなりました。
 この処置は、『胸腔ドレナージ』というものです。胸壁に小さい穴をあけ、『ドレーン』と呼ばれる細いチューブを胸腔に挿入し、たまった空気を抜きます。
 さらに、私がコロナに感染している、という結果が出ました。まさかの事態に、言葉も出ませんでした。コロナに感染したら、死んでしまう、と思っていました。毎日、多くの人たちが亡くなっていくニュースが流れていたからです。家族はこの事を知っているのだろうか? と不安になりました。おそらく家族もコロナに感染しているに違いない、と思いました。数日前、父はひどい風邪を引いていて、熱がありました。弟も、風邪で微熱が続いていました。絶対、コロナだと思いました。だから私が移ったのだろう、と思いました。母は心筋梗塞です。母がコロナに感染したら、ただ事では済まない状況になります。絶対にコロナに感染してはならなかったのに、なんてことになったのか、驚きと衝撃で、心臓がドクドクしました。家族に会って、この事を伝えたい、と思いました。ところが、気胸の処置が終わると、医者が「津山中央病院に搬送する」と、言って救急車を呼んでしまいました。家族とは待合室で別れたまま、会うことができませんでした。
 中央病院に着くと、担架で処置室に運び込まれました。コロナに感染しているので、他の人に移らないようナイロン張りの箱の様な物で上半身を囲まれ、右端から酸素が吹き出してきました。点滴をされ、左右から服と下着を剥がされ、病院の浴衣を着せられました。
「トイレに行きたいです。」
 と、言うと、
「行っている暇はないな。」
 と、男の先生に言われ、「あ」も「う」も言う間もなく、尿道に管を差し込まれました。初めての経験だったので、大変なショックでした。
 (こんな管なんかでできるわけない!)
 と、思ったのですが、おむつまでされ、「いつでもしてよろしい。」と言われました。しないわけにはいかなくなって、初めて管で用を足しました。妙な気がしました。

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