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うつ抜けの友 その2.ロイヤルホストのモーニングパンケーキ

「うつ」と診断されたとき、治療方針とともに先生に言われた「生活で心掛けること」の中に
午前中、太陽の光を浴びること
というのがあった。5分でもよい。とにかく午前ということだった。

カーテンを開けて、一歩外に出るくらいならできるよ私だって!と思いきや
先生がわざわざ「できる範囲でやってみて」と言い添えたのがわかる。

まず、寝室のカーテンを開けるには立ち上がって二歩くらい歩かなければならないのだが、これが「そんな面倒なことするくらいだったら治らなくてもいいや」と思うくらいに億劫だ。

そもそも、やっと動きだせるのが夕方とか夜だし、その時間に起き出すと「今日も、寝ているうちに一日が終わってしまった。。。もうだめだ。。。」と更に悲観的な気持ちになる。

ようやく通院以外で、一人で「外に出る」ことができたのが半月くらい経ってから。
そのころ、Twitterで「パンケーキはロイホがおいしい」というつぶやきを見た。

ロイホのパンケーキは、最近主流の「ふわとろでフルーツとクリーム山盛り」の真逆をいく。昔ながらの、きつね色で薄目に焼いたシンプルなものだ。三枚重ねた上に、丸く成型したバターがポンと載っているだけ。
それに好みでシロップをかけて食べる。

クリームもフルーツソースもかかっていない。果物も載ってない。でも、パンケーキはあれなんだよ。あれがパンケーキだよ。ロイホのパンケーキ、食べたいなあ…

ロイホのモーニングは11時までだ。モーニング以外の時間もパンケーキは食べられるけど、何しろ仕事をしていないので、少しでもお得なモーニングの時間帯に行きたい。

それにモーニングの時間に行くということは、「午前中、太陽の光を浴びる」ことにもなって一石二鳥じゃない?

数日後、最寄りのロイホに、11時5分くらい前に滑り込んで、めでたく「モーニングパンケーキ」の注文に成功した。

平日の午前はすいていて、私は隅っこの席に座り、パンケーキを味わい、持っていった「銀河鉄道の夜」を少しだけ読んだ。

読んだことのある短い小説なら読めるのでは、と思ったので挑戦したのだが
その時はまだ文字を読むのは早かったようで、数ページでとても疲れてしまったのであきらめた。次の通院で、先生に午前に一人で外に出られたことを報告した。

朝起きて、午前中に動き出せるようになった今でも、月1回くらい、週末の朝には一人でロイホに行って、必ずパンケーキを注文する。
1,2枚目はバターだけで食べて、3枚目におもむろにシロップをかけて食べるのが好きだ。

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