フランスの異郷 ブルターニュで見いだされた美
上野の国立西洋美術館で、企画展『憧憬の地 ブルターニュ』と常設展示を鑑賞してきました。
混雑状況を考慮し、朝9時半の開館から少し間をおいて入館。まずは企画展会場へ。フランス北西部ブルターニュ地方を異郷として捉えた展覧会です。ゴーギャンやモーリス・ドニの作風はあまり好みではないので、正直、行かなくてもいいかと思っていた展覧会なのですが、毎週必ず見ているBS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」で取り上げていたいくつかの作品を見たくなり、出かけることに。
カメラマークがついている数点の作品は写真撮影も可能でした。
思ってた以上に、気に入った作品がありましたので、特に印象に残った作品についてメモを残しておきます。
ウィリアム・ターナーの『ナント』。ターナーらしい、湿潤な大気を見る者に感じさせる水彩画です。画面手前の各々作業する人々と斜めに流れる川、その先に架かる橋、そして遠近感のある重厚な建物…。
自然な奥行きや明るい空気感が心地よい一枚でした。
アルフォンス・ミュシャのリトグラフ『岸壁のエリカの花』。民族衣装かと思われる女性の服装、体をひねったポーズ、ミュシャにしては地味なお花(エリカ)。控えめな美しさが素敵な作品です。
ポール・ゴーガン(作品リストの表記に従いました)の『水辺の柳、ポン=タヴェン』は、タイトルも筆のタッチも全体の印象も、まるでモネのよう。驚きました。
ゴーガンというとタヒチの少女を描いた絵が強烈で、本展でもそうした作風のものもありますが、こんなザ・印象派な作品も描いていたとは!
シャルル・コッテの『聖ヨハネの祭火』。知らない画家さんでしたが、今回沢山出展されていました。
この作品は、火の描き方がレンブラント風味で強いインパクトがあります。
金山平三の『ケルゴエスの宿』。赤い鎧戸の鮮やかさと、建物の輪郭線や緑の樹々などの縦のラインが与えるスッキリ効果が目に留まりました。丁寧なタッチで、何となく心惹かれる作品です。
藤田嗣治の『十字架の見える風景』。意外に小さな作品で色味もほぼ白黒と地味ながら、色使いや構図から滲み出る透明感と、画面全体から立ちのぼる高い精神性がひしひしと感じられます。しばし立ち止まり、じっくり見入ってしまいました。
このほか、「空の王者」ことウジェーヌ・ブーダンの魅力を味わえる作品が3点もあったのも嬉しかったです。
作品以外にも、会場に入ってすぐのところで流されていた、1920年代のブルターニュ地方で撮影されたという白黒の映像(7分余りありました)や画家が旅に使ったトランク、旅先からの絵葉書なども興味深いものでした。
上に挙げた作品のうち、いくつかは公式サイトに画像が載っています。
ご興味のある方は、こちらからどうぞ。
https://bretagne2023.jp/highlight/
企画展で撮影可能だった作品から一枚
常設展示はこれまで何度か訪れていますが、ちょこちょこと新規購入作品が披露されていたり、作品の入れ替えがあったりしているので、いつ行っても見応えがあります。
ベルト・モリゾやコローなど、お馴染みのお気に入り作品に挨拶したほか、今回気になった作品がこちら。
版画素描展示室では小企画展『橋本コレクション展―指輪よりどりみどり』が行われていました。
華麗で精巧な指輪の数々に、ただただ圧倒されました。
さて。
私の場合、お出かけするとき、美味しいものが必ずセットです♪
今回のランチは、JR上野駅そばのブラッスリー・レカン。カジュアル寄りのフレンチです。
前菜からデザートまで、とても美味しくいただきました。
内装もお洒落で、かなり人気が高いレストランです。
ランチタイムが長いので、混みあう時間は避けて訪れましたが、大勢の女性客で賑わっていました。
お天気も爽やか。気分良く過ごせて充実した一日でした(^^♪