イタリアで見る古代の印
北イタリアはミラノから、車で東に1時間半ほど走ると、カモニカ谷(Val Camonica)に着きます。この谷には、イタリア初の世界遺産ヴァル・カモニカ岩絵群があります。アルプスに連なる谷の岩面に刻みこまれた絵には、約1万年前からの人々の暮らしや文化、戦いの様子など、人間が生きた証が刻まれています。
この厳かな神聖な場所、実は、とっても気軽に訪れることができるんです。谷筋に沿っていくつか観察スポットがありますが、最も有名なのが、カポ・ディ・ポンテ(Capo di Ponte)にあるParco Nazionale delle Incisioni Rupestri(岩絵群国立公園。HPはhttp://www.parcoincisioni.capodiponte.beniculturali.it)。地面から露出している巨大な岩と、そこに刻まれている絵の数々を近くから見ることができます。
カモニカ谷の雄大な岩山を眺めながらの散策は、まるで先史時代に迷い込んだよう。
一万年前の人たちは、どうして岩山に自分たちのことを刻み残そうと思ったのでしょう。今の時代はSNSだけど、当時は岩絵だったんだな、そんなことを思いながら、光と影で見え隠れする刻印を見つめました。刻み、残された人間が生きた証は一万年後の私たちに届いているのです。とても一度の訪問では、その魅力を深く理解することはできませんでした。もっと調べて、何度も訪れながら、またご報告していきたいと思います。