一月十四日
一時が平和になったんならすげーじゃねーか、それ以上に何ができるってんだ!
「キングダム」には考えさせられる台詞が沢山あります。 当今の名台詞などより吟味すべき言葉は、決め台詞よりむしろ何気ないシーンにこそ誠の価値があるのです。
出典「キングダム」信
《荒筋》
秦国の下僕の少年に漂と信という秦国の下僕の少年がいる。少年達は下僕の身から這い上がろうと木剣で剣技を磨き、戦場で出世して何れは天下の大将軍になろうという夢を共有していた。
そんな少年達の前に秦国の大臣・昌文君と出会う。兄弟で玉座を争い、その過程で親友・漂が殺される。悲しみつつも信は遺言に従い、秦国の王子・嬴政と出会う。
信は漂の夢を叶えるため、王子の玉座奪還に手を貸す。逃避行で一緒になった河了貂と三人で行動を共にする。
刺客を倒し、昌文君一行と合流できた三人ですが、肝心の味方がいないということを知らされて信は驚愕する。
嬴政達は助力を借りるために山界の王に会いに行く。しかし、山の王は嬴政を拉致してしまう。
山の王は祖先が受けてきた恨みを晴らすべく嬴政を処刑しようとする。しかし、嬴政はそんな山の王と話をする。
その会話の途中から首枷をはめられて信、河了貂・壁は連れてこられた。
嬴政の話の中で秦国の名君・穆公をけなしたので信が怒る。
《解説》
❤️平和のありがたさとは無用な争いがないこと。
春秋時代でも戦乱は絶えず、盟主の周王朝の力は落ちていました。その時代では尊王攘夷の名の下に覇者と呼ばれる実力者が周王の代りに諸侯の盟主となって秩序を維持していました。
信が言うように戦乱の時代に平和を維持することは凄いことです。
孔子も覇者の一人である斉の桓公を補佐した管仲を称えたほどです。命が育まれる時間は平和にこそ多分にあるからです。
秩序も法律も道徳も平和を希求し、維持するために発明されたのです。
それでも尚、春秋時代は覇権国・晋が三つに分割された時を以て戦国時代に突入してしまいました。
最早、周王朝を尊ぶ精神は完全に地に落ちて、国家諸侯は実力で国を維持する必要に迫られました。
信が生きているのはそんな時代でした。戦国七雄は実力で国を維持するため富国強兵に務め、秦では法で強国にのし上がったのでした。
戦国乱世は留まるところを知りませんでした。庶民にとっては毎日が命を脅かされること無く生活出来ること、それが何よりの宝でした。
❤️古い平和から新しい平和へ
庶民?の信から見れば平和であることが最高の宝であります。ところがどっこい、そうは生きません。
良くも悪くも人は成長しており、同じ果実で満足できるわけは無かったのです。
旧来の平和維持では保てない。そう考えなければ統一への希求は生まれてきません。
新しい平和維持を考える時期が来ていたのです。
平和を求めるのは戦争に反対するのと同じ心です。ですが、平和が今までのままで維持できなければ、人は新しく成長して平和の維持を模索しようとするのです。
パラダイムシフトという言葉があります。旧システムが不良品になったのを新たに構築し直すことです。
パラダイムシフトが起こるときは、旧システム下の人達が不平不満を起こしているか、成長しているかの二つが現われます。
「キングダム」曰く百以上の小国が度重なる戦乱で七つまで淘汰されて、それでも戦乱は止まりません。
治まらないときはどこかおかしいところがあるのです。その箇所を見出して修正か、構築かを判断決断できるTOPこそが優れた指導者です。