長編小説の合作やってみた 〜発端と経緯、そしてやり遂げてみての所感〜
皆様お疲れ様です。
以前、2024年下半期の総括を記事にした際に、仲良くして頂いている創作仲間のりつりんさんとお互いに練ったプロットを交換して、長編小説を1作品ずつ完成させたと書きました。
今回はそこにフォーカスした記事をまとめようと思い書いた次第です。、
この企画を自分が思い立ち、りつりんさんに持ちかけたきっかけや経緯、完遂に至るまでの顛末を要点を掻い摘んで書いていこうと思います。
長編小説の合作をやってみた 〜発端編〜
2023年10月下旬。
当時の自分も周りの人に恵まれ、親睦の深い創作仲間が増えました。
そのおかげで、自分もステップアップしていきたいとさらに思えるようになりました。そんな折、『これまでと違った成長方法はないか?』と思いました。
創作志望界隈では、個人的なインプットの他に、下読みやアイディアの意見交換など、いわゆる他者からの作品に対する講評をもらうことが主流で、効果的な手段の1つとされれています。
実際、プロ作家の方々もアマチュア時代にその方法で切磋琢磨した例もよく聞くお話です。
ですがこの時、自分はふと思いました。
『他者との下読みやアイディアを講評し合う以外にも創作に関して効果的な成長手段はないのだろうか?』と。
また、ライトノベルの公募に作品を応募する際に皆が皆確認するはずよ応募要項の記載に『二人以上の合作の長編小説も応募可』という賞も複数存在します。
この記載を見た時から自分は疑問に思っていたことがありました。
『合作が応募可なのに、受賞作どころか完成させて応募した作品の話を耳にしたことがない』と。
マンガの場合、原作と作画に分担する例があり、その作品が商業で成功している例も多く存在します。ですが、小説の場合にはそういった役割分担された商業作品を聞いたことが自分はありません。
それには何か理由があると思い、その理由を詳細に知りたいと思ったのです。
その2点から『合作による成長手段と成長効果はあるのか。あった場合にどういった効果がどれ程あるのか』と『長編小説の合作を完成させて賞に応募する前例を聞いたことがない具体的な理由は何か』を探索しようと考えました。
これを思いついた時、自分は客観的に自身の作品の方向性や長所短所の異なる方と長編小説の合作を書いていけば、双方の成長(双方の成長と金銭的以外のリターン)となぜ合作が応募された前例を耳にしないのか(個人的な知識欲の探求)がより顕著に見えてくる考えました。
そして前述した仲良くして頂いている創作仲間の一人のりつりんさんは、自分と創作の方向性や長所短所が大きく異なり、賞でも最終選考に進む程の実力のある方です。
りつりんさんと合作完成を通して、自分だけでなくりつりんさんにも金銭的報酬以外のリターンがあると思い、思い切って声を掛けてみました。
ありがたいことに、りつりんさんから快い返事を頂きまして、2023年11月から長編小説の合作に向けて動き出しました。
長編小説の合作やってみた 〜作成段階編〜
りつりんさんと合作を決行する流れができ、自分は4つの条件を自分に課しました。
それらを個人的に優先度の高い順に提示していこうと思います。
合作に関して設けた個人帝な条件
・2024年までに完成させて合作の応募可の賞に応募する。もし期限を超過した場合、この企画は白紙にする(企画に関する1番のリスク)。
・双方の進捗状況を把握するため、自分から定期的に連絡と相談を心がけ、相手にも連絡しやすい関係を構築する(進行を潤滑化させるため)。
・双方が立案し交換して執筆するプロットのフォーマットを固定する(相手が立案したプロットの初期理解度を担保するため)。
・合作が応募可で一次選考段階から評価シートを頂ける賞へ応募する(完成させた作品の客観的評価を受けるため)。
これらの条件を遵守することを念頭に、りつりんさんと合作の製作に挑戦しました。
まず最初に互いが交換して相手に執筆してもらうプロットを作成しました。
この時に相手が作品内でやりたいこと、外して欲しくない点など、双方の理解の齟齬を最小限に抑えるためにプロットのフォーマット、いわゆるヒナ型を統一しようと提案しました。
世に出ている既存作品を借りたコンテンツ(IPもの)やクロスオーバーする作品などが存在しますが、これはそもそも『すでにコンテンツとして世に出ているので相手がイメージしやすい』というメリットがあります。
今回の場合、『作品を立案してプロットを作成した本人も完成作を詳細に知らない』という状況です。その状況では相手にどうして欲しいのかを話し合うことは避けられないと想定しました。
ですが、双方とも別々のライフスタイルがあり、不要な迷惑を掛けないよう可能な限り短時間で話がまとまるようにと思いました。
なので最初から交換するプロットのフォーマットを固定して、相手に自身が立案した作品の指針を理解できる(初期理解度の担保)よう考えました。
この配慮は結果的に提示してよかったと思いましたが、改善の余地は多く、新たな発見もたくさんありました。
これに関しては完遂編で後述します。双方が作ったプロットを交換して、早速各々執筆に取り掛かりました。
今回は互いにジャンルを『ラブコメ/恋愛』に固定して、共通して執筆できるジャンルで互いに違う個性や方向性に挑戦するために共通の縛りを設けてある程度の自由度を絞って方向性を解釈しやすくすることを考慮しました。
実際に相手とプロットを交換してみて感じたことは、『プロットのフォーマットを統一しても互いにやって欲しい点、外して欲しくない点を理解するには一定ラインの限界がある』ことでした。
この詳細も完遂編で述べようと思います。
こうして双方の予定を鑑みて、一次選考段階から評価シートを頂けて、合作応募可と要項に記載されているGA文庫大賞への応募を指標に、2024年5月末のGA文庫大賞を〆切に想定して執筆していきました。
ここまで読んだ方の中には頭の上に疑問符が浮かんだ人がいると思います。
「あれ? 二人が応募したのって11月末のGAじゃなかった?」と。
そうです。皆様が想像した通りです。
5月末に原稿が間に合いませんでした!
