231122-29 4年ぶりの海外遠征@北ドイツ一人旅その1・わたしを突き動かしたもの
「そろそろ、いいかな・・・」
2023年。コロナ禍による渡航制限が解けてほぼ1年。
関西地方のとある老舗旅館で予約係として勤めるアラフィーの私。円安が後押しして、海外からの訪日客を連日迎える毎日に、ほとほと疲れ果てている。
「私ももう若くないんだし、そろそろ追っかけ遠征復活させたいわよ。。。」
春から夏にかけて怒涛の勢いで外国人のお客様をお迎えし、時には得難い交流を持てる喜びはあれども、回数を重ねるにつれ
「自分の楽しみを、このまま葬り去っていいの?!」
という気持ちがムクムク。
2019年までの私は、大好きなオペラ歌手の公演を観に行く・・・という名目で、年に1度、1週間程度の海外遠征を繰り返してきた。
ロンドン、ミラノ、パリ、マドリード、NY、アテネなどの綺羅星観光地はもとより、時には日本では一般的にあまり知られていない、欧州の中規模の都市にも足を運んだ。
その中で一番回数を行った国は(夫の転勤に付随して住んでいたアメリカを除けば)間違いなく、ドイツ。恐らく10回以上は足を運んでいる首都ベルリンをはじめ、自分一人の追っかけ旅だけではなく、夫との海外旅行でも、ドイツを選ぶことは多かった。
多分、自分の中での旅行の基準は、いつもドイツだったと思う。
コロナ禍での渡航制限が解除された時、行ってみたいと一番先に思ったのも、やっぱりドイツだった。
「ドイツでタイミングよく、歌ってくれることがあればな・・・」と漠然と思っていた中で、11月のハンブルクでの「ドン・カルロス」が目についた。彼が歌うのは、主人公の父親でもあり、恋敵でもある父王フェリペ2世。バス歌手のレパートリーの中でも重要な役の一つ。
・・・これはもう、これで追っかけ遠征復帰第一戦を決めるっきゃ、ないでしょ!
と、自分の中で決めたのは、多分、ハンブルクのシーズンプログラムが発表された直後だったと思う。
「ドン・カルロ(ス)」は、私のコロナ禍前の最後の遠征・アテネでも聴いている。彼のフィリッポ2世は、ナイーブで切なくて。現役の枯れてない男感満載の、素晴らしいフィリッポだった。
でもあの時、共演者とかオーケストラ、そして劇場の雰囲気にものすごく消化不良感があったが故に「あれで最後にしたくない!」という思いが強くって。
そういう思いを溜めて、秘めて・・・ときめきと共に、私の4年ぶりの海外遠征のきっかけは、生み出されたのでした。