はじめての、その先へ #45 年老いたニワトリと暮らす
5羽のニワトリたちが我が家のメンバーになったのは2021年11月のことだった。今年はニワトリと一緒に迎える3度めのお正月になる。でも、今いるのは5羽のうち1羽だけだ。
昨年の4月から夏にかけて、4羽のニワトリが1羽また1羽と天に召されてしまったのだ。
我が家にいるボリスブラウンという品種の採卵鶏の寿命は短く、3年から5年と言われているらしい。産卵に関する機能の病気になりやすくなり命を落とすことが多いそうだ。
ニワトリたちは病気になると、看病を求めるかのように家の中に入ってきて、部屋の中で寝起きし、看取られていった。病気のニワトリは基本的にあまり動き回ることもなく、俯き気味に目を閉じてじっとしていることがほとんどだが、たまに目を開けてほんの少しだけエサを人の手から食べてくれるなど、切ないが濃密な最期の時間だった。
生き残った1羽のニワトリは、推定で4歳か5歳になる。昨年の7月の台風以来、当時まだ生きていたもう1羽と共に鶏小屋から出て家の中で寝起きするようになってしまった。少し前までは朝起きると外に出かけて行き、夕方に家に戻って来たのだが、最近は冬の寒さや雨風のせいもあり、なかなか家から出ようとしない。家の中で羽繕いをしたり、昼寝したりして過ごすことが多くなった。
人間の都合としては、細かい羽毛の屑やフンを掃除する手間が尋常でないのだが、一日中ニワトリと一緒に過ごしていると、それだけ愛しさも増えてくる。周りからはニワトリを猫可愛がりするなんて⁈と驚き半ば呆れられるが、いつまでこの生活が続くかは神のみぞ知る。ニワトリと過ごすことのできる、与えられたこの時間を大切にしていきたいと思っている。