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気ままな詞世界を包むおしゃれサウンドと低イイ声 集団行動『集団行動』

おはようございます。

集団行動というバンドの1stアルバム『集団行動』を紹介していきます。

バンド名のプレッシャーにおびえる必要は全くありません。
普段は単独行動しかしない一匹オオカミ()の私でも、普通にハマれる曲ばかりでしたから。
ぜひ、ヘッドフォンで自分の世界に閉じこもって、一人っきりでゆっくりじっくり聴いてみて下さい!

それではよろしくお願いします。


集団行動とは

真部脩一(Gt.)、齋藤里菜(Vo.)、 西浦謙助(Dr.)、ミッチー(Ba.)

相対性理論のコンポーザーでもあった真部脩一が新たなるプロジェクトとして立ち上げたバンド「集団行動」。
ヴォーカルには講談社が主催するアイドルオーディション“ミスiD2016”ファイナリスト・齋藤里菜を迎え、ドラムは真部の盟友・西浦謙助が務める。バンドとしては2017年1月より本格的に活動を開始、2018年8月に新メンバーとしてベースのミッチーが加入し、現体制となる。
真部脩一のポップスセンス溢れるキャッチーなメロディーと、一度聴いたら耳から離れない中毒性の高い歌詞をミックスし、王道ポップスとしての新しいスタンダードを作ることを目指す。

アーティストページ「Profile」より引用

なお、2021年元日より当面の間、『集団行動』は活動休止期間に入られました。(リンク

私とこのバンドの出会いについて少し述べます。
アニソンやメタルなんかを聴いていた私は、彼らのような王道J-POPバンドとは接点が全くないはずでした。
しかし2017年頃、こってり系のラーメン屋さんに立ち寄ったらたまたま彼らの曲「ホーミング・ユー」が流れており、それが私にとっての運命的な出会いとなりましたとさ。めでたしめでたし。

以下では私が思う、彼らならではの特徴・音楽性を書いていきます。

作詞作曲真部脩一の、不思議歌詞なポップソング

集団行動の大きな特徴が、「斬新な歌詞をポップな演奏に載せるサウンド」です。これは作詞と作曲を担当されている真部脩一さんの影響が大きいそうです。

特に歌詞について。
いわんとする大まかな情景はなんとなく理解できるのですが、細部まで解釈しようとすると途端に難しくなる不思議さがあります。
あえて大事な情報を描写していないのか、それとも音の意味より響きの方を重視しているのか、結果的に聴き手を”もわん”と包み込むような詩世界が生まれています。

↓このインタビューに、作詞に関する真部さんの考え方が少し載っていました。きわめて単純なシチュエーションの物語を基盤として、そこに音の響きが良い単語やナンセンスみのある表現なんかを織り込んで歌詞に仕立て上げていく、ということでしょうか。

それに対して作編曲は聴きやすいバンドサウンドになっております。歌詞の意味がよくわからずとも、なんとなく「そういうものか」と聴けてしまう説得力があります。

ボーカル齋藤里菜の、はっきりとして落ち着いた低めボイス

ボーカルの齋藤里菜さんの声質も、集団行動の大きな特徴です。
齋藤さんは体育系の専攻のためボーカルや音楽系の経験が全くなく、それどころか音楽自体にそもそも全然興味がなかったという異色の経歴の持ち主。
それでどうしてバンドやろうと思ったのか、インタビュー読んでも私には彼女の心情がよく理解できなかったです!
そんな彼女の声は低めで落ち着いていて、すべての歌詞をくっきりと発音されます。それでいて声の芯がちょっとなよっとしている親しみやすさもあります。

1stアルバムでは弾んだ感じやゆったり流れていく感じ、少し切なげな感じなど、齋藤さんの色々な表情の歌声を聴く事ができます。あまり無理をしていない感じの声で、聴き心地が良いです。
真部さんの凄い作曲力のお陰でもあるでしょう。

