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愛するクラブを公私ともに応援:髙橋謙二さん

プライベートはもちろんのこと、企業や店舗などを通してV・ファーレン長崎を応援している方にお話を聞く「愛するクラブを公私ともに応援:〇〇」。
今回はV・ファーレンのサポーターであり、同時に「デイサービス らぶゆ」の運営者でもある「髙橋謙二さん」にお話を伺いました。

髙橋謙二さん

筆者は元介護士。
以前からSNSで「デイサービス らぶゆ」様の活動を拝見しており、連絡させていただいたところ快く協力してくださいました。


V・ファーレンとの出会い

長崎出身の私ですが、クラブができた当時は大学生で関東に住んでいました。
中学卒業以来、サッカーは「観る」専門になっていたためとても心躍るニュース…という程ではなく、関心は薄かったように思います。

就職で長崎に戻ってきた頃、V・ファーレンはJFLを戦っていました。
今ほど若者が楽しめる場所が少ない街でしたから、たまにはサッカーでも観てみるかとの軽い気持ちで観戦したのを覚えています。

閑散としたスタジアム、乾いたピッチの上。
そこで目にした、一際異彩を放つ青いユニフォームの背番号10。
電光掲示板に目をやるとそこには「佐藤由紀彦」と書かれていました。

一瞬頭の中に大きな?マークが浮かんだ後、私はこう思いました。

「なぜ?こんなところに?」

めちゃめちゃ失礼な言い方ですよね(笑)
でも佐藤由紀彦選手といえば横浜F・マリノスやFC東京でも活躍したJリーグ屈指のMF…そんなすごい選手がなぜこんな小さな地方のJリーグでもないチームに所属しているんだ!? という衝撃が大きかったです。

それから彼はプレーで本物のサッカーを魅せてくれましたし、プレー以外でも長崎に多大な貢献をしてくれました。
一選手という存在を越え、V・ファーレンにプロクラブとしての第一歩を開いてくれた大きな存在だったと感じます。

佐藤由紀彦氏の現役引退時の様子(髙橋謙二さん提供)

転機になった敗戦

長年応援していろんな経験をしました。でも何故か「記憶に残っている試合」ってほとんどが
「負けた試合」なんですよね。

Jリーグのピッチをはじめて踏んだ日でも、J1初昇格を決めた試合でもない。
不思議ですよね?サポーターとはなんと因果な生き物なのでしょうか…(笑)

私にとってのそれは、2014年の開幕節・湘南戦でした。ホームで0-3と、こてんぱんにやられた試合です。
スコア以上に手も足も出ない、やりたい事をやらせてもらえない、ただただ呆然と立ちすくむ…そんな内容でした。
当時の湘南にはまだ10代だった現日本代表のキャプテン遠藤航選手がいて、年齢以上にとても印象に残ったのを覚えています。

その年の湘南は勝ち点100を獲るという圧倒的な強さでJ1に上がるんですけど、力の差を見せつけられたシーズンでした。
それ以上に自分自身が「あ、やばい…今日負けるかも…」と心の中で感じた事が悔しくて悔しくて…。
その時に初めて気づいたんです。
「自分が勝たせてあげないと!声を出し続けなきゃ選手達の力にはなれないんだ!」って。今まで経験したことのない、使命感が芽生えた試合でした。

髙橋謙二さん提供

あなた1人応援しなかったところで結果は変わらないよ…と思われるかもしれないですけど (笑)
でも「そうじゃないんだ」って。自分にも出来る事はあるんだって痛感させられた気がします。
これもサポーターの性分でしょうか(笑)

髙橋謙二さん提供

仕事を通じて広がるクラブの輪

私は長崎市内で、介護福祉士として働いています。
デイサービスの運営をして10年になるのですが、試合が近くなるとたまにユニフォーム姿で仕事をしています。
うちの職場は制服がないこともあり、お年寄りの方に「長崎にプロのサッカーチームがあるんだよ」と知ってもらう為に始めました。

「あんた、なんて格好しとるとね?」と初めは笑われましたけど、不思議なものでずっと続けていると、それが当たり前になってくるんですよね。
「長崎にもサッカーのチームがあるらしい」という認識は、お年寄りの間でもここ数年で着実に広まってきたように感じます。

一般的に認知症のある方やお年寄りの方は「新しいことを覚えるのが苦手」と言われているんですけど、実際はそんな事はなくて。
一生懸命V・ファーレンの事を話したり、好きなことを熱心に語ったりしている姿ってなんとなく伝わるんですよね。

髙橋謙二さん提供

お年寄りの方にはクラブ名の発音が難しくて「ヴィ・ファーレン」ではなく「ビハーレン」になるんですけど (笑)
でも、それだけサッカーが地域に根差してきたと実感しています。

クラブとともに歩む夢

私は応援をはじめた頃からずっと、周囲に言い続けている夢があります。
それは自分が生きている間に、V・ファーレンがアジアチャンピオンズリーグで優勝すること。
そして、クラブワールドカップに出場する瞬間を見届ける事です。

髙橋謙二さん提供

V・ファーレンがまだJクラブですらなかった時代、それはとんだ絵空事だと笑われました。
サッカーで長崎が盛り上がるなんて、ほとんど人が思っていなかったでしょう。

でも現に、クラブは紆余曲折を経て大きくなり、ファン・サポーターを増やして、立派な専スタまで完成して、誰もがJ1昇格を信じて疑わない…そんなステージまでやってきたんです。
未来から見れば今だって遠い過去な訳ですから、実現不可能な事ってないんだと胸を張って応援を続けていきたいですね。

髙橋謙二さん提供

私は今高齢者の方を介護する立場にいますが、数十年後、自分が年老いて介護される側になった時を想像します。

そこには変わらずクラブが存在していて、1試合1試合に「あーでもないこーでもない」と独自の解説を語ってみたり、「20××シーズンは最高の年じゃった」とか。
「昔な、○○ってサイドバックの選手がおってな、アイツのドリブルはすごかったんじゃ」
とか言う、V・ファーレンの生き字引みたいなお爺ちゃんになっていたいですね(笑)
それを施設の職員さんに優しく見守ってほしいです(笑)

自分が暮らす街にプロのサッカーチームがあるなんて、20年前なら想像すらできませんでした。
スタジアムに行けば必ず試合がやっていて、勝敗に一喜一憂したり、苦楽をともにしたりできる。
それは今でこそ当たり前ですけど、その日常を当たり前と思わずに感謝しながら年を重ねていきたいですね。それがクラブと共にこの街で生きていくということなのかもしれません。

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