クリスマスプレゼントの悩み
クリスマスが近づくと、ある女性へプレゼントを贈る。
個人的に30年近くつきあいのある年配女性だ。私がボランティアをしに行った病院で彼女が働いていた。既婚で子どもがいない彼女は、子どもくらいの年齢の私に親切にしてくれた。彼女が遠くへ行ってしまってからも手紙やメールでのつきあいが続いている。
プレゼントを考えるのは楽しくもあるが、悩ましくもある。30回近くともなるとネタがつきてきたからだ。何にしよう。今までに贈ったものを思い返すと、タオル、石鹸、ハンカチ、ストール、靴下、ポーチ、本、手芸キット、お茶、箱も中身もきれいなあられ、飴細工屋さんの美しい飴、花のイラストの入った和ろうそく、千代紙セット、貝絵の小さな飾りもの、面白文房具、カラーボールペンセット、カラー筆ペンセット、ハンドクリーム、シートマスク、もう思い出せない。この倍近く贈ったはずだ。几帳面な人は、いつ誰に何を贈ったかを記録しておくそうだ。それはいいアイデアだと思うのだが贈る頃には忘れていて、結局記録したことはない。一度贈ったことのあるものでも違うものならいいじゃない、と言われそうだ。その通り。だけどできれば違うものにしたいと思ってしまう。
さて、彼女も高齢になった(自分が高齢の範疇に入ってきたのだからあたりまえだ)。体調も万全ではないようだ。何か家でできること、ちょっとした楽しみに使えるようなものはないか。そこで思い出したのが、うちの子どもが幼い頃にはまっていたパズル本の類だ。あんまり幼稚な感じのものではなくて、でもあんまり難しすぎたり時間がかかりすぎたりしないほうがいい。「大人 パズル 本」でググってみたら、ありました。間違い探し、かくし絵、絵さがし、このあたりいいんじゃないかな。
ということで本屋さんへ出かけてみた。最近は本もネットで買うことが多くなってしまったけれど、内容を見て決めたかったので。久しぶりの本屋さんはやっぱり楽しくて、つい目的を忘れて見てしまう。たぶん端から端までほとんど見て回った。件の本が何のコーナーにあるのか見当がつかなかったというのもあるが、結局見たかったんですね。
大人のパズル本は思いのほかたくさんあった。脳トレ、脳を鍛える、脳活性化、頭がよくなる、頭をほぐす、ボケない、若返る、なんていう謳い文句が並ぶ。その中にきれいな写真の間違い探しがあって、これにしようかなと思ったが、いったん帰ってもう一度考えることにした。
翌日、もう決めようと考えながら再度本屋さんへ。だけどひっかかる。表紙に書かれている「若返る」「認知症予防」といった言葉だ。これを見たら、「あなたももう若くないから」とか「ボケないように努力したほうがいいよ」といった意味にとられないだろうか。悪意と思われないとしても、気持ちが傷ついたりしないだろうか。考えすぎと言われそうだが、もう一度考え直すことにした。
困ったなあと思いながら別の本屋に行った。同じようなジャンルの本を見て同じように悩み、いっそ絵本にしてしまおうか?と思い立って子どもの本のコーナーへ。すると、きれいな隠し絵の絵本があるではありませんか。ボケ防止とも脳トレとも書いてない。これだ。考え始めてから数日かかってやっと決まりました。
あれ?本は一度贈ったことがあった。できれば違うものにしたいという希望は結構いいかげんだった。いいものだと思えればいいかな。