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データサイエンティスト検定:モデル利活用の解説と演習問題

第8回(2024年11月)のDS検定に合格しましたがスコアシートを確認したところスキルカテゴリ「モデル利活用」が全滅。どんな問題だったか記憶があいまいでしたが「レコメンド」は一問あったような・・・。
全体平均も他に比べて低いようなので自分の振り返り&復習用のまとめです。なお、スコアシートを公開している人が数人いましたが「モデル利活用」の問題がそもそも出題されていない人もいますね。ハズレ問題を引いたといったところでしょうか。
「モデル利活用」にはサブカテゴリ「異常検知」「レコメンド」があります。
異常検知は白本では飛ばしていますね。シラバスのスキルレベル★★なので出題していないかもしれません。

スコアシート:スキルカテゴリ「モデル利活用」サブカテゴリ「異常検知」「レコメンド」

スキルカテゴリ「モデル利活用」サブカテゴリ「レコメンド」

チェック項目

レコメンドアルゴリズムにおけるコンテンツベースフィルタリングと協調フィルタリングの違いを説明できる。

スキルチェックリスト 2023年版 <データサイエンス力>

1. レコメンドアルゴリズムの概要

レコメンドアルゴリズムとは、ユーザーの興味やニーズに合った商品、サービス、コンテンツなどを推薦する技術です。ニュースからamazonなどのショッピングサイト、SNS、動画配信までほぼ閲覧しているものは適用されていると思ってよいです。Googleで検索すると次から表示広告が近いものに変わったりするのもこの技術です。
代表的な方法として、「コンテンツベースフィルタリング」と「協調フィルタリング」の2種類があります。それぞれの特徴や仕組み、適用例を解説します。

2. コンテンツベースフィルタリング(Content-Based Filtering)

概要

  • ユーザーが過去に評価した商品やコンテンツの特徴を基に、新しいコンテンツを推薦します。

  • 商品やコンテンツの「属性データ」を活用します。

仕組み

  1. ユーザーが過去に好んだアイテム(例:映画、商品)の特徴を解析。

  2. 同じ特徴を持つ新しいアイテムを推薦。

特徴

  • 長所

    • 他のユーザーのデータに依存しない。

    • 特徴データ(例:ジャンル、キーワード)が明確な場合、高い精度を発揮。

  • 短所

    • ユーザーが未評価の特徴を持つ新しいアイテムは推薦されにくい(コールドスタート問題)。

    • ユーザーの興味が狭い範囲に固定される可能性(多様性が低い)。

適用例

  • 動画配信サービスで「異世界転生アニメ」を好むユーザーに対して、他の「異世界転生アニメ」を推薦。

  • オンライン書店で特定ジャンル(例えば自己啓発本)の本を多く購入するユーザーに似たジャンルの本を推薦。

 〇コンテンツベースフィルタリングのプロセス

アイテムの特徴データを活用してユーザーの興味に合ったアイテムを推薦するアルゴリズムです。以下に、この手法がどのように機能するかを段階ごとに説明します。

1. 特徴データの収集

内容:推薦対象のアイテムに関する特徴データを集めます。

  • :映画の場合、ジャンル(アクション、SFなど)、監督、主演俳優、公開年などの情報を収集。

  • 目的:アイテムを詳細に記述するための属性情報を構築。

2. 特徴ベクトルの生成

内容:収集した特徴データを数値化し、ベクトル形式に変換します。

  • 方法

    • カテゴリデータ(例:ジャンル) → ワンホットエンコーディング。

    • 数値データ(例:評価点数) → そのまま活用。

    • テキストデータ(例:説明文) → TF-IDFなどでベクトル化。

  • :映画Aがアクション映画で評価4.5の場合 → ベクトル:[1, 0, 0, 4.5]。

3. ユーザープロファイルの生成

内容:ユーザーの過去の行動データを基に、そのユーザー専用のプロファイルを作成します。

  • 方法:ユーザーが高評価を付けたアイテムの特徴ベクトルを平均化。

    • 映画A:[1, 0, 0, 4.5]

