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自己紹介の続き ダイバーシティについて

私は日米の金融機関の最高人事責任者として数多くの統廃合、ビジネス・リストラクチャリングをてがけた企業文化改革のプロです。日本のビジネス慣習・企業文化とグローバルカンパニーの考え方を融合することが大きなテーマであり、グローバルカンパニーの慣習を押し付けるのではなく、日本のビジネス慣習・企業文化とどのように融合していくかを大切にしています。現役をリタイア後は日本企業が世界のリーディングカンパニーとしてさらに発展していくために顧問、社外取締役として微力ながら貢献できるよう努めております。特に次世代の経営陣の発掘・育成、女性や若い社員の活躍推進に力を注ぎ、次世代経営陣にグローバルに通用するビジネスコミュニケーションを中心としたコーチングを行っており、外国のエグゼクティブには日本で速やかに結果を出すための手助けとして、日本のビジネスへのAssimilation、組織運営におけるアドバイスなどを積極的に行っています。
 
私の35年間のキャリアを振り返ると、日本のビジネス慣習・企業文化とグローバルカンパニーの考え方を融合することが大きなテーマであると申しました。1987年に、シティバンク銀行東京支店に入社、日本におけるリテール部門立ち上げに携わりましたが、外資系銀行が日本でリテールバンキングを推進するために必要なことは、日本の顧客の心理を理解することです。
 
その後、再建中の東京スター銀行の人事部長に転身後は、破綻した地方銀行を人事制度の改革、報酬制度の見直し等を実行し多様性を重視し、グローバルマインドセットをもつ先進的な金融機関への変革に尽力しました。男女ともに働きやすい会社に成長し、「Great Place to Work」トップ20に3年連続選ばれる開放的で実力主義の企業文化変革を推進しました。破綻し外資系ファンドに買収された第二地銀の行員をどのように動機づけ、誇りをもって働いてもらえるか。ここでもまた、行員の気持ちに寄り添うことが一番重要なポイントでした。
 
現役時代最後の職場AIGジャパンでは、最高人事責任者としてAIU損害保険と富士火災海上保険という、異なる企業文化を持つ2社の統合を人事の立場で率い、新たにAIG損害保険株式会社として生まれ変わることに尽力いたしました。日本における数あるグループ会社の人事・報酬制度、福利厚生等を統合し、One AIGとして新たな企業文化の構築を推し進め「AIGを最高の職場にする」をモットーに変革を率いました。その変革の柱として、新しい働き方の実現に向けた“Work@Home Base“制度を導入、転居を伴う転勤の廃止を実現しました。外資系の保険会社と日系損害保険会社の統合においても働く従業員、保険代理店の皆様、保険契約者の皆様それぞれの思いを理解することが第一歩です。
 
私は、外資系企業の考え方やグローバルカンパニーの慣習を押し付けるのではなく、日本のビジネス慣習・企業文化とどのように融合していくかを大切にしています。日本の企業文化には、外国企業には真似できない、一人ひとりの強さ、組織としてのチームワーク力、一流の製品・サービス・お客様対応を提供するという高い志が息づいています。素晴らしい日本企業が世界のリーディングカンパニーとしてさらに発展していくためのお手伝いをさせていただければ幸いです。
 
ただし今は日系企業の同質性が弱点になっています。ビジネス界から社会全体に視点を移すと、世界の中で日本の立ち位置が心配です。同質性を重視してきた日本社会、日本政治の弱さが露見しています。例えば夫婦別姓のあり方、同性婚が認められていないこと。若者が活躍できる多様な価値観が認められる社会を目指したい。日本の若者が世界に目を向け、力強く羽ばたいていく姿をぜひ見たいと思います。
 
その一つの方法としてDiversity, Equity &Inclusionの発展に少しでも貢献したいと考えております。日本においてはダイバーシティというと、「女性活躍推進」と思われがちですが、真の意味でのダイバーシティは性別だけではなく、考え方、価値観、物事の進め方などを尊重し認めあうことだと考えます(同意することではなく、意見の相違がある場合、意見の相違があることを認めることです)。
 
ビジネス界では「女性管理職30%」や「女性取締役30%」と女性にフォーカスがあたっておりますが、別に生物学的に女性であることが重要なのではなく、異なる考え方を取締役会等に取り入れる必要性を訴えているのです。新卒で入社した会社に30年以上勤務した男性10名が取締役会を構成していると、どうしても同じ価値観で判断することが多くなり、それがその会社の、その会社の従業員や株主のための最善の判断なのか?ということを訴えているのです。
 
日本が社会的にもビジネス界においても世界に羽ばたき続けるために、同質性のリスクに目をむけ、多様性を重視することでさらに強靭になることを切に願い、少しでも貢献したいと考えています。
 

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