【往復書簡】「自己肯定感」って何?(働く大人の自己肯定感②)
往復書簡はじめます
今回から「働く大人の自己肯定感」というテーマで往復書簡をすることになりました。
相手はもう10年来の付き合いになるヒデさんという方で、詳しい紹介をし始めるとそれだけでいくらでも書けてしまうのでここでは簡単に紹介させていただくと…
□ 「子どもに、自信を」というメッセージを掲げている教育系のNPO法人D.Liveの副代表理事長さん
□ 元教員で子どもたち、若者たちのいい兄貴
□ ファンドレイジングと漫画に詳しくて、ノリが良い
最初の出会いが何かは全く覚えていないのですが、大学生の頃からのもう随分と長い付き合いの方で、僕にとっては心許せる数少ない大切な友人の一人です。
ヒデさんのnoteの記事一覧はこちらから見ることができます。
往復書簡とは、要するにお手紙のこと。
基本的には相手に向けて文章を書いていくのですが、その内容をnote上で公開することで、興味のある人にはちょっと覗いて一緒に楽しんでもらえるようにしております。
テーマは「大人の自己肯定感」ということで、肩肘はらず、こうしたテーマがちょっとでも気になる人であれば気楽に読んでいただけるのではないかと思います。
お相手のヒデさんはすでに一通目のお手紙を出してくださっており、この記事はそれに対するお返事になります。
こちらを見ていただくと、より話の内容が楽しめるはずですので、ぜひご覧いただければと思います(2人の出会いの記憶が曖昧であることはヒデさんの記事にも書いてありましたね笑)。
ここから本文-「自己肯定感」って何?
挨拶となるといついかなる時、どんな相手でも「お疲れ様です」から入ってしまいそうになるのは、働く大人としての一つの病だと思っています。
お疲れ様です。
頂いだ最初のお手紙、楽しみながら読ませていただきました。
一般に「自己肯定感を上げていこう!」というメッセージはよく目にしますが、「働く大人の」とついた途端に解像度が上がっていろいろなことが考えたくなりますね。
社会人になるとき、みんな自分の意思で職場を選んだはずなのに、なぜかガチャの様に職場環境のパラメータを割り振られた感覚に陥り、うまく適応できたりできなかったりが自分のコントロールの外のことのように感じられる。
こういう現象、確かにあると思います。
なので、いきなりここを掘っていってもいいのですが、せっかくの面白い機会ですし、話の全体像を整理しながら少しゆっくり初めてみてもいいかなと思いました。
「働く大人の自己肯定感」というテーマについて、上野なりに「ここをヒデさんと取り上げて話してみたいな」と思う論点をピックアップしてみると…
今回扱いたいと思った論点
【論点①】「自己肯定感」とは何か?
【論点②】「自己肯定感を高めよう」とみんなが言うのはなぜなのか?
【論点③】「働く大人」にとって自己肯定感が大切なのはなぜなのか?
「そもそもお手紙で『論点』って何やねん」という話かもしれませんが(笑)、個人的にはどれも語り甲斐があるテーマです。
なんとなく、論点③が今回のテーマそのものであり、そこに到達するために①や②を処理する必要がある、というイメージがあります。
どれも真剣に考える上ではとても大切なことですし、いま改めて自分の考えを整理しておきたいテーマですので、今回の往復書簡を終える頃にはスッキリとした頭でいられるといいなと思ってます(モヤモヤしているかもしれませんが笑)。
ということで今回、この文章を書くにあたって改めて「自己肯定感」という言葉をWikipediaで調べてみました。
自己肯定感
自己肯定感(じここうていかん)とは、自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉であり[1]、自尊心(英語: self-esteem)、自己存在感、自己効力感(英語: self-efficacy)、自尊感情などと類似概念であり同じ様な意味で用いられる言葉である[2][3][4][5]。現在、これらの言葉は多義的に用いられることが少なくなく、結果としてあらゆる肯定的な心理的要素を表現する包括的名称(umbrella term)となっているという指摘がある[6]。自己肯定感の訳語としては、self-positivity、self-affirmationなどを当てはめる試みがなされてきたが、近年ではself-affirmationが使用されている[5]。
人間の心理や認知や思考に関心がある人間からすると、自尊心(self-esteem)や自己効力感(self-efficacy)といった概念はある程度馴染みが深く、特に心理学者のバンデューラ博士の自己効力感は世界を変えた重要な研究だなと思って勉強しています。
そういう前提から見ると、「自己肯定感」という言葉のテクニカルタームとしての定義・位置づけは結構気になるところです。
専門書を見ていても「自己肯定感=自尊心(self-esteem)」と言い切っているものも見かけたりしますが、一方で
働く大人の自己肯定感。もっと自分の関心に寄せていえば、社会人としての自己効力感(やればできるという気持ちや自信)を持てる人と持てない人の違いってなんなんでしょうね。
とヒデさんが書いてくださったように、自己効力感の概念を含んだものという理解もあります。
一般的に「自己肯定感」という言葉を使うときには、いわゆる「自信」という語感を含んで使っている気がしますので、上野の個人的な「自己肯定感」の理解は
自己肯定感(self-affirmation)- 現在と未来の自分に対する包括的な安心感
├ 自尊心(self-esteem)- 自分自身の状態に対する肯定的な認識
└ 自己効力感(self-efficacy)- 自分が課題を遂行できることに対する肯定的な認識
→「自己肯定感=自尊心+自己効力感」
という、自尊心と自己効力感を含んだ上位概念として自己肯定感があるような階層構造をイメージしています。
「今の自分はいい感じだし(自尊心)、これからもうまくやっていける(自己効力感)から安心(自己肯定感)」
みたいな理解です。
まあ、日常的なことを考えていくのに定義の整理をしすぎてもあれなのですが、大事だなと思っているのは自尊心も自己効力感もどちらも欠かせないという理解です。
例えば、「俺は大物政治家だ!すごいんだ!」と自尊心が高い心理状態だったとしても、外圧や大きな変化などの難局を乗り切れるという自分の能力への自信(自己効力感)がなければ、きっとセコい保身に走ってしまいます。
逆に、「私はやればできる!」と強い自信(自己効力感)を持っていても、そのエネルギーが向かう先が劣等感の穴埋め(低い自尊心)では、きっと空回りし続けてうまくいかないでしょう。
「私はいま十分にいい感じだし、今後どんなことがあっても乗り越えていける。だからいま幸せだし、安心して暮らしている」
こういう心理状態が自己肯定感が高い状態なんじゃないかなーと思っています。
あるいは、逆に言うと「自尊心と自己効力感の両方が高い状態を示す概念がほしい」という空白感が、僕の中で「自己肯定感」という言葉をそこに収めようとしているのかもしれません。
ちょっと概念的な話に触れてしまいましたが、今の自分の関心と理解を言葉にしてみました。
ヒデさんはどう思うでしょうか?
このあたりはきっと、NPOの講演などでいろいろな方に説明されてきているヒデさんから、うまい理解の仕方のヒントが貰えるんじゃないかなーと思って投げてみました。
このあたりでキャッチボールを初めながら、本丸である「働く大人の自己肯定感」に迫っていければ面白そうですね。
昨日、今日ととても暖かい日が続きました。
春の訪れを楽しみにしつつ、往復書簡のお返事もゆっくり待ちたいと思います。
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