    • 映画B:[0, 1, 0, 3.8]

    • ユーザーのプロファイル → 平均:[0.5, 0.5, 0, 4.15]。

4. 類似度の計算

内容:ユーザープロファイルとアイテムの特徴ベクトルとの間で類似度を計算します。

  • 方法

    • コサイン類似度:ベクトルの方向を基に類似度を計算(値は0~1)。

    • ユークリッド距離:ベクトル間の距離を計算(値が小さいほど類似)。

    • ユーザーのプロファイル:[0.5, 0.5, 0, 4.15]

    • 映画C:[1, 0, 0, 4.0]

    • 計算結果 → 類似度0.92。

5. 推薦リストの作成

内容:計算された類似度を基に、ユーザーへの推薦リストを作成します。

  • 方法:類似度の高い順にアイテムを並べてユーザーに提示。

    • 映画C(類似度0.92)

    • 映画D(類似度0.88)

    • 映画E(類似度0.85)

6.まとめ

コンテンツベースフィルタリングは、アイテムの特徴データを活用して、ユーザーの過去の好みに基づいたパーソナライズされた推薦を行う手法です。このプロセスを通じて、ユーザーの興味に合致したアイテムを効果的に提示できます。一方で、類似アイテムばかりが推薦されることが多く、推薦の多様性に課題がある場合もあります。


3. 協調フィルタリング(Collaborative Filtering)

概要

  • 複数のユーザーの評価データ(購買履歴や評価スコアなど)を活用して推薦を行います。

  • ユーザー同士またはアイテム同士の類似性を計算します。

仕組み

  1. ユーザーベース(User-Based Collaborative Filtering):

    • 類似した好みを持つユーザーの行動を基に、他のユーザーに推薦。

  2. アイテムベース(Item-Based Collaborative Filtering):

    • 類似したアイテムを基に、他のユーザーに推薦。

特徴

  • 長所

    • ユーザー評価データを広く活用し、多様なアイテムを推薦可能。

    • 特徴データが不要。

  • 短所

    • データが少ない場合に精度が低下(スパースデータ問題)。

    • 新規ユーザーや新規アイテムには適用が難しい(コールドスタート問題)。

適用例

  • 動画配信サービスで「同じ映画を高評価した他のユーザーが好きな映画」を推薦。

  • オンラインショッピングで「似た購買履歴を持つユーザーが購入した商品」を推薦。


4. コンテンツベースフィルタリングと協調フィルタリングの比較

$$
\begin{array}{|l|l|l|}
\hline
\textbf{項目} & \textbf{コンテンツベースフィルタリング} & \textbf{協調フィルタリング} \\
\hline
\text{データ依存性} & 商品・コンテンツの属性データに依存 & ユーザー評価データに依存 \\
\hline
\text{新規ユーザーの対応} & ある程度可能(属性データが利用可能な場合) & 難しい(ユーザー評価データが必要) \\
\hline
\text{多様性} & 低い(ユーザーの好みが固定されやすい) & 高い(多様なアイテムを推薦可能) \\
\hline
\text{実装の複雑さ} & 属性データの構築が必要 & 評価データがスパースな場合に工夫が必要 \\
\hline
\text{主な適用シナリオ} & 特徴が明確な商品・コンテンツの推薦 & 他のユーザーの評価が参考になる場合(例:映画、買い物) \\
\hline
\end{array}
$$

5.レコメンド演習問題


問題 1: コンテンツベースフィルタリングの特徴

コンテンツベースフィルタリングにおいて利用するデータは何ですか?

  1. ユーザー間の類似性

  2. アイテムの特徴データ

  3. 他のユーザーの行動履歴

  4. 時間的なデータ

解答:2. アイテムの特徴データ

解説
コンテンツベースフィルタリングは、アイテムそのものの特徴データ(ジャンル、価格、カテゴリなど)を基に推薦を行います。他のユーザーの行動履歴やユーザー間の類似性は、協調フィルタリングの特徴です。


問題 2: 協調フィルタリングのタイプ

協調フィルタリングには主に2つのタイプがあります。それは何ですか?

