スクール長コラム 「人生の豊かさ」 <生成とは何か>
JTプロジェクト3回目で,もう一つ重要な概念は「生成」です。講義では,ドゥルーズの「差異と反復」を例に生成の論理が説明されましたが,あのあたりが一番難しかったのではないでしょうか?私が理解するところを述べれば,世界とは「差異」でできています。言語を使用できるのも,ある言葉を別の言葉と区別できるからです。ということは「世界」とは差異の体系です。これは,個々のものがあってその差異があるのではなく,最初に差異を決める体系があるから,個々のものが認識できると考えられます。その一方で,行動とは,いわば何かの「反復」です。私たちの日常は「反復」の連続です。でも,いったい何を「反復」しているのでしょうか?それは「世界」という「差異」を反復しているわけです(←ここが難しいかもしれないけれど,よく考えて)。しかし,「差異」は正確に「反復」できるでしょうか?絶対にできませんよね。そもそも時間が経過してしまうので,同じことは絶対にできません。するとそこに変化が生じることになって,何かが「生成」すると考えられます。この「生成」が結局どのように起こるのかが,哲学者たちが競って研究していることなのですが,これは構造的には価値の生成やイノベーションの生成も同じことなのです。ということで,価値創造につながっていくはずです。
國部克彦
8月27日17時15分
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