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思春期過ぎた大人こそ見るべき!?インサイドヘッド2の作品価値があまりにも高いという話

皆さま、ご機嫌よう。

さて今日は、めちゃくちゃ気になってた映画『インサイドヘッド2』を観ましたので、その感想を赤裸々に語っていきたいと思います。


映画を観た正直な感想

まずは、この映画を観終わった正直な感想から。

メッセージ性が強く、あまりにもクオリティが高すぎる。

はい、もうズバ抜けています。
ディズニーピクサーここにありといった完成度ですね。

このインサイドヘッドという作品、頭の中の感情を擬人化するというその着眼点がもう天才的で、1の頃から好きは好きでした。

ただ、1は幼少期が舞台ということもあり、発想としては面白いけど万人におすすめできる完成度かと言われると個人的にはそうでもなかったんですね。

だからこそ2にずっと期待していたという背景があります。

この作品は着眼点こそ非常にユニークですが、だからこそ頭の中の感情というものを世界観として表現するのが難しい。
2に期待はしていましたが、流石に難しいだろうなと思っていました。

ところがそんな心配は杞憂だった。
まさに120%という形で、期待値を上回ってきたという印象です。

ハリーポッター死の秘宝Part1の後に死の秘宝Part2を観せられた。
MCUインフィニティウォーの後にエンドゲームを観せられた。

それに近い高揚感を得られましたので記事として残しておこうかと。

というのも、今回の舞台は中学生の脳内。
思春期が始まり、喜怒哀楽を超えるあらゆる感情がひしめき合うようになるカオスな脳内を物語の軸にしています。

カオスな世界ですから、子供がなんとなく観ても映像的に面白く仕上がっており、思春期を経験してきた大人が観れば、思わず涙がこぼれるようなそんな映画です。

つまりは老若男女にぶっ刺さる作品というわけですね。
よくこれほど万人に刺さる作品を作り上げたものだと感服します。

この作品で味わえるあの頃の青春体験、映像的にカラフルで飽きさせない演出などなど、とにかく何をとっても一流の作品なのですが。

この作品が何よりもすごいのは、やはり脳内をビジュアル化したという功績でしょう。

幼少期を過ぎて迎える思春期の脳内では、あらゆる物事を経験して自分の中に大切なもの、嫌いなものなどが明確に芽生えていきます。

あらゆる物事に敏感に反応しだすのもこの時期の特徴ですね。

それら思春期の激しい感情の起伏を、

『新しい感情キャラの追加』
『性格の島』や『〇〇ランド』
『思い出の泉』
『記憶の保管庫』

などという形で視覚的に表現しており、そのどれもが非常にわかりやすい。
さらにこれは、物事の考え方という点においても役に立つ映画でもあります。

この作品がなぜ大人こそ見るべき作品なのか?
脳内をビジュアル化する意味とは?などなど、

この記事で、あらゆる観点からインサイド・ヘッド2を語っていけたらと思います。


愛すべき新キャラたち

まずは、インサイドヘッド2で追加されたキャラから見ていきましょう。

思春期で追加される感情はこの4キャラ。

シンパイ (予測力)
・ハズカシ (共感力)
・イイナー (羨望力)
・ダリィ (休息力)

おばあちゃんのナツカシもいますが、異色キャラとして描かれているのでとりあえずは除きます。

なるほどなと納得させられました。
確かにこの新キャラの中で、これはいらないという感情は何一つありません。

心配できる能力があるから、あらゆるミスを防ぐことができます。
恥ずかしいと感じる能力があるから、社会性という共感力が高まります。
いいなと感じる能力があるから、自分も手に入れようと必死になれます。
ダルいと感じる能力があるから、必要ない時に休むことができるようになります。

自分が他の誰とも違う一人の人格の持ち主として出来上がっていく上で、これらの感情は決して手放せないもの。
主要キャラになるのも何一つ文句なしの4キャラです。

そしてこの作品で特に素晴らしいと思ったのは、シンパイを強キャラにしたこと。

思春期を迎えるまで生きてきてあらゆる失敗も成功も積み重ねた脳内では、予測する能力が幼少期に比べて格段に跳ね上がります。

基本的に何事においてもミスはしたくないので、今までの経験を総動員して絶対に失敗しないように脳は高速計算で正解を導き出そうとします。

それは他の感情を抑圧するほどのパワーを持つ予測能力であると同時に、
使うと非常に持ち主を疲れさせるものでもある諸刃の剣でもある。

取り越し苦労、骨折り損のくたびれ儲けというやつですね。

それならまだいい方。
当然最初はうまくいかないことの方が多い。
疲弊し切るまで準備したにも関わらず、経験不足によりまた失敗を重ねるのが人生です。

失敗を重ねると、シンパイはさらにパワーアップしていきます。
絶対に失敗したくないという感情は、他の感情や主人が制御できない程に大暴れすることになり、主人は片時も気が休まらなくなります。

