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ヘアケア命になった理由 #04
昔から髪の毛に悩みを持っていた。
ボリューム感を増す癖毛とハリのある硬い毛質。
幼少期の写真の中でよく思い出す幼稚園生の私がいる。
耳の高さでツインテールをしているのだがボサボサで太い。ボサボサで太いことしか印象に残っていない。よく思い出す写真のくせに服装や場所を思い出せない。
中学時代は運動部で朝練があったので髪の毛は適当にお団子にまとめていた。美意識の欠けらも無くて運動部!って感じ。もう少し丁寧に結うことはできなかったのか、と今は思うのだが。
高校で心の変化が訪れる。
制服がダサいことに不満を持つくらいになった。周りの女の子に対してかわいいという感情を持つようになった。制服がダサいと思っていた分かわいさが際立っていたような気もする。同じ思いを持って入学した同じ歳の子達がとてもキラキラしていて別の生き物みたいに見えた。みんな楽しそうだった。同じなのに同じじゃないと思い始めた。
自分にはキラキラ光るものがない。「そんな容姿で恥ずかしくないの?」と自分に問うた。
この偏った思考いわゆる「ルッキズム」チックなものではなかろうか。
この時代のマイヘアスタイルは、中3か高1の誕生日に買ってもらった2wayヘアアイロンでストレートにしてサイドかローポニーかヘアアイロン要らずのお団子。これしか出来なかったから。
部活は文化部。年に数回発表会があるのだが髪の長い女子はポニーテールをするしきたりがあった(あるあるだよね)。頑張っても耳の高さまでしか結いきれず余った毛が顔周りに集まってボサボサだし、すごく時間をかけていた割に出来たのがこれかい??って毎回思ってた記憶がある。時間の経過とともに自我を持ち始める毛先はそれぞれの道を歩もうとする。もうさすがに全員の面倒までは見れなくて勘弁って感じ。耳よりも高い位置で結んでいるのにストンと真っ直ぐ落ちる幾つもの細く綺麗なポニーテールが醜かった。真似くらいさせて欲しい。
別の学校の趣味友と渋谷で遊んだ日。巻き髪に挑戦したけど慣れていないのでもちろん上手くいかなかった。毛先を自由に遊ばせただけの無造作ヘアになった。
友達はモデルのレッスンがあって〜とかいう話をしていた。髪の毛、量が少なくてまとまっていてツルツルしていてとてもかわいいなと思ったらやっぱりそういう子だった。そういう子だったけど、同じ趣味を持ってるし同い年だしこうして一緒に遊んでくれる子だし、"私と同じ"だと思っていたかった。
とても恥ずかしくなった。今日は最大限おしゃれしてきたつもりだったんだけどなーって。結局、その子も私なんかと遊ぶの恥ずかしかっただろうなって思ってしまった。
その子と遊んでから間もなくして別の友達と遊ぶ約束があり、前の失敗を活かし再度巻き髪に挑戦したが何か違うと思ってストレートアイロンで時間を巻き戻そうとした。時間は戻らなくて、2つに結んでまとめた。半分に分けたこの毛量が1つに結んだ量になればいいなと思った。友達は編み込みハーフアップで綺麗な巻き髪だった。ああ恥ずかしいな。
やっぱり自分の最大限はここまでだった。
たぶん髪の毛がコンプレックスになっていた。言うことを聞いてくれない髪の毛が嫌い。自己嫌悪なんてぜんぶぜんぶ髪の毛のせいだ。
2年生になったばかりの頃、縮毛矯正をかけた。
ここから人生が変わり始めたと思う。
急に?
って思いますよね。私も思います。
この辺の記憶がどうしても思い出せなくて。縮毛矯正をかけた後のことしか思い出せない。ただ、諦めた訳じゃなくてちゃんと美意識があったから縮毛矯正を知ることができたということは想像できる。あとこの○○年前の頃って縮毛矯正が流行っていた(?)ような気がする。
つらい記憶って自分の中で勝手に抹消されるとよく言いますが本当なのでしょうか。そんなにつらかった時期のか、ただ忘れてるだけなのかそれすらも分かりません。
ここからは縮毛矯正をかけてからの出来事。
髪の毛をおろして登校した。中学高校時代で初めてのことで何だかソワソワした。あの地味なアイツが髪下ろしてイメチェンしてるぜ!と思われるのが恥ずかしかった。今思えばそんなこと思われてるだろうなと思っている自分の心の方がよっぽど恥ずかしい。
その頃、2人の異性から告白をされた。急な恋バナ。
自分はクラスの中で比較的静かなほうで数少ないオタク友達とたまに会話を交わす程度の典型的な地味タイプでしかも壁に寄り添う席。さらに、賑やかな人が多くてちょっと過ごしにくいなって思っていたから周りと距離を取りたがっていた気持ちが全面に出てしまっているような態度だった、多分。
人を好きになったことは今までに何度かあったが、16年間告白をされたことがなかった私は、「縮毛矯正をかけたから男子から好意を抱いてもらえたのではないか」と思っていた。新たな気持ちで登校した新学期でのタイミング、そして圧倒的恋愛経験の少なさ的にそう思わざるを得なくて。
アラサーが考えるには、外見にしろ内面にしろ自分自身を変えたいと行動した結果がもたらしたことなんだと思う。結果的に髪の毛が綺麗になったから好印象を持ってもらったのかもしれない。でも変わりたいと思って行動起こしたその気持ちが重要だったんじゃないかな。
なんか、縮毛矯正したから好意寄せられてる?って思うのピュアで面白い(*^^*)
はじめは信じることが出来ず本当に騙されているのではないかと疑った。そのうちの1人は不良ぶってるくせに優しくてギャップが面白かったのと、まぁ顔が好きだったのでOKした。
ちなみにお断りをしたもう1人の子は、私がOKした彼と元々仲良かったこともあり普通に友達として接することができたし大学生になってからも会ったりまあ色々あった。(中々濃いエピソードだからいつか書きたいです)
学校では基本髪をおろして過ごしており、お気に入りのリボンの髪留めがあったのを覚えている。体育のある日はツインテールをしていった。友達と比べて惨めになったあのツインテールが今は堂々とできているのも「ツインテールが好き」と言ってくれる人がいるからだった。
自分を肯定してくれる人のことと、そんな自分のことを少しずつ信じられるようになったこの頃は毎日楽しかった。多分キラキラしていた。入学当時の自分と比べたらな。
冬はコートやマフラーが長い髪の毛を巻き込みやすくて邪魔だなと思った。今まではずっと結んでいたので。マフラーを髪の毛が絡まったまま引っ張った時だっただろうか、彼が言った。
「髪長くて綺麗なんだからもっと大事にしなよ」
綺麗……だと?
