なつ

蝉の季節がやってきた

神社の近くのアパートに住む私は、この季節をもう5年も怯えて過ごしている
あの大きな大きな木に何百匹といるであろう蝉は、うちのアパートに遊びにくる
虫にしては大きくて、カリカリしてる部分と柔らかそうな部分が多めにあるのがたまらなく恐い
近づくとビャーーーっとなるのも最高に恐い
死んでると思ったら生きてるのも恐い
死んでる姿と生きてる姿が同じなのも恐い
地下での生活が長すぎて、地上戦張り切り過ぎだ

がしかし、虫を恐がる女がモテた時代はとうに終わった
カルーアミルクを頼む女より生中5杯呑む女の方がモテる
それが令和だ
だからって言い訳するつもりはないが、虫全般がダメなわけではない
むしろいける
みんなが恐がりやすいクモやヘビは平気だ
取って食ってやろうかとも思う

そう、だから私はいろんな人と契約を交わしている
お互い得意分野で助け合おうと
それが2022年、チーム戦だ

もうすぐ仕事が終わる
今日もアパート蝉へ帰らなければいけない
同じ階に住む小学生、全部連れて帰って。

　　　　　　　りえ