脂質の代謝
脂肪は脂肪酸とグリセリドに分解され、筋肉や脂肪細胞に取り込まれると、最終的には水と二酸化炭素に分解されて放出されます。
なので、分解された脂肪は最終的には呼気(二酸化炭素)や発汗(水)などにより体外に放出されるということになります。
ですが、発汗が脂肪燃焼ということではありません。
脂肪燃焼酵素であるリパーゼは体温が1℃上昇する程度で最も働くと言われています。
つまり、サウナで運動して汗をかいたり、真夏の炎天下での運動は体温の上昇も大きいため、リパーゼの働きは悪くなります。(脂肪燃焼効率が悪い)
ダイエットの場合などはこの点は注意が必要です。
ここからはマニアックな話
脂質の代謝について
脂肪は体内で脂肪酸とグリセリドに分解され、再び脂肪が生成されて最後はエネルギー源として燃焼する。
しかし、脂肪の分解は難しい。
油と水は混じらない。人の体の基本は水なのに、脂肪は水に溶けないからだ。
では脂肪の分解はどのようにして行われるのか・・・
その答えは胆汁にある。
胆汁は肝臓で作られる緑色の液体で、胆のうに貯蔵される。
胆のうは小腸と肝臓の間にあり、短い管でその両方に繋がっている。
数年前、生っぽいホルモンを食べてお腹を下した時、緑色の液体が放出されて俺は死ぬのか??と思ったことがある。
汚い話でごめんなさい。
胆汁がみたければ、思いっきり食あたりになるのがオススメですw
脂肪が胃から小腸に入ると、胆のうが食べ物に胆汁を少し吹き付ける。
すると、胆汁酸が脂肪と油の塊を分解する。脂肪が乳化されると、肝臓からリパーゼという酵素(脂肪燃焼酵素と言われる)が加わり乳濁滴はさらに小さなミセルという粒子に変わる。
ミセルは炭酸飲料の泡のようにできては壊れ、またできる。そして壊れるたびに脂肪酸とグリセリドを放出する。
脂肪酸とグリセリドは腸壁から吸収され、トリグリセリドに戻される。
体内の脂肪は普通トリグリセリドである。
体内のトリグリセリドは水になじまないため、血液で凝集する。(脳梗塞や心筋梗塞の原因になる)
そのため、トリグリセリドはカイミクロンという球状の容器に入れる仕組みがある。(これにより脂肪が固まらない)
しかしカイミクロンは大きいので毛細血管の壁を通れないので、血液に乗せて全身に届けることは出来ない。そのため、カイミクロンに入れられた脂肪の分子はリンパ管から吸収される。
そして、胸管から静脈へ放出される。
脂肪を詰めたカイミクロンはとても大きく、脂肪たっぷりの食事をとると沢山作られる。
このため、血液は乳白色を帯びる。
しかし、カイミクロンは最後には分解されその中身は貯蔵、あるいは利用される。
血管壁に存在するリポタンパクリパーゼという酵素がトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解する。
これがトリグリセリドに戻らないうちに、脂肪酸は脂肪酸トランスポーターという分子を介して細胞に取り込まれる。
脂肪の大半は脂肪細胞と筋肉に蓄えられ、エネルギー不足に備えた燃料庫が出来る。
お腹や太ももなどに感じられる脂肪、霜降り肉の脂肪はトリグリセリドだ。
体が肝臓をはじめとする臓器に沢山の脂肪を蓄え始めると問題である。
私たちが取り入れた脂肪のいくらかは、細胞膜や、神経の外側を覆うミエリン、脳の一部などの構成成分となる。
これに必要な脂肪酸の一部は他の物を組み替えても作れないため、必須脂肪酸とされていて食物からとる必要がある。
オメガ3脂肪酸が含まれていると宣伝するのはこのため。
人体がなぜ脂肪を分解、貯蔵するのか・・・
30gの脂肪に255カロリーという膨大なカロリーを詰め込めるから人体は脂肪を分解、貯蔵する手間を惜しまない。
この密度はニトログリセリンの5倍以上、アルカリ電池の100倍に近い数字になる。
体は蓄えた脂肪を食事と食事の間に燃料として使う。
貯蔵されたトリグリセリドは脂肪酸とグリセリンに分解されエネルギーを生み出すために利用される。