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森貴史の2025年刊行本 五百文字読書レビューvol.2『楽園の楽園/伊坂幸太郎』

独特の文体と世界観で、様々な傑作を世に送り出している、伊坂幸太郎先生のデビュー二十五周年記念書き下ろし作品。
人工知能『天軸』の暴走により大混乱に陥った世界を舞台に、選ばれし三人が開発者が残した絵画〈楽園〉を手掛かりに人工知能の所在地を探る物語。思ったよりも短く、挿絵が多かったので大人向きの絵本を読んでいる気分になれます!
とにかくファンタジー、とにかく不条理、そしてこのどこか釈然としない心持ち!一時間もあれは読めると思います。これを、「スッキリしていい」と思うのか、「物足りない!」と思うのか。
この作品によって、自分好みの本のジャンルが決まるかもしれません。
見どころは、やはりメッセージが作中ふんだんに入ってるところ。ファンの方、哲学が好きな人はウットリしながら読めるでしょう。
ただこの作品、自分みたいに「本好き」「ストーリー好き」「本を読むことで未来に希望を持てる」と思っている人への、最大の皮肉が入ってるんです!これはね…グサリときましたね。「ウワ!楽園ってそういう意味だったんだー!」と。
そして少しだけゾッとしましたね。『今、自分達は生きてるんじゃなくて、生かされてるだけなんじゃないか』と。(五百文字!)

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