【1分で読める小説集】#2 夜景につられて
小学生の頃、ジャングルジムで足を滑らせて地面に落っこちた。
落ちたのは2メートルくらいで、時間にするとほんの0.1秒くらいの出来事だったと思う。ほんの一瞬だったが、僕の頭の中は大忙しだった。両親の笑顔や妹と遊んだ楽しい記憶が細切れにされ、ヒュンヒュンと高速で切り替わったと思った次の瞬間、僕はもう地面に寝そべっていたのだ。
それ以来、僕は高いところが苦手だ。
一番困ったのは高校生の頃。
初めてできた彼女と遊園地に行ったら、彼女が「観覧車に乗りたい」と言い出した。当時は、高