  1. コンテンツ型とユーザー型

  2. ユーザー型とアイテム型

  3. 単純型と複雑型

  4. 行動型と特徴型

解答:2. ユーザー型とアイテム型

解説
協調フィルタリングには、ユーザー同士の類似性を利用する「ユーザー型」と、アイテム同士の類似性を利用する「アイテム型」の2つがあります。


問題 3: 時間変化の影響

レコメンドシステムでユーザーの行動が時間とともに変化する場合、考慮すべき情報はどれですか?

  1. アイテムの人気度

  2. ユーザー属性

  3. 行動履歴の時間的なトレンド

  4. ユーザーの現在の場所

解答:3. 行動履歴の時間的なトレンド

解説
時間の流れによる行動の変化を考慮することで、より適切な推薦が可能になります。例えば、季節やイベントに応じたユーザーの興味を反映できます。


問題 4: レコメンドアルゴリズムの評価

レコメンドシステムの性能を評価する際、正しいユーザーへのアイテム推薦精度を測る指標はどれですか?

  1. Precision(適合率)

  2. MAE(Mean Absolute Error)

  3. Recall(再現率)

  4. CTR(Click Through Rate)

解答:1. Precision(適合率)

解説
Precisionは、推薦されたアイテムのうち、実際にユーザーが興味を持った割合を測定する指標です。精度を測る代表的な指標として使われます。


問題 5: レコメンドの評価指標の意味

以下の指標の中で、モデルがユーザーに興味があるすべてのアイテムをどれだけカバーできたかを示すのはどれですか?

  1. Precision(適合率)

  2. Recall(再現率)

  3. F1スコア

  4. RMSE(Root Mean Squared Error)

解答:2. Recall(再現率)

解説
Recallは、実際にユーザーが興味を持ったアイテムのうち、どれだけを推薦できたかを示す指標です。一方、Precisionは推薦したアイテムの正確性を示します。

6.レコメンド演習問題(難しいバージョン)

問題 1: 推薦アルゴリズムの選定

あるECサイトでは、ユーザーの行動履歴(閲覧履歴、購入履歴)と商品属性(価格、カテゴリ、人気度)を用いて個別の商品を推薦するシステムを構築しようとしています。さらに、ユーザー属性(年齢、性別、地域)も考慮することで精度を向上させたいと考えています。

この要件に最も適した推薦アルゴリズムを選択してください。

  1. コンテンツベースフィルタリング

  2. 協調フィルタリング

  3. ハイブリッドモデル

  4. ランダム推薦

解答:3. ハイブリッドモデル

解説
ハイブリッドモデルは、コンテンツベースフィルタリングと協調フィルタリングの両方のメリットを活用できる手法です。このケースでは、ユーザーの行動履歴(協調フィルタリング向き)と商品属性・ユーザー属性(コンテンツベースフィルタリング向き)を組み合わせることで、より精度の高い推薦が可能になります。


問題 2: 時間変化の考慮

映画のレコメンドシステムを設計しています。ユーザーが映画を視聴するタイミング(例:季節、時間帯)を考慮して、推薦内容を動的に変化させたい場合、次のアルゴリズムのうち、時間変化を最も柔軟に取り入れられる手法はどれですか?

