大いなる眠り
出発前はばたばたして、書類仕事などしているうちに夜が明けてしまった。睡眠不足。ナチュラルハイで旅立つ。
空路、島に着いてから、ホテルまでの運転は若い同行者にお任せ。大型SUVなのに危なげない。この一年でずいぶん上手くなったもので、途中激しく短いスコールをくぐり抜け、小1時間のドライブは快適そのもの。
今度こそバカンス。ゆるゆるゆるゆるゆるほどけて、ここは亜熱帯、夜のプールサイドのサックスが、胸のクラックに染み込んでくる。シャンパンのグラスがいくつも並び、送るあてない手紙をいくつも書いて、金色の涙でインクが滲んで夢うつつ…
そう、明日はきっと、ナイトセーリング。夜の中に出航しよう。幾千の星降る夜に、あなたに会いに、きっと会いに。あわい波音にそう誓って、私は堕ちてゆく。大いなる眠りに堕ちてゆく。