いつか見た夢
寄せては返す波の音、くりかえし、寄せては返し、やさしく耳をなでてゆく、月が昇って沈むまで、夜通しまどろみから深い夢の底に堕ち、また蘇り目が覚めるまで、イソヒヨドリがぴゅるぴゅるぴゅるぴゅる、朝が来たよと知らせに来るまで。
はっと目が開いた。
わたしはどこにいるのだっけ。ああ、そうだった、少し暖かい南の島に来たのだ。昨日のフライトで飛んできた。いろんなものを解かしたくて。凍りついた心とか。この島のやさしさはいつか見た夢?ではなくて、いつかの昔日、本当にあったことだった。もう、すっかり忘れていた…
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