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「書きたがる脳 ─言語と創造性の科学」を読みながら。 (書きまくるアリスさん最高だよあんたって言いたい話)

非常に多くの言葉で綴られた文章の、その向こう側への可能性を感じられる(かもしれない)一冊。

いま、『書きたがる脳 ─言語と創造性の科学 アリス・W・フラハティ_著 吉田利子_訳』 という本を図書館で借りて読んでいます。絶版でしかも古書の価格が高いねん、なんでや。

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で、ぜんぶ読んでないんですけど(ごめんなさい)、途中で言いふらしたくなるくらい、なにこれおもしろいんですけどー!

この本の内容は

ハイパーグラフィア(「読み手のことはいいから」とにかく書きたい、 書けるから、書かせて!)と、

ライターズブロック(書きたいけれど、なんか、あ、あれ、まるで書けない……)など、

フラハティ医師が独自にことばを設定して、日記帳からブログからいろいろな「書く」「とっても書いちゃう」「ぜんぜん書けない」という行為や状況をさまざまに(たとえば、しょげてたりしてるひとの文字は、みんなけっこう普段より小さくなっちゃうよ、とか。ぼくの経験で思いあたる節があるわー)、なんか医学的だったり個人的感想だったりをさまざまにご紹介しちゃう内容、みたい。まだぜんぶ読んでない。

見どころ読みどころといえば、

ていうかね、著者もめっちゃ書くひとなんでハイパーグラフィアなのもう紙面の文章のようすが眺めて見ていてもおもしろい!
まじめに書かれていて、あれ脱線?お、おぅ戻ってきたかいとおもったら別の話か、え、あ、個人的なつぶやき? みたいなのが意外と読みやすくてですね……つまり、

よくも出したなこんな魔球を全力でブン投げつづけたような楽しい本。ランダムハウス講談社とその当時の編集さんあなたたちはけっこうえらいよありがとうありがとう、それにしても時季だったとはいえあの解説ページがなかったらもうちょっと値段安かったんじゃないかもったいねえ。

で、いちおう念の為の注意事項。

「ハイパーグラフィア」とか「ライターズブロック」とか、そんな精神医学用語はありません

著者のフラハティさんも神経学のお医者さんで精神科医じゃないし、ICDDSMに載ってる用語以外は精神科医は基本的につかわない。(日本の行政にも通用しない用語は要らない)だからたとえば最近ネットでよく見るHSPとかっていうふんいき言葉になり下がりつつあるワードを精神科医に言ったって「ふーん、なにそれ知らないわかんない」ってなはず。だってそんな精神医学の用語はないんだもん。……歴史的経緯から日本の精神科のお医者さんのエラいひとたちと臨床心理士のエラいひとたちには、なんだかながーいふかーい溝があるらしいから、ぼかぁここらへん医師とかにはあんまりつつかないほうがいいとおもうです。

(……ていうかひとりの人間を捉えることがらをあんなふんいき言葉ひとつでわかったツラして済ましちゃだめだよ。さいきんやっぱりネットで発達障害って言葉もよく見るけど、どんだけその世界が深くて広くて個人個人でぜんぜんちがうのかっていう話で……まあいいや、やめようここらへんからすごい大暴投になるから。これだけは言うけど、疾病名はけっしてその個人全体を表現する言葉なんかじゃない)

鑑賞ポインツ

ともあれ、ね、前提としてあくまで本書のことばはだいたいアリス・W・フラハティ医師が独自に言ってることばである、ということ踏まえて読むと、この本が生きてきます。めっちゃ味わい深い。

もうね、基本「著者のアリスさん楽しい」医学的全力猛烈まじめにエッセイ集。

もうこの様子が、シンパシー100%、たぶん絶対だろおんなじタイプのぼくみたいな人間からすると、わかるー、書きたいよねー、わかるわー(でもあとで推敲とかめっちゃこれぜったい大変だったよね 笑)。

Amazonのレビュワーさんが「内容的にはハイパーグラフィアの例を数多く挙げるだけ」って斬って捨てていて、もうそれも含めてアリスっさん最高、書きたいひとに思う存分そのまんま書かせちゃっててその生きざま書きっぷりがマジで最高じゃねえか。

個人的感想 「かたちにならない美しさ」 について

でも、たまに紙面から美しさがみえる。この本の文章の表現の奥底に、ぼくには(勝手ながら)それが感じられて、なんかこのひと、きっときれいなもの好きなんだろうなあ、と。そこもこの本のことを好きになったポイントでした。ひょっとしたら訳された吉田利子先生の力量なのかもしれない。だったらすごい。ほんとに。

言葉や文章って、映像表現や絵画や彫塑ですらそういうことがあると個人的に思うんだけど、それは「かたちにならないなにものか」を乗せる舟でしかないこともあると、ぼくは個人的に思っています。そのことをあらためて感じられたことが、この本のもうひとつのとっても好きになれるポイントでした。

noteで書きまくっちゃいがちな同士諸氏、よかったらぜひまず図書館で検索して実物のページを眺めてみてー。おもしろいひとにはきっとおもしろいと思いまーす。

さいごに、図書館で借りるなら(カーリル検索)

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以上です。どうもぜったいハイパーグラフィアくさいぼくがお伝えしました。書くのってたのしいですよね!

ここまでお読みいただき、ほんとうにありがとうございました!