特にシンパイの扱い方をまだ心得ていない思春期では、その影響をダイレクトに受けますよね。

それを強キャラという形で表現したのが非常にグッド。
最後に感情キャラが集まって、シンパイが落ち着けるイスを用意するという展開も素晴らしいです。

シンパイは時に制御不能になるほど大暴れしますが、かと言って欠かすことができない大切な感情です。
シンパイがいるからこそ、強く想ってくれているからこそ、あらゆるミスを回避できるのですからね。

『心配事は尽きないが、とりあえずそれは頭の片隅に置いておこう』
この発想が大切だということを教えてくれています。


価値観の花というメッセージ

続いては価値観の花。

これは『思い出の泉』から伸びた糸が集約して、自分はこんな人間であるという人格の芯となる『価値観の花』を作り上げるという設定で描かれています。

冒頭ではインサイドヘッド1から登場している4キャラたちが、主人ライリーにとって良い思い出だけを泉に残して、悪い思い出は『ゴミ廃棄場』に捨ててしまっていました。

まあそれでも、『悪いことは考えないようにしよう』というメッセージが込められているのかな?とは思っていましたが、終盤でそれを大きく超えてきたのには驚きました。

喜怒哀楽の4感情が、自分たちが良かれと思ってゴミ処理場に捨てた悪い感情を解き放ち、その全てを泉に放つことになったからです。

これにより、主人ライリーは良い感情も悪い感情も含めてその全てと向き合うことになり、その上で最終的な価値観の花を咲かせることになっていましたね。

さらにすべての感情を受け入れた上で、主人ライリーはヨロコビを呼び出しました。

それまでは感情達が主人ライリーを導いていたのに、ライリーの方から感情を選択した名場面です。

これには参りました。

子供にする悪い思い出は忘れなさいというメッセージを超えて、
『悪い思い出ともちゃんと向き合いなさい。それを欠かして本当のあなたは完成しない』
という大人でも耳に痛いメッセージを刻んでくると同時に、
『感情に導かれるのではなく、感情を選択する主人はあなたである』
という痛烈なメッセージが込められています。

この作品が、大人に向けても作られているのだということを切に感じた場面でした。


脳内をビジュアル化する意味


さてさて。

ここまでインサイドヘッド2がいかに緻密に練られた作品で、老若男女に刺さる映像作品として完成度が高いかを語ってきましたが、個人的にはここからが本題です。

そもそもインサイドヘッド、脳内をビジュアル化する意味とは?
この作品から得られる今後の人生に生きる持続的な学びを、考察していきたいと思います。

脳内をビジュアル化する意味、それは『感情のコントロール』にあります。
加えて言うなら、『脳を整理』できるのもビジュアル化する大きなメリットです。

例えば何か嫌なことがあって、不快に感じたとしましょう。
映画の表現で言い直すとすれば、ムカムカとイカリがボタンを押しているということになりますね。

これ何をしているかと言うと、自分が感じた憤りの感情を一度擬人化しています。
つまりは憤りの感情に自身が染められている状態から一歩引いて、俯瞰で感情達を眺めるきっかけを作っているのです。

一度感情を擬人化するというプロセスを踏むことで、冷静に物事を俯瞰で眺める余裕が生まれるので、自分でどの感情キャラを呼び出すか選択する事ができるようになります。

今回のシンパイの場合もそう。
心配事が絶えずに寝付けない時に、
ああまたシンパイが大暴れしてる。寝れないから今は休んでてもらおう。
そして実際に、シンパイを元のイスに座らせてあげる自分を想像する。

擬人化する事で感情と対話できるようになり、
今は大人しくしていてくれ、今は君が欲しいと自由自在に感情を選び取る事ができるようになるのです。

感情を選択するのは主人である自分自身です。
嫌な事があっても心配事に呑まれそうになっても、自分は彼らと対話して好きな感情を呼び出す事ができる。

そう思えるだけでいつも冷静沈着に、真の意味で心を乱さない人になることができるんですね。

この感情の擬人化は認知行動療法のテクニックであり、実際に感情をコントロールするために用いられている手法でもあります。

だからこそ大人にこそ観て欲しい作品であり、明確に大人もターゲットにして製作された作品なのではないかと考えます。

・今自分の中では、どんな価値観の花が咲いているか?
・嫌な思い出玉をゴミ処理場に捨てて、思い出の泉に放つのをためらってはいないか?

