10.そして離婚に向けて
娘と共に実家に居候し、しばらくは別居生活を続けた。今ではだいぶ、市民権も持ち得ているバツイチやシングルマザーだけれども、まだその当時はとても特殊な存在だったと思う。父親のいない子、離婚なんて世間体が悪く親にも迷惑をかけてしまう。そんな思いで、再建へ向けてもがいていた。
でもやっぱり、人間そうそう変わるわけもなく。彼の生活ぶりや、現実逃避のような甘々な考え方を目の当たりにする度に、もう無理だと思う気持ちがどんどん大きく膨らんでいった。
行政書士の資格を取って開業するだの、保育園の送り迎えも勉強があるから無理だの。霞でも食べて生きてろ!的な。そんな様子を見ていて、私の父は心底呆れているようだった。母はそういうのは見抜けないタイプ、良く言えば天真爛漫、専業主婦らしさ満載。根本的な考え方では、サラリーマンを長い間やってきて、色んな厳しい現実社会を歩んできた父とのほうが解かり合えた。
半年ほどだった頃、私は離婚を決めた。その少し前に独立して住むための中古マンションの購入を進めていて、住宅ローンがおりないという事態になってしまっていた。そんな不労の夫が形式的でも籍に入っていると、私の勤務状況や収入では全く問題ないのだけれど、何やら偽装して悪いことができるらしいとのことで。
ここがトリガーとなる。