  1. Item-based 協調フィルタリング

  2. Matrix Factorization

  3. 時系列モデル(例:RNNやLSTM)

  4. 単純なコンテンツベースフィルタリング

解答:3. 時系列モデル(例:RNNやLSTM)

解説
時系列モデル(例:Recurrent Neural NetworksやLong Short-Term Memory)は、データの時間的な依存性を捉えるのに適しています。この場合、ユーザーの視聴行動を時間の流れに沿って学習することで、季節や時間帯の影響を考慮したレコメンドが可能です。


問題 3: 評価指標の選択

新しい推薦アルゴリズムの性能を評価する際、以下のシナリオにおいて最適な評価指標を選んでください。

シナリオ:ユーザーが推薦されたアイテムをクリックするかどうかに特に関心があり、クリック率を向上させたい。

  1. RMSE(Root Mean Squared Error)

  2. Precision(適合率)

  3. Recall(再現率)

  4. CTR(Click Through Rate)

解答:4. CTR(Click Through Rate)

解説
CTRは、推薦されたアイテムがどれだけクリックされたかを測定する指標であり、クリック率を向上させることを目的とするシナリオに最適です。一方、RMSEは予測精度の測定、PrecisionやRecallは分類タスクでの適切な指標となりますが、直接クリック率を測定するのには向きません。


問題 4: 行動履歴とアイテム属性の組み合わせ

以下のデータを用いて、ユーザーが購入する可能性のあるアイテムを予測するために、行動履歴(閲覧回数、購入回数)とアイテム属性(価格、カテゴリ)をどのように組み合わせるべきか選んでください。

  1. 行動履歴のみを考慮する

  2. アイテム属性のみを考慮する

  3. 行動履歴とアイテム属性をベクトル化し、結合したデータをモデルに入力する

  4. ランダムフォレストを使用して行動履歴のみを分析する

解答:3. 行動履歴とアイテム属性をベクトル化し、結合したデータをモデルに入力する

解説
行動履歴とアイテム属性の両方を使用することで、ユーザーの興味を詳細に捉えることができます。それぞれを数値化してベクトル化し、結合したデータを用いることで、モデルが両方の情報を学習でき、より正確な予測が可能になります。


問題 5: レコメンドの評価方法

推薦システムをオンライン環境でテストし、ユーザーの実際の反応を観察したい場合に最適な評価方法を選択してください。

  1. クロスバリデーション

  2. オフラインテスト

  3. A/Bテスト

  4. 混同行列を用いた評価

解答:3. A/Bテスト

解説
A/Bテストは、オンライン環境で複数の推薦アルゴリズムを比較し、ユーザーの反応を直接観察する方法です。実際のクリック率や購入率などのリアルなデータを基に効果を評価できます。一方、クロスバリデーションやオフラインテストは主に事前評価で使用されます。


