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日本を原ねて 心の健康 ストレス解消【世阿弥】

21 世阿弥(1362~1443)
日本花道史 西堀一三 創元社
 世阿弥によって完成された能は…象徴の世界を舞台に演出する芸術である。…人間的な修養を加えて、精神的な悟りの境地を開くことになる。… これは中世の芸道を貫く精神である。
                        131ページ
花と日本人 桜井満 雄山閣出版
 歌の道、書の道、香の道、茶の道。そして花の道といろいろな芸道がある。その一道を極めようとする者は、他に気を取られず、専念しなければならない。歌道は例外で…諸道を知るといわれます。…            日本の古典文学を支えてきたのが「歌」だった。…             今日の日本人のあり方、われわれの生き方を考える一つの指標になる。…
 日本人の情緒、ひいては日本人の生活文化を支えて来ているのが「歌」だと…「歌道は諸道を知る」種であるわけです。世阿弥はそれを理会していた。…
根本にあるものは何かというと、生活であり、風雅であり、そして伝統だということになります。         202・203・204ページ

いけばな 日本の美 花鳥風月 水の巻 大岡信 講談社
 ふだんの会話の中で「あの人にはなんたって花があるからね」…
「花」といえばすなわち桜の花を指すという詩歌思想史上の約束事はすでに意識の底に沈んでしまっている。
 
 美観のうち最高の位置に位する感覚を言い表す言葉として、習慣的に「花」の語が用いられているのだといっていい。…

世阿弥が生涯に書いた能楽論は二十一部知られている。…
最も有名なもの、そして第一級の芸術、芸道論として日本思想史上に光り輝いている著作は、もちろん「風姿花伝」(花伝書と通称する)である。…

世阿弥の生涯を貫いていたのは、「風姿花伝」に言うように、「能に花を知ること、無上第一なり」という根本的な思想だったといって言い。

 世阿弥が「花」という語に託していた考えは一体どういう性質のものだったのか。…「まず、花というものは、あらゆる草木において、四季それぞれに咲くべき季節に咲き、時節を得てしかも新鮮なのを人々は賞翫するのである。申楽(能のこと)においても、観客が新鮮に感じることがすなわち面白さなのである。したがって、花と面白さと珍しい新鮮さとは、三つとも同じ意味合いなのである。」…

 世阿弥の花についての論は、直接には演能の論だが、それはまた、いけばなの論でもあり、人生論そのものでもありうるだろう。彼は、花は咲くべき時節がめぐってくれば必ずきまって咲く、だからこそ常に新鮮で珍しい。それが「花」秘密なのだ、と言っているのである。…桜はその散る姿においてとりわけ美しい花だから。
    
    春風の花を散らすと見る夢は
     さめても胸のさわぐなりけり    西行

西行のこの歌が桜の名歌であるのも、これが落花の妖しい魅力を最も切実な仕方で賛美した歌だったからにほかならない。     44/45ページ
 
世阿弥は日本古来からの生活感情をあらわしている。


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