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コーヒースタンド営業日記2025/01/18
14日の火曜日に初めてご来店いただいた外国人のお客さんがいた。
僕自身英語はピコ太郎で学んだI have a penとI have a appleしか知らないので当然円滑なコミュニケーションはとれないのだが、注文を受けるぐらいなら最悪喋れなくてもなんとかなる。
ただ、英語力が破壊的に終わってるこの店に足繁く通う理由もないし、そもそも観光のお客さんだと思ったので再来店はないだろうなーと考えていたら次の日もその次の日も来てくださり、結局このルーティンは土曜日までの5日間続いた。
コーヒーを入れる間ゆっくりと笑顔で待ってくれる彼との時間は、言語の壁はあれど謎のgroove感があり僕はこの空気が好きだった。毎日の営業ルーティンになればいいなと思った。
ところがやはり水物商売ってやつはそう簡単に事を運んではくれないようだ。
土曜日、また彼が来て出来上がったコーヒーを渡すと、いつもならたどたどしい日本語で「ありがとうございます」と言ってくれるのだが、なぜだかこの日は様子がおかしい。
やにわにスマホを取り出し、文章を打ち込み始めたので察した僕は静かに待つことにした。
こちらに向けられた画面には自動翻訳で書かれた独特な日本語が記されており、要約すると「私は明日東京へ行きます。素敵なコーヒーと時間を提供してくれてありがとう」
といった感謝の言葉が綴られていた。
大阪でのいい思い出を提供できたなら店を始めた甲斐があったというものだ。母国の友達に「大阪はたこ焼きとコーヒーが最高に美味いクールな街なんだぜ」と自慢してくれたら嬉しい。
けどやっぱり同時に寂しさも感じてしまうのが人情ってもんだ。
心の距離が縮まっていく感覚に充足感を得られたタイミングに限って、やんごとない事情で来れなくなると律儀にご報告にいらっしゃるお客さんがこれまでも何名かいた。
営業を開始してまだ半年経たないぐらいでも時たまこういう『エモイベント』が発生する。
出会いと別れがドッグイヤーのようなスピードで流れていくけれども、様々な人と関わる事ができるのが実店舗のある接客業の妙ともいえる。1人1人とのストーリーをこれからも大事にしていきたいと思う。