スキルカテゴリ「モデル利活用」サブカテゴリ「異常検知」


1. 教師あり異常検知と教師なし異常検知の違い

チェック項目

手元のデータの多寡やデータの再現性をふまえ、教師あり異常検知と教師なし異常検知の違いを適切に使い分けることができる。

スキルチェックリスト 2023年版 <データサイエンス力>

1.1 教師あり異常検知

概要

  • ラベル付きデータ(正常データ・異常データ)が必要な手法です。

  • モデルは正常データと異常データの特徴を学習し、新しいデータがどちらに属するかを判定します。

適用シナリオ

  • データ量:正常データと異常データが十分に存在する場合。

  • 再現性:既知の異常が頻発し、今後も同じ異常が再現される可能性が高い場合。

代表的な手法

  • ロジスティック回帰:異常と正常を確率で予測。

  • ランダムフォレスト:複数の決定木を用いた分類。

  • サポートベクターマシン(SVM):境界を学習して分類。

  • ニューラルネットワーク:複雑な特徴を捉える高精度手法。

メリット

  • 異常と正常のラベルが明確に定義されている場合、精度が高い。

  • モデルの精度向上が容易(データが十分にあれば)。

デメリット

  • ラベル付けのコスト:データにラベルを付ける作業に専門知識と時間が必要。

  • 未知の異常への対応力不足:過去に学習していない異常を検出するのは難しい。


1.2 教師なし異常検知

概要

  • ラベルなしデータを使用し、正常データの分布を学習して、そこから外れるデータを異常と判断する手法です。

適用シナリオ

  • データ量:正常データが圧倒的に多く、異常データが極めて少ない場合。

  • 再現性:未知の異常が予測され、データの再現性が低い場合。

代表的な手法

  • k-meansクラスタリング:クラスターから外れるデータを異常と判定。

  • Isolation Forest:正常データを効率的に分離する。

  • Local Outlier Factor(LOF):局所的な密度の低さを基に異常を検出。

  • オートエンコーダ(Autoencoder):ニューラルネットワークで再構成誤差を利用した異常検知。

メリット

  • ラベルが不要で、未知の異常にも対応可能。

  • 初期データが不足している状況でも使用可能。

デメリット

  • 異常の定義が曖昧で、誤検知が発生する可能性。

  • 分布を適切に学習できないと精度が低下。


1.3 適切な使い分け

$$
\begin{array}{|l|l|l|}
\hline
\textbf{条件} &\textbf{教師あり異常検知} & \textbf{教師なし異常検知} \\
\hline
\text{データ量} & \text{ラベル付きデータが十分にある場合} & \text{ラベルがなく、正常データが多い場合} \\
\hline
\text{未知の異常} & \text{未知の異常には対応しにくい} & \text{未知の異常にも対応可能} \\
\hline \text{再現性} & \text{再現性が高い(既知の異常が再現可能)} & \text{再現性が低い(異常がランダムに発生)} \\
\hline
\end{array}
$$


2. 異常検知手法の選定と適用

チェック項目

Local Outlier Factor(LOF)、オートエンコーダ、One-class SVM(Support Vector Machine)、マハラノビス距離などを用いた異常検知の手法を理解し、試行の中で最適な手法を選択・実行できる。

スキルチェックリスト 2023年版 <データサイエンス力>

2.1 各異常検知手法の特徴

(1) Local Outlier Factor(LOF)

  • 概要:局所的な密度を基に異常を検出。密度が低いデータを異常と判断。

  • 特徴:非線形データに対応可能、局所的な異常に強い。

  • 制約:高次元データでは効率が低下。

  • 適用例:ネットワークトラフィックの異常検知。

(2) オートエンコーダ(Autoencoder)

  • 概要:ニューラルネットワークを用いてデータを圧縮し、再構成誤差で異常を検知。

  • 特徴:高次元・非線形データに適している。ディープラーニング活用。

  • 制約

    • 大量の正常データが必要(一般的な目安として、モデルのパラメータ数の10倍以上のサンプル数が推奨)

    • 学習に使用する正常データは、対象となるシステムや環境の特性を十分に反映している必要がある

  • 適用例:医療データ(例:異常な心拍数)。

(3) One-class SVM(Support Vector Machine)

  • 概要:正常データの境界を学習し、境界外を異常とする。

  • 特徴:非線形データや高次元データに対応可能。

  • 制約:計算コストが高い。

  • 適用例:サイバーセキュリティ、製造業の品質管理。

(4) マハラノビス距離

  • 概要:多変量正規分布を仮定し、平均値からの距離で異常を検知。

  • 特徴:正規分布に近いデータに適している。

  • 制約:正規分布から外れると適用が難しい。

  • 適用例

    • 製造工程における測定値の品質管理(温度、圧力、湿度などの複数の正規分布に従う指標の監視)

    • センサーデータの異常検知(正規分布に従う複数のセンサー値の相関関係を考慮した監視)

    • 定常的な業務プロセスの監視(正規分布に近い特性を持つ複数の業務指標の異常検知)


2.2 手法選定のポイント

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline \textbf{基準} & \textbf{適した手法} \\ \hline \text{高次元データ} & \text{オートエンコーダ、One-class SVM} \\ \hline \text{非線形データ} & \text{LOF、オートエンコーダ、One-class SVM} \\ \hline \text{正規分布データ} & \text{マハラノビス距離} \\ \hline \text{局所的な異常検知} & \text{LOF} \\ \hline \text{計算コスト} & \text{マハラノビス距離、LOF(データ量が少ない場合)} \\ \hline \text{リアルタイム性} & \text{マハラノビス距離、One-class SVM(学習済みモデル)} \\ \hline \text{解釈可能性} & \text{マハラノビス距離、LOF} \\ \hline \end{array}
$$


