コロナやソーシャルディスタンスに乗っかった会社は、どんなメリットがあって企画・実施したのか?
一昨日、弊ブランドsuhadaから「ソーシャルディスタンスタトゥーシール」というアイテムについてプレスリリースを出しました。
ざっくり説明すると、運営しているブランドでソーシャルディスタンスをテーマとしたタトゥーシールを作って、無料配布キャンペーンを始めました。という内容です。
純粋に共感してくれる人もいれば、ソーシャルディスタンスに乗っかっただけだと見る方もいることだと思います。
そこでこのリリースをケースとして、ソーシャルディスタンスに"乗っかった"企画をやる時に検討した内容や経緯、必要とした感覚や代表者のメンタリティをお話しします。
ソーシャルディスタンスも緊急事態宣言も、自分には喜ばしかった
会社の代表である自分は緊急事態宣言やソーシャルディスタンスについて、公私共に恩恵を受ける側の人間でした。
ITの仕事柄、必ずしも人と直接会って話す必要はありませんでしたし、副業で関わっている事業も動画メディアやデジタルアセット販売、Eコマース、SaaS、toCアプリケーションなどで、その多くはコロナや巣篭もり需要によって業績が向上していました。
また働き方的にも、対面でのコミュニケーションを望む相手のもとに出向くようなことが無くなり、以前よりハードワークしてもなお余暇が生まれるようになりました。
世の中の変化は自分のQOLを向上させてくれたのです。
周りの景気はよくなるし、自分のQOLも上がっている。緊急事態宣言もソーシャルディスタンスも、自分は喜びをもって受け入れていました。
社会的な不和を感じ、明るい・楽しいアプローチを求めた。
自分で言うのも何ですが、世捨て人に近い生活をしていて、この生活を好んでいます。だから、それ以上何も考えていませんでした。
ですが1つだけ、自分の琴線に触れるニュースが飛び込んできます。
それは、飲食店でのアルコールの提供が(半)禁止された件です。
参考:まん延防止等重点措置区域の皆さまへのお願い
この方針には反感を覚えました。
社会学のバックグラウンドのある自分には、これが禁酒法の時代に起こった歴史的社会的不和を思い起こさせたからです。
禁酒法の時代とは、その昔アメリカでほとんどの酒類が禁止され、地下パブ(旧サロン)の悪い意味での発展や北南米でのマフィアの繁栄を引き起こした時代です。
状況を調べてみると、隠れてアルコールを提供するお店が実際に現れていて、そういったお店はこれまで以上に繁盛しています。
知らない方は、試しに「酒 あり」「アルコール 提供」などのキーワードで調べてみてください。
わざと大袈裟な言い方をすれば、暗雲を感じました。都市の為政者の言い分や意図は分かりますし、効果もあるでしょう。
でもこのニュースを見た時に、これではいけない、社会を明るくする楽しいやり方が必要だと感じたのです。
サステナブルなやり方を探した
さらに考えたのは、ただの慈善や単発のチャリティではなく、自分たちが貢献し続けられるサステナブルなやり方は無いか?ということでした。
普段自分たちがやっていることや、今後もやり続けることの中に統合することが出来れば、ソーシャルグッドをごく自然な流れで、ほとんど意識せず継続できます。
私たちが今やっていることは「タトゥーシールブランド」です。お客さんにはそのビジュアル・デザインが評価されていて、定期的に新商品を出しています。
あとはすぐに思いつきました(正確には、自分が思いついたわけではなく別に企画者がいました)。
こうして企画が決まり、リリースへ繋がったのです。
ついでに「タトゥーシール」への印象も変われば尚良し
ついでに達成されればいいなと思っていることが、タトゥーシールというアイテムそのものの印象の転換です。
というのも、タトゥーシールは「タトゥー」という言葉が入っているせいで、一般的には未だにアングラ・反社会的なイメージを持たれています。
でもこれは、実際の顧客像やその使い方とはかけ離れた虚像です。
例えば弊ブランドsuhadaの購入者への出口調査では、その94%がタトゥーシールは「ファッション小物」もしくは「アクセサリー」であると回答しています。
可愛くなりたい・楽しく過ごしたい・ポジティブになりたいといった、ごく一般的な気持ちで手に取られるファッションアイテムだということです。
組織性や信条・衝動といったタトゥーへの一般的なイメージの影は一切ありません。
むしろタトゥーや刺青をしている人たちからは「軟弱・おもちゃ・子どもっぽい・偽物」といった印象を持たれています。
彼らアングラ支持層は、タトゥーシールのマス性という明るさに耐えられず、彼らの方から自然と離れていきます。(少しカッコつけすぎでしょうか)
でも、口で言うだけで世の中の見方が変わるわけではありません。
そこで、こういう機会にきちんと行動することでその善性を示せば、世の中の見方も変わるかもしれないと思ったのです。これはタトゥーブランドとして大義ですし、良質でチャレンジングな目標でした。
事業視点でも、この目標が達成されることやその可能性がある点はもちろんポジティブです。
よって私たちのようなタトゥーシールブランドにとっては機会でもあると考え、ビジネス的にも企画が却下される理由は見当たりませんでした。
社会課題に貢献でき、思想や戦略の上でもサステナブルなやり方があり、ついでに良質なチャレンジ目標もある。
充分にやる価値のある施策でした。
まとめ
以上、まとめると自分たちのケースでは、実施に至るまで下記のような経緯と意図がありました。
- 社会への課題感があった
- サステナブルなやり方を理想とした
- 企画の先に、戦略と合流したチャレンジングな目標が見えた
こうして考えると、チャリティ等ではなく自社の商材やビジネスに絡めたがるのは、純粋かつ当然のことのように思います。
特需狙いでけしからんとか、火事場泥棒めいた根性だとか、寄付でもしたらだとか、子供の頃にはそういった冷ややかな目を向けていましたが、実態は少し違うかもしれません。
N=1なので、言い切れませんけどね。
余談
企画の興りとしてお酒の提供について触れていますが、これを禁酒法時代と並べるのは過剰反応です。
刑事罰の対象ではありませんし、戦争や産業の思惑が原因でもない。宗教的な背景もないし、提供自粛したお店には協力金などの補償もある。冷静に考えれば全く異なるものです。
ただ直感的に類似性を感じた。というだけのこととお読みください。
ちなみに自分はお酒は好きですが居酒屋やバーでお酒を飲むのが大嫌いです。
居酒屋じゃなくて酒屋の角打ちで飲んだり、ブルワリー・ワイナリーへ行って直接飲むのが好きなんですよね。その方がお酒が大事にされている感じがして。(全然関係なくてごめんなさい)
さらに余談
実は先日出した下記のコロナの記事は、このソーシャルディスタンス企画のための調べ物をまとめたものだったのでした。