日本型経営は「ストック」で評価する
財務省は国の借金は1,200兆円と言って、増税を匂わせ続けています。国税や地方税、社会保険合わせると国民負担率(租税負担率と社会保障負担率を合計したもの)は所得の50%を超えているのです。国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は、56.5%となる見通しだと財務省は発表しています。消費税だけでも10%です。消費税が仮になくなっても46.5%の負担を強いられているのです。
いくら稼いでも、半分税金や社会保険料でもっていかれたら働く気がなくなります。バーチャルマネーを発行する「利権」を持たないものは、一生奴隷なのです。
国の借金が1,200兆円という論法を使う輩は、「フロー」しか論じていないのです。経済や経営では、「フロー」だけでなく「ストック」を論じないと片側しか見ず、本質に迫ることができません。
国債を発行することで、道路ができ、公共機関にエスカレーターが設置され、社会的なインフラが整備されました。一部、国民の現預金も増えました。国が国債を発行して借金が増えた分、国民の「ストック」が増えたのです。
国の借金が1,200兆円という片面だけの情報を流して、国民が汗水たらして稼いだリアルマネーを吸い上げようとしているのが、敵国に魂を売った「売国奴」なのです。
税理士の先生は、経営が不振な場合、「売上高を2割アップしないと、3年後に資金はつきますよ」と脅します。翌年、売上高がアップしなかったら、「経費を削減しなければ赤字ですよ」と警告します。さらに翌年、経費を削減しても赤字だったら「粗利益率を上げないと倒産しますよ」と脅します。
どうしたら売上がアップするのか、教えてもらいたいものです。
売上高増、客数増は「ストック」に依存するのです。「ストック」とは、従業員一人ひとりがお客と友人になり、「御贔屓さん」を増やせたか、お客を裏切ることなく「信用」をストックできたか、目利きや取引先との信頼感など「技術・ノウハウ」を蓄積できたかにかかっているのです。
しかしこの「ストック」を財務省も金融機関も無視してきました。商いの本質は「信用」という「ストック」をいかに蓄積できるかにかかっているのです。「ストック」が閾値に到達すると、お店は大繁盛します。「信用」というストックを得るための真言(マントラ)が、「店はお客様のためにある」なのです。
私が、最近の若い経営者に危惧するのは、ノウハウやマニュアルなど「フロー」重視で、信用や経験・情報の蓄積と言った「ストック」を軽視している点です。
技術・ノウハウは「波動」です。職人の目利きや技術は「波動」により若者に伝授されます。うなぎ職人には「 串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という格言があります。 鰻の串打ちをマスターするまでに3年、捌けるようになるまでに8年。 そして、焼きの技術を習得するには一生かかるというわけです。
寿司職人の世界では、「捨てシャリ」とは、“職人が寿司を握る際、取りすぎたシャリをおひつに戻す”動作のことです。寿司を手際よく、美しく握るにあたって必要不可欠な動作なのです。
和菓子職人の世界では、「小豆の声を聴け」と言います。「時計に頼るな。目を離すな。何ゅうしてほしいか、小豆が教えてくれる」という教えです。これらはマニュアルという「フロー」では伝授できないこと、「波動」に同調する「ストック」という経験の積み重ねが必要なのです。
私は「フロー」しか重視しない、学者や官僚を危惧します。国の進む道を誤るからです。商いこそ「信用」という「ストック」が最大の財産なのです。「信用」をストックするためには、「運送り」することなのです。