【第一回読書記録】ちょっとファンタジーでミステリー

皆さんおはようございます。もしくはこんにちは、それともこんばんはでしょうか。
以前お知らせしたように読書記録の初回投稿になります。お知らせでやると言ってから一週間を超えてしまいました。怠惰ですね。反省します。
この一週間で二冊、小説を読みました。順に紹介していきます。

【一冊目】この本を盗むものは(深緑野分著)


引用:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322210000688/


とある本嫌いな女子高生「御蔵深冬」のお話です。彼女の家は町で有名な名家なのですが、経済的や政治的な理由でそうなのではなく、彼女の曾祖父が大変な収集家であり、その大量の蔵書を残した御蔵館がそのゆえんなのです。そもそも、深雪の住む町、読長町は本の街であり、住民は本好きな人も多く、あまたの本屋があります。御蔵館には稀覯本や絶版本も多くあり曾祖父が管理していたころは図書館のような感じで一般に公開し町中の人々が訪れていたそうですが、とある盗難事件をきっかけに祖母の代で公開をやめ、現在は深雪の父親あゆむと叔母のひるねが管理しているそうです。ところが父親がけがで入院し、本を読むか寝るかしかしていない叔母ひるねと御蔵館の面倒を深雪がみることになりました。とある日、深雪が御蔵館を訪れると、真白と名乗る知らない白髪の少女が現れ、深雪に本が盗まれたと告げてきます。そして取り返さなければ、深雪はこの館から出ることはできない、取り返すためにはとある本を読まなければならないというのです。しぶしぶその本を読んだ深雪、気が付くと世界が何かおかしなことになっています。深雪は自分の世界をもとの姿に戻すことが出来るのか?真白は何者なのか?そもそもなぜ深雪は本が嫌いなのか?それを解き明かしていく物語です。
重要人物は御蔵家の人々のみと言っていいほど登場人物は少なく、話がコンパクトにまとまっているため至極読みやすいです。情景描写が丁寧で、没入感を強く感じられるほか、さまざまな雰囲気の世界の書き分けも見事です。私的には非常に面白い本でした。もし映画化等していただけるのなら、ぜひ細田守監督にしていただきたいですね。同じような雰囲気を感じました。手にとってただければと思います。
この著者の作品は戦場のコックたちを数年前に読んだことがありますがそちらも戦争を少し普通と異なる主人公の目線から描き出し、戦争の悲哀というべきものをうまく表している作品でした。そちらもぜひどうぞ。

【二冊目】まことの華姫(畠中恵著)


引用:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/321901000152/


「しゃばけ」シリーズで有名な畠中恵さんの新シリーズです。二作目のあしたの華姫まで出ています。時は江戸、舞台は両国。その地で芸人をしている月草は近頃名を上げています。彼は人形遣い、腹話術を用います。その人形というのがお華です。タイトルにもなっているように華姫と呼ばれています。なぜ彼らが人気なのか?それは華姫の美しさとともにまことしやかにささやかれるある噂にあります。華姫はまことを語るというのです。それを聞いた者にとって好ましい真実だろうが、聞きたくない現実であろうが

。事件は両国の元締めの娘、お夏が月草のところにやってきたところから始まります。それをきっかけとして、月草とお華は様々な事件にまきこまれていくのです。
畠中恵さんといえば!の江戸を舞台とした時代劇で日常物語で、ちょっとファンタジーでミステリーな物語です。自分で読んでいて少し間抜けで愛嬌のある月草と気の強く、少し妖艶で頼りがいのあるお華がまったくの別人で、月草が語っている木偶人形であると分かっていても、ひょっとしたらお華は本当に自分の意志で話し、真実を見通す力があるのではないかと思わせられてしまうから不思議です。いつものごとく、お江戸の庶民の日常をうまく書き表していて、当時のことをしっかり勉強して書いてらっしゃることがうかがえます。短編集なので、少しずつ読み進めればよいですし、本を読みなれていらっしゃらない方にもおすすめの作品です。

終わりに


今回も拙い文章を読んでいただきありがとうございました。もし今回紹介した二作を読んだ方がいらっしゃいましたら、ご自分の感想を送っていただけると幸いです。またおよそ一週間後にお会いしましょう。

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