『わちは一年幸せに歌ったのだから』 |400文字小説 【毎週ショートショートnote】
その夜も重ねて深い時刻巫子連の我ら連日の強力杯を飲干し、輿に其々乗せられ、皆眉も髪も抜け頬唇青く、姉妹兄弟のように似て参りました
わちのように手足が終えた者も臣兵の方々御助力にて口耳を覆う管にて機械にお繋ぎいただきます
お役に立つのです
護摩壇前に車座に据えられ僧正部名代佯角様がお座りになり、わち思う瑠璃より透るお声でお始めになり、続き我ら機械を通じて真音命題わが心識を声に込め空に放ち、飛ぶ魔翼に執り憑き機体の管を破裂させ一つ一つお務めいたします
けれどその朝に、ある兵卒に遮られた
戸が明けられ床にラヂオが置かれ、王君直々の御声御心に
皆泣き伏せました、お役に、なぜ、われらの声はこの刻に泣くため改造されたに在らず
佯角様なぜ謝られます
間違いなどございませんでした
自決いたします
なぜ躊躇われますか
あの杯は命を削る、みな後七日もございません
なら ならば
名前を わちの名
ねえ 思い出せませぬ
わちの名
佯角さま そのお声で
わちをみて
わちは
[文字数:410文字弱]
お読みいただき、ありがとうございました
初稿掲出 2023年6月26日
最終改稿 2023年6月26日 17:34
©︎かうかう
この作品は 【毎週ショートショートnote】 のお題「 #生き写しバトル 」に参加させていただきました。