こうして感情の擬人化や脳内の場所や物をビジュアル化していくことで、自分が日々晒される複雑な想いというものを冷静に分析できるようになっていきます。

さらに、これ使えるなと思ったのが、〇〇ランドという設定。
映画では、将来の職業ランド、枕の砦などユニークな〇〇ランドが多数出てきました。

このように、自分が興味のある物事をカテゴリ分けして脳内で〇〇ランドとして保管するという発想もとても興味深く面白い。

例えば恐竜が好きなら恐竜ランド、映画が好きなら映画ランドというような感じですね。

これをすることで、
今は趣味の時間だから映画ランドで遊ぼう。
今はビジネスの時間だからビジネスランドで仕事しよう。

という感じに、棲み分けを作ることができるので時間の使い方も上手くなります。
実際にどんな外見をした〇〇ランドなのか、軽く絵に描いたりしてみると、明確なイメージ化を助けてくれるかもしれないですね。

さらにこの〇〇ランドのすごいところは容量無制限という点。
100個でも1000個でもいくら島を作っても、脳内なので永遠に無料です。

多くなってきたら類似カテゴリを一括りにまとめたり、細分化しておきたいならそのままにしておけばいい。
覚えていられないなら、今どんな興味から〇〇ランドを何個作成しているのかメモに書いておけば、いつでもその知識を容易に引っ張り出すことができるようになります。

これは、世界暗記チャンピオンの記憶術である『記憶の宮殿』に近いものがあります。

ランドの数や密度の分だけ、自分の人間としての深みを作り上げてくれますから、この考え方活用しない手はないなぁと思いました。

これが擬人化、ビジュアル化の魔力。
それら全てのノウハウを動くアニメーション映像で教えてくれるのがこのインサイド・ヘッドという作品です。

まさに脳内整理術をエンタメ映画としてまとめてくれた作品だと言えるでしょう。

エンターテインメントという移り変わりの激しい激動の業界で生きるクリエイター達が、どのようにクリエイティブな発想力を発揮しているのかを垣間見れる映画でもあります。


一生使えるノウハウ、知識が詰まっているので、この作品の価値は類を見ないほど高いです。

ここまでネタバレ全開で語ってきたために未視聴の方は読むのをやめてしまったかもしれませんが、一度観た方も脳内整理術を学ぶという大人ならではの着眼点でもう一度鑑賞してもまた新しい気づきが得られるのではないでしょうか。

総評

では、最後に総評いきます。

いやーこれは本当に面白い。色んな意味で。

・思春期の葛藤を丁寧に描写している
・メッセージ性の高さ
・一生使える脳内整理テクニック満載
・映像的にも文句なしに楽しい

以上を鑑みて、95点。
ピクサーって本当にすごい。
トイストーリーやバグズライフの頃から変わらず、大人になってもまだ驚かせてくれます。
文句なしに面白く、3があるなら是非観てみたい作品No1です。

続編があるとすれば、大人になったライリーになるんでしょうか?
大人になれば、またキャラが追加されるんでしょうね。

個人的には、ユーモアとか来たら嬉しいなと。
ユーモアとは、あらゆる感情を兼ね備えた上で繰り出されるウィットに富んだ一言のこと。
ある意味で感情を卓越した存在であり、嫌なことすらブラックユーモアに出来るあたりある種最強の存在なのではないかと。

2本編で少し出てきた皮肉もこのユーモアにある種似たところがあるので、それがキャラとして来たら掛け合い的にも更に大人が好む作品にもなりそうな感じがします。

まあ勿論老若男女のためのディズニーなので、あまり過激なのは本意ではないと思いますが。

やるとすれば大人ライリーの恋愛や結婚、家族を持つ姿なども描かれるんでしょうか?
ライリーの子供の脳内とかでエンディングを迎えると、これ以上ない大団円という感じもしますね。

色々と妄想が膨らむ作品。
トイストーリーのように、シリーズ通して長く愛される神作品になって欲しいものです。

それでは皆さま。
脳内のキャラクターは、何があってもあなたを見捨てない永遠の友です。
大人になった今だからこそ、感情との対話を楽しみましょう!


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