最初から最後まで自分1人で長編小説を書き終えるペースを想定し、それを考慮したつもりで期間を設定しましたが、結果として2人揃って〆切に間に合いませんでした。
この結果から、当初に予定していたGAの後の他の賞に応募するという考えもよぎりました。
ですが、照準を合わせたGAとは別の賞に応募すると、最終的な結果の分析や考察をしにくくなると考え、時間的にも11月末のGAに応募を延期することを切り出しました。
ですが、前述した条件の第一優先にしたこと、2024年内に完成できない場合、この企画は白紙にするという前提条件があります。
1年かけて作品が完成しないのでは、前提として成長のために投資するための時間対効果があまりに薄いこと、多くの時間がかかるのであれば作品を応募するには無理があると言うことになります。それを回避する意味もあって、この条件を第一優先に置きました。
そういった経緯もあり、何としても次の〆切は是が非でも守るため、自分だけでなく、りつりんさんとのスケジュールの調整や連絡を心がけました。
結果として、2人とも期限前に初稿を書き上げ、推敲と修正をして2024年11月29日に応募を完了させることができました。
ひとまず照準を合わせたGAに応募できて、幸いなことに選考の段階に至りました。
長編小説の合作やってみた 〜完遂編〜
こうして記事として合作に関しての経緯と顛末を書けていることに一息つけています。
そして、決行する前に想定していた諸々の仮定が的中した点と具体的な結果や相違点の詳細など、多くの実感と発見がありました。
これから、その点を項目ごとに書いていこうと思います。
・合作は想定以上に時間がかかる
作成段階編でも書いたことですが、互いに自分が立案したプロットだが完成作を完全に把握していない状態では、自分1人が最初から最後まで手掛ける場合にかかる製作時間を大幅に超過しました。
互いのライフスタイルなども大きく影響する点や、双方の作品に対する解釈の不一致などは想定していました。それでも想定した以上の時間がかかりました。
もし今度長編小説の合作を行う場合は、これらを考慮して改善策を考えていきたいです。
・自分が想像していた作品の雰囲気とズレた、予想外の相乗効果が生まれることもある。
前述と外れたことを書いていると思いますが、自分が完成前に想像していた作品の雰囲気と異なった魅力が生まれる部分も多く、考えもしなかった方向で想像を超えたものになったと個人的に思います。
元々りつりんさんとは異なった作品の方向性があることで、りつりんさんに渡したプロットから完成した原稿は想像していた作品と違った魅力も追加された感覚がありました。
りつりんさんからも自分が完成させた原稿も想像してなかった良かった点を聞かせて頂いたので、今後また互いの所感を詳しく話し合いたいと思います。
また、プロット段階で自分にないアイディアを原稿に落とし込むことで、今まで思考してこなかった点が増えた上で実行していったことで、1作品に思考する深度以外に幅も鍛えられた感じがします。
・プロットから作品の完成形を想像する力を鍛えられた。
この項目に関して言えることは、至極単純です。
提示されたアイディアや話の流れを自分自身が想像できる、もしくは想像しようと努力しているか、です。
『そんなの当たり前だろ』と思うかもしれません。
ですが、今まで自分1人で作品を作っていく場合、無意識のうちに自分のやりやすい方向で作品を作っていることを実感しました。
俗に言う、手癖で書くということだと思います。
それが一概に悪いと言う気は全然ありませんが、それをどこまで自覚しているか否かでは大きな差があると体感した気がします。
そういったこともあり、相手のプロットからどういった狙いがあり、相手はどう形にしているのかを考えることを要求され、プロットから読み解き形にしていく能力が今までより鍛えられたと思います。
終わりに
ここまでが約一年にかけて遂行していったりつりんさんとの合作の一部始終の要点をまとめたものです。
約1年もの間、協力して下さったりつりんさんには本当に感謝しています。正直頭が上がりません!
この記事が皆様にとって何かの参考になるかわかりませんが、個人的に実りの多い経験ができたと感じています。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。
また機会があったらまた合作をやってみたいと思います。