2024/10/20ブックガイド 木になった亜沙
木になった亜沙
今村夏子
少女の手からは誰も食べ物を受けとらない、金魚でさえも「木になった亜沙」投げつけられたものが絶対に体に当たらない少女「的になった七未」腹這いで生活を送る女「ある夜の思い出」コンプレックスを肥大化させたような三つの短編が収録されている。今村夏子の本は不穏な空気に満ちている。日常的なリアリティのある話の流れの中にどデカい異物があり、それを登場人物達は許容している。なんつー話や!と思いながらも読者である我々もそれを飲み込み没頭していく。この気持ち悪さを登場人物達がスルーするのであればこちらもそうするしかない。ボーナスエッセイも併録されているが、実話?創作?いい意味で不穏なスタイルがエッセイにまで及んでいて最高。