阿修羅のごとく 配信観劇 ブログより再録:向田邦子の留守電
二日連続での演劇の配信鑑賞です。
今日は、昭和の名脚本家であり、エッセイスト、小説家としても活躍した向田邦子の代表作「阿修羅のごとく」を舞台化した作品のライブ配信。
1979年のドラマ放送時に加藤治子・八千草薫・いしだあゆみ・風吹ジュンが扮した四姉妹に、今回は小泉今日子・小林聡美・安藤玉恵・夏帆が、木野花演出による令和バージョンで挑みます。
私はドラマについては、話の発端を読んだことがあるのと、トルコの有名な軍楽を使ったテーマ曲がインパクト大だという認識程度のかすかな記憶でしたので、まっさらに近い状態で楽しむことが出来ました。
父親の浮気を巡って、昭和な物語が昭和な台詞で展開されるのですが、センターの舞台の四方を客席が取り囲み、工夫された役者の出入りとシンプルかつ機能的な道具立てによって、存外スピーディーに進みます。
上演時間は二時間きっかり。コンパクトにまとまっていました。
想像していたほど生々しさや毒、ざわざわ感はなく(ライブ配信の限界故かも)、でも昭和の残り香はしっかりとある、そんな舞台でした。
役者陣に一言だけ触れるなら、小林聡美さんは、佇まいと言い、セリフ術と言い、やっぱりダントツに上手い!
アーカイブ配信は18日の日曜日まで見られます。
さて。
10年余り投稿を続けた「ウェブリブログ」が閉鎖されるのを機に始めた、このnote。ブログに投稿した記事の中から、投稿から間をおいても、しばしば閲覧されている記事をさかのぼってピックアップし、再録しています。
今日は、向田邦子繋がりで「向田邦子の留守電」と題した2011年8月22日付の記事を掲載します。
以下、再録
今日は8月22日、向田邦子の没後ちょうど30年にあたります。
小説にエッセイにそしてドラマの脚本に、自在に文才を発揮しただけでなく、美味しいもの好き、料理好き、さらには洋裁や編み物もお手の物。
スーパーウーマンというイメージがあります。
森繁久彌による墓碑の銘
花ひらき はな香る 花こぼれ なほ薫る
が、また素敵ですよね。
命日か…と思いながらネットをさまよっていたら、向田邦子のお茶目な一面がうかがえる楽しいエピソードを見つけましたので、ご紹介しましょう。
留守番電話を早々に取り入れていて、まだ慣れない人々がおかしなメッセージを多く残した中、特に面白かったのが黒柳徹子で、一分/一通話では足りずに、例の早口で九通話連続で吹き込んでいたとか。
しかも肝心の用件には全く触れておらず、「後で直に会って話すわね。」という楽しいオチであったため、これを消去せずに保存して来客に聞かせ、もてなしの一つにしていたのだそうです。
以上、再録終わり
妹さんの著作等によると、向田邦子は長らく苦しい恋を経験していたようですが、そのお相手のカメラマンが撮影した彼女の写真は、清潔な色香が漂い往年の名女優のような雰囲気があって、とても素敵です。