3.異常検知演習問題

 1. 教師あり異常検知と教師なし異常検知の違いより

問題 1

以下の状況において、教師あり異常検知と教師なし異常検知のどちらを使用するべきか選びなさい。

状況
金融取引データを分析し、不正行為(異常)を検知する必要があります。過去の取引データには、不正行為がラベル付きで記録されています。同様の不正行為が再現されると予測されています。

  1. 教師あり異常検知

  2. 教師なし異常検知


解答:1. 教師あり異常検知

解説

  • ラベル付きデータ(正常・異常)が存在し、既知の異常が再現される予測がある場合は教師あり異常検知が適しています。

  • 教師あり異常検知は、正常と異常を分類するためのラベル付きデータを用いて学習し、未知のデータを分類します。

  • このケースでは、取引データの過去のラベルを活用してモデル精度を高めることが可能です。


問題 2

教師なし異常検知が適している状況として正しいものを選びなさい。

  1. データにラベルが付いており、既知の異常が再現される場合。

  2. 正常データが多く、異常データが非常に少なくラベルが付いていない場合。

  3. ラベルなしのデータを処理することができない場合。

  4. 再現性が高く、異常データの種類が少ない場合。


解答:2. 正常データが多く、異常データが非常に少なくラベルが付いていない場合。

解説

  • 教師なし異常検知は、正常データの分布を学習し、その分布から外れるデータを異常として検出するため、ラベルなしデータに適しています。

  • 異常データのラベルがない場合や未知の異常を検出したい場合に有効です。


 2. 異常検知手法の選定と適用より

問題 3

Local Outlier Factor(LOF)の主な特徴として正しいものを選びなさい。

  1. ラベル付きデータを必要とする

  2. 局所的な密度を利用して異常スコアを計算する

  3. 高次元データでの適用が得意である

  4. 正規分布データでしか使用できない


解答:2. 局所的な密度を利用して異常スコアを計算する

解説

  • LOFは、局所密度を基に異常スコアを計算し、密度が低いデータポイントを異常として検出します。

  • 非線形データや局所的な異常検知に適していますが、高次元データでの効率は低下します。


問題 4

以下の状況でオートエンコーダを使用する理由を述べなさい。

状況
異常検知対象のデータは高次元かつ非線形な構造を持っており、ラベルなしの正常データが多数あります。異常データはラベルが存在しません。


解答
オートエンコーダは高次元かつ非線形データを圧縮し、再構成誤差を基に異常を検知できるため、ラベルなしの正常データにも適用可能です。

解説

  • オートエンコーダはニューラルネットワークを使用してデータを圧縮・再構成し、再構成誤差の大きさで異常を検出します。

  • ラベルがなくても正常データの特性を学習でき、非線形データに適しています。


問題 5

One-class SVMの特徴として誤っているものを選びなさい。

  1. 正常データの境界を学習する

  2. カーネル関数を使用して非線形データに対応する

  3. ラベル付き異常データが必要である

  4. 高次元データに適用可能だが計算コストが高い


解答:3. ラベル付き異常データが必要である

解説

  • One-class SVMは正常データのみを使用して境界を学習し、その境界外に位置するデータを異常として検出します。

  • ラベル付き異常データは必要ありませんが、カーネル関数の選定や計算コストが課題となる場合があります。


問題 6

マハラノビス距離を用いた異常検知が最も適している状況を選びなさい。

  1. データが非線形で高次元の場合

  2. データが多変量正規分布に近い場合

  3. 局所的な異常検知を行いたい場合

  4. ラベル付きデータを活用する場合


解答:2. データが多変量正規分布に近い場合

解説

  • マハラノビス距離は多変量正規分布を仮定し、データのスケールや相関関係を考慮して異常を検出します。

  • 正規分布に近いデータでは高い精度を発揮しますが、非線形データや高次元データには不向きです。


おつかれさまでした。


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