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二月四日
すでに満ち足りている国王はわざわざ過酷な道を選びません
「キングダム」には考えさせられる台詞が沢山あります。 当今の名台詞などより吟味すべき言葉は、決め台詞よりむしろ何気ないシーンにこそ誠の価値があるのです。
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出典「キングダム」王騎
口先だけですよ。目を見れば分かります、どれだけ自分の夢に恋焦がれているのか。本物は大王のように瞳に少年の輝きを宿しています。
実際に中華を求める王などどこにもいませんよ。すでに満ち足りている国王はわざわざ過酷な道を選びません。この争乱の世、どの王も小競り合いを繰り返して現状維持で満足するのです。
《荒筋》
秦国の下僕・信は漂と自身の夢を叶えるため、王子の玉座奪還に手を貸す。逃避行で一緒になった河了貂を加え、嬴政達は山の王の助力を借りて連合を組み、玉座奪還作戦を行う。
王都咸陽に入城し、遊撃部隊として宮殿に通じる回廊で信たちは王弟側の兵達と戦闘、激戦を制す。
ついに正殿に辿り着き王弟と竭丞相の抵抗を廃し、彼らを打倒する。
しかし、城壁の上から怪鳥・王騎とその兵達が介入する。王騎は笑いつつも嬴政に目指す王の姿について問い始める。
嬴政は中華の唯一王と即座に答える。そして、昭王の死を受け入れてから中華に羽ばたけと言う。
中華に羽ばたく。王騎は昭王との会話を思い出す。王騎は昭王のような王は現われないと嘆く。
《解説》
❤️改善を怠けた時に衰退は始まっている。
栄枯盛衰は人の理。事業でも技でも改善を怠り同じ境遇に甘んじる人は負けていく。
あたかも日々の豊かな生活に溺れて健康を忘れて体を壊していくかのように。
スポーツ選手は体力維持に不摂生な生活は許されない。だから心技体の鍛錬は無論のことです。 組織団体もそのように働く。
事業が更なる改善と飛躍を望まなければ会社は斜陽に足を踏み入れる。国家も軍隊が武力を鍛錬し、バトルオブドクトリンを開発研鑽しなければ未来の敗北が待っている。
世に生きる全ての人の理を王騎将軍は皮肉を込めて語っています。
❤️大志を抱け、大志を笑うなかれ
夢の大きさは想像力の大きさです。人が持つ夢に個性が宿る、個性が宿る夢は志としてみることができます。
その夢には他の人も入って来れて、見ることが出来るのです。
夢に向かって行動する、努力する度に想像力がその人の心技体にみなぎっていく。
「キングダム」の昭王もそんな人であったのでしょう。初心を最後まで目指して生きた、素晴らしい人です。
たとえ夢が成就しなくても、敢闘した人は輝いています。世界制覇ができなくてもアレクサンダーは、大王と後世まで語られるように人々の心にのこっている程に。
❤️現状維持に甘んじる夢の人は夢の大きい人に敵わない
中国でも日本でも戦国時代で現状維持に甘んじた領主達は、それ以上の世界を想像できる夢・野望の領主に敗れます。
想像力が大きいというのは、生きる力というか生命力が強いのかも知れません。
王騎将軍が語ったように、戦国列国は最強国の時代が変わりつつも現状維持のまま夢の大きさが変わらないせいで、領土獲得の競り合いを繰り返しました。
そして、それは秦国の夢の大きさに押しつぶされていったのです。小競り合いがやっとなのかも知れませんし、ビジョンが描けなかったのかも知れません。
日本の戦国時代でも“幕府”の権威で天下を差配か自分の領土を守護する諸大名と
“朝廷”の権威と天下全てをまとめる天下人になった大名とは、想像力の大きさが違います。
野望とは戦略、大戦略と言うべきものかも知れません。
戦略とは自分だけの世界より外の世界から自分を見ることです。現状維持では戦術のままであり、戦略はそこから脱することです。
戦略は夢、想像力が大きく左右されます。心という夢があって、そこから知恵という技がひねり出されるのでは無いでしょうか。
欲、夢、想像力を持ちましょう。自分だけで無く知らない人でさえ楽しめる大きさを描きましょう。