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英語でお仕事101: How are you? に I'm fine. と答えるのは不自然?

Iʼm fine. と答えて問題ありません。場面に応じてふさわしい表現があること、そして一人が聞く・使う英語はその人の年齢、職業、経験、過ごしてきた環境、関わる人々などに影響されることを意識しておきましょう。

How are you? に対して I’m fine. や Fine, thank you. And you? という答えは「ネイティブは言わない」「笑われる」と一部の方々がおっしゃるようですが、実際には特にフォーマルな場面で使われ、礼儀正しく丁寧な受け答えです。

出会ったときのあいさつ How do you do? についても「古い表現」「使わない」といった声を聞くことがありますが、こちらもどちらかというとフォーマルな場面で「はじめまして」のような意味で現在も使われます。

「ネイティブはこんなこと言わない」という言葉を聞いて、自分の英語は大丈夫かと不安を感じる方がいらっしゃると思います。そのような方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

まず、一言で「英語」と言っても、アメリカ人が使う英語、イギリス人が使う英語、オーストラリア人が使う英語など、英語圏によって使われる英語は異なります。また、「アメリカ英語」と言っても、アメリカは広いので、州やその中のエリアによっても違いや特徴があります。つまり、国や地域によって異なる「英語」が存在します。

また、英語ネイティブの方も、その人が使う・聞く英語は、本人の住む地域、年齢、職業、cohorts(似た特徴を共有する集団 〔特に年齢〕)、普段関わる人々、これまでの経験や過ごしてきた環境などにも影響されます。

ですから、「ネイティブは〇〇と言わない」や「ネイティブの友人が〇〇は使わないと言っていた」と主張される方がいた場合、「その方の知るネイティブの人(たち)が使わない」または「その方の経験では聞いたことがない」という意味になります。

ネイティブの方が「〇〇は言わない」と主張される場合も同じく、「その人は聞いたことがない」「その人が過ごしてきた環境や経験では使われなかった」ということです。一人の意見をもとに「英語はこうだ」と断言することはできないと思います。

筆者がこれまでに受けた「〇〇は使わない方がよいか」という質問の中からピックアップして解説します。

My name is ...
自己紹介をするときなどに、このフレーズは避けた方がよいと聞いた方がいらっしゃるかもしれません。実際は初対面の方への自己紹介、プレゼンの冒頭、初めてメールを送るときなどに使います。例えばプレゼンでは、My name is ... とフルネームで名乗り、組織(会社)名、所属部署名、役職などを述べます。特にビジネスやフォーマルな場面でも使います。直訳すると「私の名前は…です」と、少し不自然でかしこまって聞こえますが、「私は …です」「…と申します」に近いニュアンスです。以前からメールでやりとりをしているなど、相手がすでに名前を知っている場合は、I’m Miki. などと名乗る方が自然です。

Certainly.
「そうですね」「もちろんです」「おっしゃる通りです」「はい」「かしこまりました」など、状況によって他の意味もあります。理解・了解したことを示す、返事をするときなどに言います。

You’re welcome.
感謝の言葉を言われたら、「どういたしまして」と言うときに使います。 「You’re welcome. は教科書通りで、ネイティブは No worries. や No problem. / Not a problem. と言う」と聞くことがありますが、ふさわしい場面と丁寧度の違いで、You’re welcome. はフォーマルな場面やビジネスで使います。No worries. などは少々カジュアルで、 親しい相手に使うのが自然です。筆者は、親しい人でも、深い感謝の言葉を受けたとき、普段は Sure! や Happy to help! などと答えるところ、You’re very welcome. と返事をすることがあります。

「一人のネイティブがこう言ったので、これが正しい英語だ/これは間違いなんだ」と思い込んでしまうのは危険ではないでしょうか。また、使える英語表現の幅を狭めてしまったり、自分の英語に自信をなくしてしまうのはもったいないことです。実際に、他のネイティブの方に「〇〇は言うか」と聞いたら違う答えが返ってくる可能性もあります。今度、このように迷うことがあったら、ぜひこの記事を思い出して、さまざまな英語が存在することを意識してください。そしてアンテナを立てていると、きっと英語のさまざまなバリエーションに気付き、その違いを楽しめるようになると思います。

*この記事は The Japan Times Alpha 2022年11月11日号「In the Workplace: 英語でお仕事101」に掲載されました。

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