外出支援で「めっちゃ荷物を持たされます」ヘルパーあるある①
訪問介護での外出支援において、利用者ご本人の荷物はご自身で持っていただくことが原則です。
(突発的に持つしかないような状況でない限り)
しかしヘルパーさんに持ってもらおうとする利用者さんが結構います。あるいは持ってもらえるものと本当に思っている利用者さんが。
サービス提供責任者の私は、よくヘルパーさんからこんな訴え(苦情?)をいただきます。
「私ら荷物持ちじゃないんで」
特に持たせる常連の利用者さんというのが何人かいて、ヘルパーが変わるたびにそういった訴え(クレーム?)が入り、そのたびに対応しなくてはならない、ということがよくあります。
先日も同行援護 ( 視覚障がいの方の外出支援 ) の利用者さまの時に起こりました。視覚障がいのため、片腕を掴んでいただき一緒に買い物へ行くのですが、空いてる手の方で荷物を持って欲しいというわけです。
ヘルパーさんにはあらかじめ、お断りするように伝えていたのですが、「会社には内緒にしといて」と言われ、断れなかったそうです。
ヘルパーさんは始めは仕方なく「少しならいいか」と持っていたそうですが、回を重ねる毎に持つ量が増していき、さすがに…となって、思いきって利用者さんに苦言を呈したところ、「あんたはもういらん」と言われ事が表面化したのでした。
「○○さん、一応、ヘルパーは何かあった時のために片手をあけておきたいので、買い物はご自分で持てる範囲で、その他は配送をお願いするか、居宅介護で、買い物代行など別のサービスを使っていただけませんか?」
私は利用者さん宅を訪問し、伝えました。
翌週ヘルパーが訪問すると「じゃあ片手が開くように」と、リュックに入れるよう要求されたとの事でした。
「○○さん…」と。
「あんたんとこはうるさいなー。もう解約や!」
と、言いながら、いつも引き続きご利用いただいているのですが。
しばらくは平穏が続くことでしょう。
利用者さんから荷物を持ってほしいと求められることはよくあることです。
「基本的に、ご自身のお荷物はご自身で持っていただくことになっていますので」
などと説明しても「ケチ」「あいつは使えない」などと、ヘルパーをどうやって遣いこなしてやろうか、(制度をある程度理解しているにもかかわらず) あれこれ画策されているので、聞く耳を持ちません。
私たちはただただ「できません」と言う他ありません。
これがまた、中には積極的に荷物を持つヘルパーさんがいるので、長らく介護サービスをご利用されてきた方は「してくれる人もいた」となり、「あの人は親切だった」となります。
そういう感覚がある方は、こちらが何を言っても「こいつは頭がかたくてアカンわ」となります。
一般の方から見ると、だいたいヘルパーが荷物ぐらい持ってあげたらいいんじゃないの?と思う方もおられるでしょう。
ヘルパー側から見ても、大変そうにご自分で荷物を抱え込んでおられる利用者さんを見るとつい「大丈夫ですか?少しお持ちしましょうか」と言ってしまう気持ちになります。
しかし、ダメなんですよ。それは他のヘルパーのためであり、利用者さん自身のためです。
自分が持ってしまうことによって、他のヘルパーさんも要求されてしまう、あるいは自分を他のヘルパーさんと差別化してしまいます。他の業種のように、そこに付加価値をつけてしまってはいけないのです。
制度に乗っ取ったサービスである以上、自分だけがやってあげてはいけません。むしろ利用者さんの事を考えるならば、他のヘルパーに代替可能な支援にしておく必要があります。
もちろん、特段の技術が必要でそのヘルパーでなければできない、上手くいかない、といったような特殊な状況はあり得ます。
- 仕方がない状況。
荷物を「いつも」持つことは仕方がないとは言えません。
移動の支援に集中するため、ヘルパーのみなさん、自信を持ってお断りしましょう。
ただ利用者の皆さんには、これだけは言いたいです。荷物は持てませんが、移動にまつわる支援は一生懸命行って参ります。
昔、初めて介護の研修を受けた時の講師の言葉をよく思い出します。
「その人が亡くなる最期の瞬間まで、あなたが一人で責任を持ってその人を介護することはできないのですから」
利用者さんからあなた以外の支援者を退けることのないように。