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読書#19 「経済がわかる論点50 2021」著:みずほ総合研究所
どんな本?
マクロ経済に関わる論点だけでなく、気候変動問題、米中新冷戦、東京五輪延期問題、5GやMaaSといった日本産業の重要ポイントなど幅広い視点から2021年に話題となるだろう論点を取り上げた。
みずほ総合研究所が、2021年の論点を50個選んで、論じてくれた本だ。
あれ、今2022年なのに、なぜ2021年?
それは図書館にあったのが2021年のものだったからだ。毎年出ているようなので、読んでみたいと思った場合は最新のものを読んだ方がいい。
正直、論じている中身については、ぴんとくるものがあまりなかったのだけど、出てくるデータは多く、論点もきれいにさらっており、ざっくりと世の中のことを把握するにはいいかもしれない。
気づき
プライマリーバランス至上主義者のコロナ復興増税(笑)
今回も新型コロナ復興特別税のような形で、広く、浅く、そして長く課税を行うことを議論していくべきだと思われる。
マジでこれ言う人いるんだ……。
ちょっと驚きである。私は、高橋洋一さんの本を読んで経済を勉強したので、復興増税に関しては否定的だ。というよりも擁護するロジックがわからない。この本を読んでもちょっとわからなかった。
高橋先生などは、財務省はコロナ復興増税を狙っているとしきりに言っていたが、そんなあきらかに経済に悪影響を及ぼすことをするわけないだろうと、若干ストローマン論法染みたやり方ではないかと疑っていたのだが、この本を読んで、マジで言っている人がいてびっくりした。
担当はみずほ総研のチーフエコノミストだ。名前は控えよう。もしかして財務省の天下りかなと思って調べてみたけれど、みずほ銀行のたたき上げっぽかった。
増税したとき、銀行って何か得するのかなぁ。どちらかというと、財務省のやりたいことを忖度して書いておいて、後の人事を期待しているのかな。どのくらい影響するのか知らないけれど。
このあたりは憶測というか陰謀論だけど、そう疑ってしまうような言説で、何度も言うが驚いた。
一応、菅総理のときは、コロナ復興増税はなかったらしいが、岸田総理は大丈夫かな。不安だな。
住宅市場は低調
コロナショックにより大きく落ち込んだ住宅市場であるが、2021年も引き続き低調な推移が見込まれる
これは意外だった。
いや、一時的には下がるけれども、コロナ禍の中で住宅市場はあがるのではないかと思っていた。
なぜならば、テレワークの促進で良い家に住みたいという欲求が高まるんじゃないかと予測したからだ。
けれども、新設住宅着工戸数は低下している。ただ、以下の記事によれば今年は回復の兆しがみられるらしい。
うーん。この先、テレワークの促進で住宅に関してはかなり変動が大きくなるのではないかと予測しているのだけど、現実はまだ反応していない。予測が外れているのか、それとも”まだ”なのか。
深刻な年齢差別はまだまだ続くよ!
2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務になる。
定年という制度が、よくよく考えると意味がわからない。
年金をいつからもらえるのかが年齢で決まるのはわかるけれど、どうして年齢で退職が決まるのだろう。
働ける、価値が創出できるのであればいつまででも働けばいいし、価値が出せないのならば、年齢にかかわらずクビなのでは?
流動的な労働力を、と言っておきながら、法制度が終身雇用を前提として設計されている。これでは流動的な労働力の実現は難しいだろう。
オードリー・タン氏の本にジェネレーションの差別に関しても書かれていたが、日本は男女よりもそちらの差別の方が深刻な気がする。
この本によれば、法改正では定年が延びるだけ。抜本的な法改正が行われることはないようなのでまだまだ先はなさそうだ。