
一月十六日
私は世界を広げたいのだ
「キングダム」には考えさせられる台詞が沢山あります。 当今の名台詞などより吟味すべき言葉は、決め台詞よりむしろ何気ないシーンにこそ誠の価値があるのです。

出典「キングダム」楊端和
我が国が年を経るたびに防壁が屈強になる。すると、国の狭さを感じる。戦でも和でもよい、私は世界を広げたいのだ
《荒筋》
秦国の下僕の少年に漂と信という秦国の下僕の少年がいる。少年達は下僕の身から這い上がろうと木剣で剣技を磨き、戦場で出世して何れは天下の大将軍になろうという夢を共有していた。
信は漂と自身の夢を叶えるため、王子の玉座奪還に手を貸す。逃避行で一緒になった河了貂と嬴政の三人で行動を共にする。
刺客を倒し、昌文君一行と合流できた三人だったが、肝心の味方がいないということを知らされて信は驚愕する。
嬴政達は助力を借りるために山界の王に会いに行く。しかし、山の王は嬴政を拉致してしまう。
山の王は祖先が受けてきた恨みを晴らすべく嬴政を処刑しようとする。しかし、嬴政はそんな山の王と話をする。
そして、首枷をはめられた信、河了手・壁に山の民達の前で嬴政は山の王に自分の路を宣言する。
山の王・楊端和は嬴政の話から過去の自分を思い出す。
《解説》
❤️人々を指揮する者は自分の願いを確認しよう。
楊端和の言葉は正に王の言葉でした。戦争も外交も国を広げるための手段であって執着耽溺化すべきではありません。
自分の願いとは初心のことでもあります。自分の願いが私益に怨嗟や怨み嫉妬から発していないかよく反芻する必要があります。
初心、願いが歪んでいれば嬴政の言うように、力も技も人を不幸に巻き込み怨嗟の渦に落しかねません。
❤️戦争で無くとも和でも国は広げられる
どこかの常任理事国様に楊端和の言葉を聞かせてあげたいです。戦争行為を働かなくても国を世界を広げることはできるのです。
どんなに屈強な砦を築こうとも、鋭利な武器を持とうとも国は広がるどころか狭くなる。
国の大きさは国の中の人間が生きる世界の大きさに比例する。国土がどれだけ広かろうとも、そこに住まう人間が生きる世界が狭ければ国は狭い。
楊端和はそう言っています。卓見というべきでしょう。