今回記事を書いて自己分析してみて、私が集団行動を好きになったのは、「曲の中に齋藤里菜さんの声の魅力がグッと引き出されているから」こそだと思いました。

"初期の相対性理論"論争が起こることもある

真部脩一さんが元々は『相対性理論』というバンドで活動していたこともあり、初期からのファンの中には"集団行動"と"真部さん在籍時の相対性理論"を比較される方もいらっしゃいます。
音楽理論よくわからないマンの私からすると、両者の一番大きな違いはボーカルの声質だと思います。
私的には相対性理論の"やくしまるえつこ"さんは明るくて甘めで、ちょっと気だるげな感じがしました。

本当にただの好みの問題なのですが、私は全ての歌詞をはっきり発音するボーカルが好みなので、齋藤里菜さんボーカルの"集団行動"の方がより刺さりました。
皆さんも一旦両方聴いてみて、自分の好みの方を追っていってもいいかもです!

アルバムのレビュー

全部で7曲、合わせて25分ほどと短めですが、色んな表情のボーカルが楽しめます。
全曲滅茶苦茶良いですが、特におすすめは「ホーミング・ユー」、「東京ミシュラン24時」、「バイ・バイ・ブラックボード」です。
ぜひこれだけでも聴いてってほしいです。

以下では全曲の感想を書いていきます。
なお、無意味だとは知りながらも、一部の曲であえて歌詞の意味を無理やり深読みしてみようと思います。まゆつば物として話半分で読んでください。。。

ホーミング・ユー

ノリノリのシンセとギターのイントロから入る爽やかポップサウンド。
里菜さんも弾むように楽しげに歌っていて良い。
私はこの曲で集団行動と出会いました。初聴時は歌詞で何を伝えたいのかよく分からなかったものの、「ホーミング・ユー」という単語を発する里菜さんの声だけが確実に頭の中にへばりついて残りました。
「聴きやすさ」と「頭に何かしらへばりつく特質」の2つこそが、『ポップ』というジャンルの本質なのでしょうか。

歌詞は恋の駆け引きを戦闘機のドッグファイトで鮮やかに表現。
恋の駆け引きをやったことないので分からないのですが、駆け引きにおいて遅効性の罠を仕掛けるメリットってあるんですかね(早口オタク)

ぐるぐる巻き

軽く走っていくようなスタンダードなロックサウンドって感じがします。
ロックだけど歌声にはそこまで力がこもっておらず、話し声の延長みたいな不思議な歌い方。
途中の「月に叢雲花に風」は「好事はとかくじゃまが入り、長続きしないことのたとえ」らしいです。(コトバンク『ことわざを知る辞典』

歌詞は知人をす巻きにする唄でしょうか。お前もぐるぐる巻きにしてやろうかぁ!!!
いや、私なりに深読みするに、『煮え切らない彼氏に一歩迫ってやるぞ、結婚しやがれ』って感じの歌なのです。
思い切ってこちらから告白して恋人になれた。楽しいけれど、そこからズルズルと時だけが流れていく。だから一か八か私は賭けに出ようと思う。結果はどうなるだろうか。お互いの気持ちが互い違いになって別れてしまうことになるのか、それとも永遠の愛を誓いあう関係になるのか。
……いや『友人から恋人になるための挑戦』なのかな、そっちでもいい気がする。

東京ミシュラン24時

NHK教育テレビで流れていそうなほのぼのした曲調に載せて、深夜営業の謎の飲食店について歌う楽しげな唄。
こちらに語りかけるような優しい歌い方です。

「半チャーハン大盛り」の意味について無理やり深読み。完全に妄想ですが、この店は大盛り無料サービスをやっており、それでお客さんはわざわざ半チャーハンを大盛りにしたのではないか。
そしてその必死さから「このお客さんお金ないのかな」と察して、店員さんは「お代は要らないから~」と優しさを見せたのではないか。
でも、ミシュラン取るようなこだわりの高級店がそんな安易な値引きするのか?

