インドが、中国企業を締め出しの方向
iPhone組み立ての一部を行なっている立訊精密工業(ラックスシェア)が、インドへの工場設立を断念しました。同社は代わりにベトナムでの工場新設にシフトした模様です。同社はインド工場設立に取り組んできましたが、幹部のインド滞在ビザ申請が複数回却下されるなど、インド政府による中国企業の締め付けが影響している模様です。同社以外にも、BYDもインド企業との合弁会社の計画を撤回しています。
インドと中国は、ヒマラヤ沿いの地域や、インドがカシミールの管理を巡ってもめているパキスタンと中国が親密であることなど、国境問題を抱えています。また、インドは、中国の製造業の一部代替を狙うチャイナ・プラスワン戦略の需要地点であり、最近ではインドがグローバル・サウスのリーダーとしての立場を強めるなど、国際社会でのポジション争いも熾烈です。
一方、インドは、軍備の半分以上をロシアに依存しており、ロシアからの原油輸入を継続するなど、ロシア寄りの姿勢で中国とスタンスが近く、関係は複雑です。ただ、今後の世界経済におけるインドの台頭は間違いありません。
印中関係が悪化している今、日本としてもインドへの進出を積極的に進めるべきと考えています。日本の製造業は、人件費の上昇から競争力を失って来ました。しかし、インドであれば、安価な生産能力と成長する需要を一度に獲得できるチャンスがありそうです。
インドへの進出は、現地企業の保護政策や不動産など規制が多く困難ではあります。ただ、インド自動車トップのマルチ・スズキは、亡くなられたスズキの鈴木修前会長が、80年代から通いつめ、サプライチェーンを築いてきた結果として圧倒的なシェアを持っています。
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