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sono_note
【詩】点と線
きみと、わたしがいて
陽だまりの中で
近づいている春の温もり
そよぐ風に白いレースが踊る
繋ぐ手は離れないと握りしめていたはずだった
〈分岐〉
一人ぼっちの部屋
夕暮れの中で
近づいている春の夜の空気
月明かりが窓から差し込む
わたしの手は、何かを忘れている
〈分岐〉
きみがいた、手を繋いで
至福の中で
全てが幸福なんだと感じた
きみの笑顔が眩しくて
わたしは、きみをまた見つけて失った
〈分岐〉
真っ暗な夜の球体
孤独で何もない
星も月も瞬くのをやめたら
わたしの輪郭もぼやけて
わたしは、わたしを無くしてしまった
〈end〉
何度繰り返しても
わたしは、見つけられなかった
繋いだ手も
忘れていたものも
見失ったものも
無くしてしまったものも
それがなんだったのか
大切なものだったはずのものを
思い出すことも出来ずに
分岐する世界と膨らんでいく絶望
わたしは、そっと電源を落とし
目蓋を閉じて永い眠りへとついた