ヘアスタイルを楽しめるようになってから可愛いや似合うなどと言ってもらったことはあったが「綺麗」と言われたのは初めてだった。
今まで言われた言葉で一番嬉しかった。好き可愛い似合うと並べられるよりも何倍も感動してしまった。向こうは褒めるつもりで言った訳では無いのに。
そして同じくらいショックを受けた。
縮毛矯正をかけてからボリュームを増す癖が治って見た目毛量が半分に減って毛先言うことを聞くようになって好きな髪型をすることができるようになった。
今までヘアアレンジをして自分を飾れば満足できると思っていたけどそうではないのかもしれないと気づいた。
「綺麗」「大事」という単語が重く響いた。
「綺麗」のために「大事」にすることを意識し始めたのはこの時からだったかもしれない。大学生の時は縮毛矯正を年1でかけていたしカラーは頻繁にしていたから、綺麗を意識しつつも守りより攻めの姿勢で傷めに傷めていたため、実際にヘアケアに手を出し始めたのは社会人になってからだった。収入が増え、美容院とヘアケア用品には一番お金を使った。これで綺麗な髪になれるのならとお金も時間も惜しまなかった。面倒なことも髪を守るためなら毎日続けて習慣化した。シャンプーは何種類試しただろうか。美容院も信頼出来る美容師さんを探すために転々とした。色んな美容師さんとのカウンセリングやネットや動画で正しいヘアケアについて研究を続けた。
会社ではずっとストレートロングだった。入社してから何人かに髪が綺麗だと言ってもらえた。その後も初対面の人に髪を褒められることがあった。やっぱり「綺麗」と言われることが何より嬉しい。
「綺麗と言ってくれるあなたの髪のほうが私よりもずっと綺麗じゃん」
でもこんな思いが消えない。自分が熱心に研究して得たと思ってた知識がやっと追いついた一般常識なのか、それともヘアケアではどうにもならない自分の髪質のせいなのか。どちらにしても、褒めてもらうということは自分の髪が綺麗であるという認識にはならなかった。
きっと研究心はこういうものなのだと、情熱はゴールがないから沸き続けているのかもしれない。情熱がなければ何事も続かないんだろうな自分は。
美容師さんからのアドバイス、髪を傷めない方法、正しいシャンプーの仕方、インフルエンサーが言うおすすめヘアケア用品、、これも全部知ってるしあれもとっくに実践してますって。だったら一般的な方法じゃなくて自分の髪についてもっと研究しなければいけないのかなーと気付き始める。
きっかけはいつも他人から気づかせてもらうものであった。話すのが苦手で人と距離を取りたがるくせに、大事なことを教えてくれる自分以外の誰かのことをとても大事だと思っている。過去の人も今の人も未来に出会う人もみんな大事にしたいと思っている。
羨望からくる欲望は人のことを見ていなければ生まれないし、人からもらった言葉で自分を知り、人の放った言葉で未来を変えるくらいの影響を受けてしまう。
もっと人と関わり話せ!人生を変えていけ!
ということが結論でしょうか。
(タイトル:ヘアケア命になった理由)(話の終着点が分からなくなった)
ちなみに1
元彼のことですが、別れるときにこう言われました。「このクラスうるさいヤツばっかなのにおとなしくしてて清楚な雰囲気が気になったから声をかけた」のだと。お前、、別れ際にきっかけの話をしてくれるなんて酷だな、、と当時はひどく悲しみ傷をえぐられた記憶があります。でも外見だけじゃなくて静かに座っていた地味な私の中をちゃんと見てくれていたことを知りました。本当優しい人だったなー不良なのに、とたまに思い出す人です。思い出されても困るだろうけど、私にとっては人生を変えてくれたうちの1人だからたまに思い出してしまうことを許して欲しい。
ちなみに2
1年通うことができた担当美容師さんにこう言われました。「メイクで飾るよりも髪の毛が綺麗なだけで印象良くなるよね」「毎日家でちゃんとケアしてるんだなってことはこの髪を見れば分かります」
美容師さんらしい口説き文句だなと思いましたが、それで良い。それが良い!ヘアメイクが苦手=自分の武器は髪の綺麗さだ!と変換できた瞬間でした。もう今はこの美容院行ってないけど、行く度に私の頑張りを認めてくれた方でした。頑張ってよかった、、。
次の投稿ではこんな私のヘアケア方法と愛用品について書きます。もちろん現在も研究途中ではありますが、あくまで私の髪に対してなので全く同じやり方はお勧めはしません。ただ書くだけです。