銃規制に賛成のCitigroupは、テキサスの地方債発行から締め出し
Bloombergによると、Citigroupがテキサス州の地方債の引受団から外されたようです。Citigroupが、銃業界に対して差別的な対応を取ったことが原因です。今回の債券発行は発行額がUSD3.4bilと巨大で、Citigroupにとっても痛手です。Citigroupとしては、ESGやSocial Responsibilityの観点から、自社の企業価値向上のためには、銃業界に対して積極的な貸し出しはしにくい事情などもあったと想像します。昨年、テキサス州の引受団から、UBSが外されたのも、同社が石油業界に対して融和的でないとの理由からでした。
米国では、石油も銃も兵器も巨大な産業です。金融業界に対して、これらの業界への貸し出しを縮小させる圧力が、ESGには内包されています。一方、今回のウクライナ侵略を見れば、米国の兵器産業が、国際的な民主主義の維持に大きく貢献しています。個人的には、米国の銃産業の規制の緩さ(個人でもマシンガンや大量の弾丸が購入可能である等、護身を超えた部分)には閉口してしまいますが、CO2をはじめとしたエネルギーに関する考え方(昨年からの原油高で、ESG影響による化石燃料への投資不足が明らかになった等)や、兵器産業に関するものは、現実的でない部分が多大に含まれていると感じています。
こうしたESGが実社会と整合しない部分について、投資業界でも一部見直しの動きが始まっています。
しばらく前でしたら、全ての投資商品(投資信託や未公開株ファンドなど全て)に対して、ESGを義務付けようというのが主流でした。ただ、現在では、上記の問題に加え、「ESGウォッシング」として、ESGを投資判断に対して反映させていないのに、さもESGファンドのような顔をして資金を集めるファンドの存在も問題視され、全てのファンドがESGというスタンスから、ESGを謳うファンドと、そうでないファンドを明確に分けて販売しなければならない規制をかける方向に動いています。また、運用会社も将来評価軸が変わる可能性が高いEnvironmentよりも、企業価値向上と直結しやすいGovernanceやSocial(従業員の雇用や地域貢献など)の評価を重視する傾向が強まっています。
現場のファンドマネージャーも、兎に角ESGを重視しろと、本来の企業価値と離れた投資判断を迫られていた時期もありますので、業界としても徐々にこなれてきた印象です。