あと、残りの引っ掛かる歌詞について。
「ノドの奥まで詰め込んで」とか「舌の先で探り当ててね」、「今夜は眠れない」って、いったい何を食わせているんだ?
もしや「コックさん」とは違うコックさんのことだったのか?!?!(頭が中学生)

バイ・バイ・ブラックボード

海の見える学校に通う女の子視点。周りを淡々と情景描写するメロ部分と、感情をブワッと吐露する開放的なサビ部分とを2セット繰り返す曲。
早く大人になりたい!って感じのアンニュイな気分がすごい良い。
現状に不満はあるものの、不良行動も逃避行動もせずただ大人しく時が流れるのを待つ。行動力がない私も高校時代そんな感じでした。
タイトルは伊坂幸太郎の『バイバイブラックバード』をモジった?

土星の環

この曲は最初よくわからなかったのですが、就寝前の準備から起きる直前までの情景を主観的に詩にしたのかなって解釈しています。
シャワー浴びて、気まぐれに流れ星に願い事なんかしてみて、すっきりして眠りにつく。
寝汗を感じながらも徐々に意識が飛び、宇宙に行った夢を見る。あら、土星の環っかが綺麗だね。
そして次第に目覚めていく……
緩やかなギターの奥でドラムがドンドコ鳴ってて気持ちいい曲です。

最初全く違う解釈をしていたのですが、理由は冒頭の「ああ なんて無意味な」が「願いをかける」ではなく直後の「シャワー」にかかっていると思っていたから。
なんか肌がぬめっとしている宇宙人目線の曲なのかなとか考えてました。
歌詞の修飾先がどこなのかで意味が変わってくるので、日本語ってちゃんと聴かないと難しいですね(それはそう)

AED

人助けをやるぞ!というテーマで、コミカルな音から入るノリのいい曲。
インタビューによれば、体育系の学部で救命救急の勉強をしてきた斎藤さんらしい曲を一曲入れようということで出来たそうです。
「人を助けるためにAEDと同化したのか?」と最初思いましたが、この背景を知って、「人を助けるための知識全般をまとめて『AED』と呼んでいるのか」とやっと納得できました。

最後の歌詞について。
「どうして他人を助けるの?」と問われた主人公が内省してみて「ヒーローになりたい」とかの何らかの下心が確かに自分の中にあることに気付いた。
けれど正直にその下心を吐露せずに、「現に命が危ない人がいまここにいて、時間が足りないから、とにかく今助けなきゃなの!」と論点を反らしてはぐらかした、ってことですかね。かわいい。
たとえ動機が誇れるものでなくても、それで助かっている人間がいるのだから、十二分に立派なことなのです。

バックシート・フェアウェル

ゆっくりと流れていく雲のような曲ですが、最後に凄い盛り上がります。
映画のエンドロールで流れていそう。
途中のギターソロ好き。

個人的にはいまだにいちばん意味が取れていない曲です。
遠距離恋愛だけど会いたい!からタクシーで行っちゃおうかな!って感じなのかな。
そうすると最後の「後部座席へのお別れ」はどっちの意味なのでしょう。同棲するからもうタクシーに乗らなくて済むぞ、という意味か。あるいはついに恋を諦めて、別れを選択したのか。
でも「爆心地」とか「13の金曜日(ジェイソン?)」って結局なんなんですかね。ううんわからん。

おわりに

集団行動の『集団行動』はいかがでしたでしょうか。
魅力が共有できていれば幸いです!

ちなみに私はこの1stアルバムを聴いて満足した後はJ-POP界隈に情報のアンテナを張っていなかったので、集団行動の2nd、3rdアルバムが出ていることを全く知りませんでした。
いまさらながら、これから音源入手して聴いていきたいと思います。
あとネット上にインタビューが沢山ありそうなので、全部読破していきたいです。

お読みいただきありがとうございました!イェイ!!!

P.S. 音楽のレビューは難しいですね。丁寧にやっていくと凄い時間かかるけど、時間を掛けないと自分の伝えたいことが上手く言語化できない。
レビューの形式自体も工夫の余地ありです。アーティストを紹介しながらアルバム全曲レビューするスタイルは、今の私には荷が重すぎるのでしょうか?
とにかく、まだ書きたいことが沢山あるので頑張っていきます。

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